固いディフェンスでペースを掴んだ日本経済大が東海大を下す
日本経済大は開始から#35ボディアン(1年・PF・柳ヶ浦)の内外の得点、#11大庭(2年・PG)のシュート、#8今泉(4年・SG)の速攻とたたみかけ、一気に16-2と開く。東海大は日本経済大のディフェンスに阻まれてオフェンスが重く、獲得したフリースローの確率も上がらず1Qは21-9と出遅れる。2Qになると東海大は#60佐藤(2年・F)の速攻が出て、#12十返(1年・SF・八王子学園八王子)がドリブルから加速すると#8今泉の上から豪快なポスタライズダンクを叩き込み、会場を沸かせる。その後も#60佐藤と#12十返を中心に得点を返した東海大がじわじわと点差を詰めて残り3分半で32-28の4点差に迫った。しかし日本経済大は#35ボディアンのバスケット・カウントや#1プライス(4年・SF)がタップでシュートを押し込むなど好プレーが続いて前半は37-32。

後半3Q、立ち上がりはまたしても日本経済大の流れ。#8今泉がスリーポイントを含む3連続得点をすると#20浅田(2年・SG)、#86是久(2年・PF)のスリーポイントなどが続いてチームをのせ、54-43と差を開いた。4Qも日本経済大の勢いは落ちない。#20浅田のスリーポイントで幕を開けるとその後も速攻、合わせなど得点を重ねる。東海大は日本経済大のディフェンスの前にミスが連発する悪い連鎖から抜け出せず、なんとかフリースローで粘っていくが追いつけず69-61で試合終了。日本経済大が終始リードを渡さず勝利し、堂々の3位に輝いた。

ドラフトを志願したが2年目の選手が上のステージでどのような評価を受けるか注目したい。
関東と戦うため、高めたディフェンス力で堂々の3位入賞
前日の準決勝では競り合いになったものの早稲田大に大量得点されてしまった時点で「自分たちのゲームではなかった」と語った日本経済大。3位決定戦は立ち上がりから強固なディフェンスで東海大から多くのターンオーバーを奪い、自分たちのペースに持ち込んだ。関東の強豪との練習試合を重ねて強化してきたディフェンス力が光った今大会、ゲームキャプテンとして数々の見せ場を作った#8今泉は「片桐さんに身長が小さくても泥臭くやって、感動させるようなチーム、応援してもらえるようなチームを目指そうと言われてやってきました。インカレを通してそれをチームで表現できたと思います」と、大学バスケで見せたかったことをやりきれたと語る。グループステージから勝ち上がり、こなした試合は7試合。逆転劇を連発し、最もタフで、そして鮮烈な印象を残したチームだった。

九州勢としては48回大会(1996年)の九州産業大の4位を上回る、3位を獲得(九州勢の最高位は初回大会の西南学院大の2位)。「最後は勝って終わりたいというモチベーション」の高さが勝利を引き寄せたと片桐監督はいう。「関東の強度が高いチーム相手にどうするか、1年間チームでどう考えてやっていくかっていうところが課題でした。九州はリーグ戦が10試合しかなく、関東だと22試合あります。その差をどう埋めるか常に考えながら取り組んで、練習中からハードにやってきて、その結果として通用するような形にはなった」と、環境の差がある中で関東に遠征して練習試合を重ねるなど、試行錯誤してきたことが実った1年だった。
しかし、常に上を見て高いレベルで準備ができたかというと完全だったわけではない。「インカレに来る前は練習中に雰囲気が悪くなったり、せいぜいグループリーグ突破が目標なんじゃないの?くらいのチームの雰囲気もありました。目標が明確ではなかったところがあります。でも僕はトーナメントでやっぱり関東の2つ(中央大・明治大)をまずしっかり倒したかった。まずそのことを考えようというところでやってきて、それを果たしたことで結果としては勢いが伸びました」と、徐々に勢いをつけてきたことが伺える。準決勝の早稲田大の敗戦が悔やまれるが、最終的には「学生スポーツだから何が起こるかわからないというところを表現できた」という結果になったが、新人インカレの優勝に続いて大学バスケットに新たな風を吹かせた1年になった。
日本経済大は1月に天皇杯を残す。4年生はインカレで引退する意向だが、上位カテゴリのチームとの対戦を来年度のチームづくりに生かしたいと締めくくった。

期待のルーキーが語る悔しさと来季への抱負
東海大はいい試合もあったが序盤では京都産業大と競り合うなど、出来にばらつきのある大会だった。ただ、3年生以下が中心というチームはまだ発展途上ともいえる。来季の飛躍を期待したい。
大会を通じて気迫あるプレーを見せたルーキーの#12十返は「結果はつかなかったんですけど、今までの練習は間違ってはなかったと思っています。ただ何かが足りなくて、4位で大会が終わってしまいました。来シーズンはこの足りなかったところを一つ一つ突き詰めてやっていかなきゃいけないと思った大会でした」と振り返った。準決勝後には泣き崩れる場面もあったが「4年生が気楽にやってこいみたいな感じだったので本当に勝つことだけにフォーカスしていました。でもうまく結果に結びつけられなくて、本当に4年生に申し訳ない気持ちが強いです」と悔しさをつのらせた。
前評判は高く、ルーキーとは思えない活躍を見せた1年だった。既にBリーグの特別指定やU23に選ばれるなど経験は抱負だ。だが「大学バスケを盛り上げるという強い意志があったので大学バスケを選びましたし、少しでも貢献じゃないですけど、できていたらいいかなという気持ちでした」と大学でプレーする意味を語った。インカレでも華麗な速攻やダンクなど、さまざまな見せ場で会場を沸かせて周囲の期待は高まる一方だが、まだ大学でプレーする意志はある。「来季は全タイトル取ることはもちろんですが、インカレの借りはインカレでしか返せないと思います。今年の4年生や歴代のOBの方々の想いも込めて、また一からチーム作りをしていって、借りをインカレで返したいと思います」。その言葉をぜひ来年度実現してもらいたい。

リーグ戦とは違う戦術を取り入れたインカレだったが、取り組みは間違っていないという。


