「岩下に届け!」掲げられた13番とリストバンド
第61回日筑定期戦、男子戦は3年ぶりに筑波大が勝利を納めた。
互いのチーム応援が賑やかなのが定期戦らしさだが、この日の筑波大の応援席ではタイムアウトをはじめ、さまざまなタイミングでボードが掲げられた。そこにあったのは「13」の文字と選手の写真。そして選手個々も「13」が刺繍されたリストバンドを身につけていた。

それは昨年度主将・岩下准平の背番号と姿だった。
岩下は「Bリーグドラフト2026」1巡目で長崎に指名され、その後育成契約選手制度による期限付移籍で滋賀に移った。本来の能力を発揮して活躍していたが、4月7日の試合で負傷。その後チームから左前十字靭帯損傷とのリリースが出された。
岩下は高校時代と大学時代にそれぞれ1回ずつ、左膝の前十字靭帯断裂の悲運に見舞われている。今回は「損傷」とはいえ同じ左膝。この怪我がどれだけ彼にダメージを与えたかは計り知れない。
チームメイトたちは大学時代の岩下が過酷なリハビリを乗り越えて復活を遂げた姿を間近で見てきた。そして今度の怪我にも負けないで欲しいという想いを表現しうようと考え、日筑戦の応援に乗せたのだった。
リストバンドを作りのきっかけになったのは今年度の副キャプテン、#4大和(4年)だ。
「2年次の怪我で彼が苦しいリハビリをする姿を見てきました。頑張ってくださいと言葉で言うのは簡単ですが、准平さん自身が頑張っている中で起きたことです。だから頑張れという言葉以外の行動か何かで准平さんに僕たちの気持ちが伝わればいいなと思ったんです。ヘッドコーチの仲澤さんとミーティングで話し合い、その結果リストバンドを作ろうということになりました」
もちろんこの計画は事前に岩下には伝えられていないが、日筑戦の時期だったこともあり、自分たちのみならず「メディアを通じて発信することで応援していることが伝わればいいな」と考えた。

前十字靭帯の怪我からの復帰は程度やリハビリの状況により半年から1年ほどはかかる長い道のり。岩下はそれを2度克服してきた。また昨リーグ戦中にも手の甲を骨折したが、リーグ終盤には復帰を遂げてシーズンを戦い抜いた。そんな風にこれまで数々の苦難を乗り越えてきた彼に、少しでも寄り添いたい。そんな想いが少しでも伝わって欲しい、そんな願いを込めた。
そして気持ちだけではなく、この日は結果でも示した。
「試合前のミーティングで仲澤さんから自分たちが結果で見せることが彼の元気に繋がってほしいし、彼の気持ちが切り替えられるような試合にしようという話がありました。もちろんみんな同じ気持ちだし、それもあって、すごくモチベーション高く試合をすることができました」
自分たちの今年度のスローガンである「強い筑波を創る」を体現することで彼の励ましになるように。そして岩下が少しでも前向きになり、コートに戻ってこられるように。
筑波大にとってはさまざまな意味のある大きな一勝となった。


