今季2部降格となっている山梨学院大。しかし2部リーグでは序盤の2敗以降は安定して勝ち進み、見事19勝3敗で2部優勝を決めて入れ替え戦に臨む。中心となるのは中村、齋藤、スヴェトリシックなど昨年も主力として出場していたメンバーに、期待の1年生も加わった布陣だ。その中で菅野もポイントゲッターの一人として活躍するが、先輩からのサポートも糧にしながらのびやかにプレーしているのが印象的だ。
線は細いがセンスは抜群で、8月のWUBSには2年連続で日本学生選抜のメンバー入りをし、経験も積んでいる。まだまだ成長中の2年生だが、1部復帰をかけた入れ替え戦でのパフォーマンスにも注目したい。
WUBSでは優勝チームの選手のプレーに感銘を受ける
─まずリーグ戦の前には8月にWUBSへの参加がありました。違うチームの人と短期間でチームを作り、海外の大学チームと戦いますが、どんな刺激がありましたか?
「二度目の出場でしたが、やっぱり外国チームは高さがあるのでそこでちょっと苦戦したところもありました。でもそのおかげで留学生とかと戦うときの対処も学べたし、すごくいい経験になりました。自分のチームじゃない選抜でのプレーは少し不安に思うところもあるんですが、やってみればすぐ仲良くなります。また外国の選手とやる時には、身体能力では負けているので頭を使ってやらないと戦えません。だから相手の裏の裏をかいたりするところや、サイズが小さくても頭を使ってプレーすることが必要で、そういう部分はすごく自分の刺激になったと思います。でもフィジカルの差も感じるし、自分もトレーニングはまだ足りていないので、いろいろまだまだだなと感じさせられる場でもありました」
─WUBSではいいところの印象的なシュートもありました。菅野選手の名前を聞かれたりもしましたよ。あの大会で印象に残った選手はいましたか?
「自分の中で印象に残ったのは優勝した高麗大学のポイントガードです。もう、ものすごくうまい、本当にめちゃくちゃすごかったです。一目惚れをするくらいにうまくて感動して、あれから彼のプレーを動画で探してずっと見ています。自分と同じポイントガードだし参考にするところもたくさんあります。本当にすごい選手だと思いました」

─24 番のムン・ユヒョン選手ですね。本当に勝負強いし上手かったですよね。彼は去年も今年も日本のガードは上手だとほめてくれていました。3年生ですがアーリーエントリーでKBLのドラフトを申請したようですね。
「ほめてくれたんだったらうれしいです。ホテルが別で試合以外では会えなかったのが残念ですが、本当に動画を何度も何度も見ています」
ボールをシェアして誰もが攻められるチームを目指す
─それこそ本当に刺激になった出会いですね。そしてリーグ戦に入って序盤に少し負けがあって、15戦目の江戸川大戦の勝利で首位に立ちました。1巡目は江戸川大に大差(63-90)で負けていますがそこでの反省は?
「最初の江戸川大戦は相手の気持ちに自分たちが押されて負けました。技術どこというよりも気持ちの面で全部負けていて、自分たちが悪いまま試合が終わってしまったという感じです。イゴール(#98スヴェトリシック)が1戦目で怪我をしてしまったのでいなかったのも大きいです。彼はやはり中心選手なのでそこで自分たちに焦りが出てしまって、序盤は調子が上がりませんでした。イゴールが復帰してからは自分たちでやりたいことをやって、自分たちのペースで試合を進めることができています」
─菅野選手は初めての2部リーグですが、2部チームはバスケも1部とは違うところがあると思います。やりにくさはありますか?
「そんなには感じないです。でもとにかく、どのリーグでも自分たちがやるべきことをやらなかったら負けるし、やるべきことやれば絶対勝てる、それは変わらないと思います」

─試合を見ると連携などが昨年より良くなってボールも回り、チームとしてだいぶ成長を感じるように思います。競った場面でも菅野選手も落ち着いて大事なシュートを決めていますね。
「昨年はハンドラーがボールを持っている時間が長くて、そこでプレッシャーを与えられてやられたところたくさんありました。今年は学生コーチからどこからでも攻められるようなチームを作ろうとやってきています。そこがだんだん良くなってきたのかなという感覚です」
─そして今年のチームは4年生の少ない、下級生中心のチームですね。
「Aチームは4年生がフランシス(#70カマレムレマ)だけで、ゲームでは千颯さん(#5中村)がキャプテンとして引っ張ってくれています。チームキャプテンの藤崎さん(#0)はベンチにはいませんが、試合以外のところでサポートしてくれていて、『明日勝ってこい』と励ますようなメッセージをいつも送ってくれます。試合は3年以下が多いですが、コート外にいる先輩の存在もかなり力になっています」
─コートにいなくても頼もしい先輩ですね。その分、入れ替え戦で勝ちたいところですね。
「本当にその通りです。そういう声掛けのおかげで4年生のために頑張ろうと思えるし、結果を出したいです」

※インタビューは第15戦終了時に行いました。
菅野 陸(すげの りく)
176cm/69kg/PG
帝京安積高

  
  
  
  

