WUBSが目指すは大学バスケのエンパワーメント
2022年に始まったSun Chlorella Presents World University Basketball Series(通称WUBS)は、アジアの大学バスケットボール界が高みを目指すことを目的にした、国際バスケットボール大会だ。アジアを中心に世界各国を代表する大学チームが集う。
2022年の第1回は4チームからスタートし、翌2023年からは参加チームが8チームに拡大。3回目の2024年も同じく8チームによるトーナメント形式でチャンピオンを決める。
今大会の顔ぶれは2023年の第2回大会に優勝した国立政治大学/NCCU(チャイニーズ・タイペイ)をはじめ、ペルバナス・インスティテュート(インドネシア)、シドニー大学(オーストラリア)、高麗大学校(韓国)、デ・ラサール大学(フィリピン)ら海外チームが5つ。日本からは白鷗大学、日本体育大学、そして今大会のために組まれた日本学生選抜の3チーム。合計で8チームでの争いとなっている。
日本勢はいずれも善戦するが緒戦敗退、順位決定戦へ
日本勢は昨インカレ優勝校である白鷗大が2度目の出場、日本体育大が今春の関東トーナメント優勝で出場権を手にし、初出場。また、今回はアメリカチームが参加できない関係で、若手主体の日本学生選抜が3チーム目の日本勢として出場している。
この3チームはいずれも緒戦で敗れ、順位決定戦に回った。前回準優勝の白鷗大学は緒戦のシドニー大に惜敗すると、順位決定戦では日本学生選抜と対戦。攻守で噛み合わずミスが続き、連敗で7位決定戦に回った。初出場の日本体育大学は、緒戦で昨年優勝のNCCU(チャイニーズ・タイペイ)に善戦するも及ばなかったが、順位決定戦でペルバナス・インスティテュート(インドネシア)に勝利。最終戦は日本学生選抜と対戦する。
日本勢のうち、一番良さが出ているのが日本学生選抜チーム。緒戦で高麗大学校に対して競り合いを展開し、3Qに最大12点のリードを奪った。しかし4Qに足が止まってくると高麗大学校が終盤に逆転。惜しくも勝利を逃す。続く順位決定戦は白鷗大学との対戦になったが、こちらも立ち上がりからアグレッシブなプレーがチームに勢いを与え、次第にリードを奪うと後半は一気に突き放した。
好調の日本学生選抜だが、チーム合宿は3日のみという急造チームでもある。指揮を執る大東文化大の西尾HCは「時間は短い中で、皆が真面目に取り組んでくれている。試合を重ねるごとに良くなっていく」と手応えを感じている。選ばれているのは下級生主体、これから日本の大学界を引っ張る“NEXT”なメンバーだ。3試合のうち2試合は日本勢との戦いになったが、決勝に進んだ高麗大を倒すまであと一歩だった緒戦は大きな経験になったはず。日本学生選抜は最終戦で日本体育大と5位をかけて戦うが、春の関東チャンピオンにどんな戦いをするかが見どころだ。
フィリピンのデ・ラサール大学と韓国の高麗大学はともに延長戦を制して決勝へ
準決勝デ・ラサール大学(フィリピン)とNCCU(チャイニーズ・タイペイ)が激突。立ち上がりから激しいぶつかりあいとなったが、シュートの確実性、力強さでデ・ラサール大学がリードを奪い、前半は51-38。後半、NCCUはディフェンスと早いトランジションでアタックを続け、速攻、スリーポイントが決まってきて3Qは一時6点差にする。デ・ラサール大学も再び10点のリードを奪うが、シュート確率が悪くなり、NCCUが走って点差を縮めていくと、4Q開始3分で3点差。ここからは激しい守りあいとなるが、NCCUはディフェンスでデ・ラサール大学のターンオーバーを奪い、残り2.8秒から#2シュ・トーチが決めて76-76の同点。延長戦に入った。延長戦は互いの守りで決定力を欠く中、デ・ラサール大学がしぶとくフリースローなどでわずかにリード。NCCUは食い下がるが同点を狙うスリーポイントが決まらず87-82でタイムアップ。
準決勝のもう1試合、シドニー大学(オーストラリア)と高麗大学校(韓国)も前半から競り合いとなった。先行したのはシドニー大学だが、高麗大学校は2Qに追いつき前半は互角の44-44。後半3Qも一進一退で勝負はつかず1点差。勝負の4Qも互いに譲らない。高麗大学校はディフェンスを締めてタイトに当たっていく一方で、ファウルトラブルに苦しむ中、シドニー大学は司令塔の#7マイキー・ヨーンが奮闘しリードを奪う。しかし高麗大学校粘り強さを見せて追いつき、72-72の同点でこの日2度目の延長戦に突入。延長ではゾーンで守りを固めてシドニー大学の攻撃を食い止め、#3イ・ドングンの値千金のシュートで流れを作ると77-82。45分間粘り通した末の大きな勝利で決勝進出を決めた。
勝負どころのシュートで流れを持ってきたのは高麗大学校#3イ・ドングン。24点14リバウンドのダブル・ダブルでチームの勝利に大きく貢献した。緒戦の日本学生選抜戦でも30点15リバウンドを挙げており、今大会の高麗大学校の中で目を引くプレーを見せている。5月に同じく代々木で開催された李相栢杯でも活躍しており、「代々木の体育館とは相性がいい」と笑顔を見せた。
得点力も見事だが、4Qに#1ユ・ミンス、#24ムン・ヨヒョンが相次いで退場となり、自身も4ファウルを宣告されつつ、ディフェンスでも粘り強く、リバウンドにも果敢に食らいついた。「2つ目のファウルまでは覚えていなくて、3つ目から意識し始めました。でもファウルをしても自信を持ってディフェンスをすることを意識したし、自信を持ってやることで逆に笛を吹かれないと思いました。だから積極性を持ってやりました」と、前向きな気持ちが良い結果につながったと考える。
決勝の相手はフィリピンのデ・ラサール大学。高さと厚みもある強力チームだ。「どのチームが相手でも関係なく、自分たちのバスケットをしようというのを意識してやっています明日の決勝戦も自分たちのバスケ、楽しめるバスケをしたいと思っています」。
チームとして掲げるのは「One Team」。全員で頂点を目指す。