世界の大学チームが頂点を争うワールドユニバーシティバスケットボールシリーズ(WUBS)は2日目。準決勝が行われ、デ・ラサール大学(フィリピン)と高麗大学校の、昨年と同じ2チームが決勝へと進出した。敗れた日本体育大学(NSSU)と日本学生選抜は3位決定戦へと回った。
国立政治大学(NCCU)大学とシドニー大学が勝利し5位決定戦へ
順位決定戦の2試合、緒戦でデ・ラサール大学(フィリピン)に競り負けた国立政治大学(NCCU/チャイニーズ・タイペイ)は順位決定戦で香港大学相手に102-48と大勝し、5位決定戦へと進んだ。
シドニー大学(オーストラリア)は初出場のフィリピン大学(フィリピン)と前半から接戦を繰り広げるが、3Qにディフェンスから早い展開でたたみかけ、一気にリードを広げると、4Qもオフェンスは止まらず。フィリピン大学は2Q終盤には同点にする場面もあったが、後半にオフェンスが失速しまう。シドニー大学は4Qも順調に得点を重ねて96-77。5位決定戦でNCCUと対戦する。

7位決定戦は行われないため、敗退したフィリピン大学と香港大学はこれが最終試合となった。ともにWUBS初出場だが、本来のシーズンではない時期の試合や対戦相手も未知の状態で大会に臨む難しさはあったはず。またの機会があれば雪辱を期待したい。
日本学生選抜はデ・ラサール大学に2Qで引き離される
準決勝、日本学生選抜は昨年の覇者、デ・ラサール大学(フィリピン)と対戦。立ち上がりから積極的に攻め、激しいディフェンスで1Qは2点差の競り合いに持ち込んだ。しかし2Qになると相手ディフェンスに阻まれて得点の伸びが鈍くなり、開始5分で10点以上引き離されてしまう。インサイド、アウトサイドともシュートが決まらず離されて前半は41-24。デ・ラサール大学は強いフィジカルを武器に、ゾーンをされてもスリーポイントを鎮める勝負強さを見せた。
後半、デ・ラサール大学はスリーポイント、速攻からのダンクなどを次々に決めて一気に20点以上の差に。日本学生選抜はようやくスリーポイントが決まってくるが、#13湧川の速攻、#8近がフリースローを獲得するなど、残り3分から追い上げる。#99石川のペイントアタックも決まり、66-54の12点差にまで戻して3Q終了。4Qは依然差は大きいものの、ディフェンスを粘り、スリーポイントや速攻も決まった。しかしデ・ラサール大学も集中を切らさず大事なところで確実に加点して88-72で試合終了、2年連続の決勝進出を決めた。この日もインサイドで強さを発揮したデ・ラサール大学#25フィリップス「NSSUとコリア、どちらも強い。(どちらかわからないが)決勝は楽しみ」と、得意の日本語で語った。

日本学生選抜は攻めきれなかった2Qが惜しかった。ディフェンスは悪くなく3Q終盤から4Qは思い切りがいい方に出てシュートも決まった。「1Qは良かったけれど、2Qはプレッシャーをかけられなかった」と西尾HC。インサイドでは相手に分があるだけに、どう圧力をかけるかが課題だったが、勝負どころでは警戒していた#25フィリップスに対抗しきれなかった。しかし若い選手たちだからこそ、1試合ごとに成長が見えるのも良いところだ。ガードの#13湧川には「パスではなくシュートから」と指示したところ、終盤はスリーポイントを2本決めて期待に応えた。
主将を務める#60佐藤は「国際試合は相手に一度も一度でも隙を見せてしまうとそこからやられてしまう」と試合を振り返る。インサイドだけではなく、ガードのところから攻め込まれた部分も課題に挙げた。
日本学生選抜については、「ほとんどの選手たちがこういう選抜活動が初めて。調整時間は短いですが、それは言い訳にならない。いかに個人個人が自分の長所を出せるかっていうのを、ミーティングで話してきました」といい、試合中も試合後もコミュニケーションを意識している。そして大事なのはこれをどう活かすかだ。「国際大会ということもあって、普段日本では感じられない熱や文化を感じられるのがいいところだと思うので、そういうのは本当に自分の経験値にしていこうと思います。これをこの大会で終わるんじゃなくて、自分のチームのメンバーやスタッフ陣に伝えていきながら、自分もプレーで再現していきたい」という。最終戦は日本体育大学が相手となるが、あくまで国際試合の舞台。選ばれた価値をコート上で証明してもらいたい。

高麗大学校がしぶといディフェンスから逆転で日本体育大学に勝利
日本体育大学は昨年準優勝の高麗大学校(韓国)との準決勝に挑んだ。立ち上がりは日本体育大ペース。緒戦とは打って変わって高麗大学校はミスを連発。インサイドの#1コネを気にしてか、シュートの精度も上がらない。日本体育大はスリーポイントをはじめディフェンス、リバウンドからの速攻など持ち味が出て1Qは21-10。2Qもシュート確率が入らない高麗大学校は、リバウンドを何度も抑えるが決めきれない。一方、日本体育大もやや得点の伸びが鈍化。高麗大学校は苦しみつつも#6パク・ジョンファンのスリーポイントで残り1分半に27-23と追い上げるが、日本体育大リードの29-23で前半終了。

高麗大学校は3Qからシュートが復調。開始5分に#1ユ・ミンスのスリーが決まるとついに逆転に成功。さらに#10ユン・キチャンのスリーポイントで引き離す。勢いは止まらず、#1ユ・ミンス、#24ムン・ユヒョンら得点源が決め、ディフェンスでもターンオーバーを奪うと、39-49と10点のリードとなって3Q終了。
4Q、日本体育大学は#1コネのバスケットカウント、#21月岡が連続でねじ込み、立ち上がりから粘る。高麗大学校はディフェンスに阻まれて苦しい中、#1ユ・ミンスのスリーポイントで打開。リズムを立て直して再びリードを広げた。日本体育大学は終盤プレスでミスを奪っていくが高麗大学校の勝負強い得点で差は縮まらず。54-68で試合終了となり、高麗大学校が2年連続決勝の舞台に駒を進めた。
日本体育大学はスリーポイントと速攻を軸に、点を取るバスケットを志向している。1Qはリードして試合に入ったが、点数が伸びていかない時点で自分たちのペースだという感覚ではなかったようだ。「チーム全体でスコアができなかった。それはこれからの検証課題」と藤田HC。この先も続く国際大会を含めて、ここから蓄積・解析を経てチームに還元されることを期待したい。今月だけで2つの国際大会に出場する日本体育大にとっては、「強くなるための8月。誰しもできる経験ではない。この舞台を用意していただいて、こんな環境で学ばせてもらえている」ことの意味を最大限にチームの成長につなげるだけだ。

高麗大学校のチュ・ヒジョンHCはシュートは水物と、前半の確率の悪さには固執していない。もともとチームは韓国内でも「防壁」と称される鉄壁のディフェンスこそ武器。ハイスコアリングゲームを得意とする日本体育大を50点台に抑える見事な守りが勝利を引き寄せた。決勝の相手は昨年と同じくデ・ラサール大学。「相手チームは個人技が強い。活路を見出すならスリーポイント」というが、ディフェンスとスリー、これをどこまで見せられるかが見どころになりそうだ。