2026年度の大学シーズンが3月からプレ開幕するとともに学生代表の活動もスタートをきり、李相栢盃 日・韓大学代表バスケットボール競技大会 (以下李相栢盃)に向けた男子の第一次強化合宿(3月16〜18日)が行われた。
公開された練習は17日の午後の部。
最初に午前練習でのビデオ映像でチェック。学生代表を指揮する網野ヘッドコーチから5対5の動きで修正すべきところが伝えられ、それを意識しつつの練習になった。ウォーミングアップからシュート、5対5とオフェンス中心のメニューをこなし、コーチ陣からの説明を受けるだけではなく、選手自らプレーについて質問をしにいく姿も随時見られた。
代表合宿は短期間でも求められることに即座に対応していく必要がある。コーチからはコミュニケーションを意識付ける声も上がり、それに応えるように選手たちが声を張り上げ、練習を盛り上げるシーンもあった。
全体では2時間、その後各自ノルマのあるシューティングで午後の練習は終了。強化合宿はこのあと4月、さらに大会直前にも行って代表が韓国学生代表との試合に臨む。

李相栢盃優勝、韓国学生代表への勝利が第一目標
網野HCが求めるのは「まず結果」だ。
現在の李相栢盃におけるレギュレーションは3試合を行い、2勝した方が優勝となる。ここしばらく日本代表は競り合いを演じるも、5大会連続1勝2敗の敗戦が続いている。
「過去4回指揮を執っていますが、どの大会もゲーム1に敗れて負け越しているので、今度こそ絶対に勝ちたい。最低でも勝ち越し、全勝という成果を出すのがこの合宿の目的のひとつです」
特に昨年、一昨年は僅差の勝負に持ち込むものの競り負けた印象だ。
「特にゲーム1の入りが課題です。2Q以降は互角ですが、最初にビハインドを背負ってしまいました。向こうのアグレッシブさが上回っているという、本当にシンプルなところが理由だと思います。決して日本のスキルが劣っているとは思いません。韓国チームの絶対に自分たちのバスケットを曲げないという姿勢が上回っていました」
だからこそ大事なのは「気持ち」だ。一次合宿は「対韓国」を意識しつつ、代表として戦うベース作りの段階だが、一次合宿には下級生時からさまざまな機会で国際大会に参加したり、Bリーグの特別指定選手として一定の成果を見せてきた選手も数多く招集されている。そうした選手を中心に能力を発揮することに加え、「絶対に勝つ」というマインドをいかに持つかも鍵になりそうだ。

なお、日本チームが最後に李相栢盃優勝をしたのは馬場雄大(B1長崎)や齋藤拓実(B1名古屋)ら現日本代表選手らが中心となった2017年。27年ぶりの3戦全勝で優勝を決めているが、そのとき以来の勝利をもぎ取れるかが注目だ。
齋藤拓実選手(現B1名古屋)、保岡龍斗選手(現B1FE名古屋)などのインタビューを含む2017年のレポートはこちら。
第40回李相佰盃争奪日韓バスケットボール競技大会レポート
選手たちの将来を考えた育成がもうひとつの軸
李相栢盃に勝つことに加え、合宿では選手個々が次のステップに進むためのサポートも意識している。
「選手たちが上のカテゴリ、Bリーグでも使えるようなスキルセット的なものを今のうちに学んでおいてもらおうと考えています。リードとリアクションと状況判断のところを大事にしながら大枠だけ決め、あとは彼らの発想の中でプレーしてもらうということですね」
そのために重要なのは「共通認識」だという。スキルとコミュニケーションは常に密接に結びついており、互いの特徴を知り、コミュニケーションを取ることで精度は高まる。短期間でも協調性を選手自身が見せる必要があるし、コーチ陣もそれを求めている。
大学世代はプロ等、上のカテゴリにチャレンジする準備をする年代にあたり、すべてを一段階も二段階もレベルアップさせなければならないが、「世代トップクラスの選手たちが変化していくための助けになれば」とコーチ陣一同で育成に挑む。

2名に一次合宿の感触を聞いた。
フィジカルな戦いで負けられない─轟 琉維(東海大・3年)

2024年のWUBSや2025年の李相栢盃など、既に代表経験は豊富だ。
このオフには特別指定選手として地元・佐賀でプレーし、注目を浴びた。
─始まったばかりですが、合宿の感触は。
「チーム全体ではみんな声を出していい雰囲気でやっています。自分自身も周りのシューター陣をどう生かすかや、自分で行けるところは行く等、考えながらプレーできています。メンバー的には今年はスリーポイントが打てる5番や4番ポジションの選手が多いので、そこは去年との違いですね。最終的にどういうメンバーになるかはこれからですが」
─轟選手はこれまでも李相栢盃だけではなくWUBSなどでも韓国チームと戦っています。韓国と戦うにはどこがポイントでしょうか。
「一番はやはりフィジカル面でのリバウンドのところです。去年もルーズボールをはじめ、球際で負けてしまい、勝ちきれる試合も逃してしまったと思います。そういう反省を含め、今年はさらにフィジカル面での戦いや自分たちからヒットしに行くことを意識していかないといけないと思っています。個人的には自分はサイズ差から結構狙われると思うので、本当にそこでのフィジカルの戦いが鍵ですね。 Bリーグに入ってもそれは重要な部分だと思いますし、つながると思ってやっていきます」
─特別指定のB1佐賀では素晴らしい活躍でした。
「佐賀はビッグマンのダジンスキー選手がいてすごくやりやすく、周囲も自分にどんどん点を取りに行けと促してくれました。自分のトランジションのスタイルに合うチームだったのも良かったです。一方でこの学生代表では外国籍のようなサイズの選手はいないので、今度は自分がして欲しいことをビッグマンに伝えて、コミュニケーションを取ってやっていくことで経験を生かせたらと思います」
初の学生代表を目指して─下山瑛司(早稲田大・3年)

選抜の場は高校以来。
スピード感あるトランジションはもちろん、疲れ知らずのタフさなど自分の持ち味を前面に出し、代表合宿や特別指定の場でより良い結果を求めていこうとしている。
─大学で初の代表合宿となりますがいかがですか。
「他大学のメンバーそれぞれは早稲田とぜんぜん違うバスケットをやっている人たちです。そういう人たちの中でも自分を生かしたプレーができているし、普段一緒にやらないメンバーとこうやってできる機会はなかなかないので、すごく貴重な経験をしていると思っています」
─代表で求められているプレーにすぐ馴染めましたか?
「初日に網野さんに挨拶をしたとき、早稲田でやっているようなプレーをそのままこの場所でやって欲しいと言われました。自分の早い展開、トランジションは強みでもあるし、それをチームに取り入れていきたいから、と言っていただいたので、トランジションを意識してどんどん早い展開でやっていこうと思ってやっています」
─では違和感なくフィットしている感覚ですか。
「もちろん他の大学チームはトランジション主体でやっていないのでなかなか合わないところはあるんですが、2日目の午後はかなりコミュニケーションもたくさん取れて、だんだん合ってきたなという感覚です」
─合宿直前までB リーグの特別指定選手としてB2の福岡で活躍されました。プロの試合で得られたものは?
「大学では留学生が1人しか出られませんが、Bリーグではアジア枠の選手を入れたら外国籍がコートに 2人、 3人いる中で、自分がどうやって生きていけるのかを常に考えながら練習や試合をさせてもらうことができました。早稲田には留学生がいないので本当にガラッとスタイルも変えるところもあり、すごくプレーの幅が広がった感覚です。高校時代は留学生がチームにいましたが、その時にやっていたことや、それプラスアルファでスキルはもちろん、どうやったらうまくいくのかを常に考えながらやらないといけない状況だったので、すごく成長できたと感じています」
─今回の代表合宿への選出は昨年度、早稲田大が大会で結果を出したことがつながっているところもあると思います。
「結果の大事さを感じます。言い方は悪いですが、早稲田は2部にも落ちたし、1部でもずっと下位にいました。それだといくら活躍しても結局チームを勝たせられていないということなので、代表に絡むことやそういう機会が減るなと感じていました。去年結果を残して、こうやって呼んでもらえたのはすごく大きいと思います。ここに呼んでもらった以上は(代表に)選ばれなきゃいけないと思っていますし、選ばれればさらに広がる道もあると思います。一次合宿はあと 1日ですが、大事にしていきたいです」







