190センチの上背を生かし、シューティングガードとしてアウトサイドシュートを打つだけではなく、インサイドへも積極的なアタックで流れを引き寄せるプレーを見せる。
今年の日本大のスタメンに入る3人の4年生のうちの一人として、プレー以外でもメンバーへの指示など、多方面での存在感を放っている。高校時代を含めて経験値が多い分、自分のできることをやろうという姿勢がそうした行動に現れている。今年はスタメンや一部の上級生以外の試合経験が少なく、少しずつ出番が増えているといってもまだ足りない部分もある。現状で計算できる戦力をどう使い、戦っていくのか、課題は多いが考え続けて最後のインカレに向かう。
自分たちの現状を把握したうえで勝つ方法を探っていく
─リーグスタートは悪くありませんでしたが、途中は連敗する少し流れのよくない時期もありました。どのようなリーグ戦だと感じていますか?
「負けた試合の反省としたら、やはりリバウンドのところと、ポゼッションが増えない、トランジションでオフェンスの回数が増えなかったことですね。試合の中で修正できて、いい形に持っていけたときもあるし、立て直せない日もあったけど、全体としての課題となると、日本人のみのチームに対してミスマッチを有効的に使えないというのが今年のうちの弱いところだと思います。インサイドのブラ(#23ボロンボ)はスキルフルなタイプではないので、そこをどうカバーしていくかは自分の課題でもあるかなと思っています」

─泉選手が個人のプレーとして対応するということですか?
「というよりはチームをどう動かすかというのをやらないといけないなという感じです。今のうちができるプレーは限られていると思うので、そこを考えて方法を見つけることを自分もやる必要があります」
─方法を見つけるという意味では、かなり試合中は泉選手が指示もしていますね。
「チーム状況的に自分がやったほうがうまく回るというか、先発メンバーの中では指示するタイプの選手が少ないので、自分がやらないと崩れてしまうかなと思っています。もちろん学生コーチもいるし、みんなでやっているという感覚ですが、その中でも自分の知識をちゃんとみんなに共有して、その中での最善をみんなでやりながら見つけるというのが今のうちのスタイルというか、やらなきゃいけないことだと思います」

─昨年は4年生がすごく多く、集大成としてインカレ制覇も成し遂げました。今年はどういうバスケにたどり着きたいと思っていますか?
「理想論ですけど、本当はもっとボールと人を動かしていきたいんです。5人全員がボールを触って、ボールをシェアしながらギャップをどんどん大きくしてドライブしていったり、ズレを使うなど、うまく5人が連動してボールと人が止まることがないオフェンスができればベストです。でも面子もスキルもまだまだ足りないので、僕と山田(#20)がハンドラーをして、そこからのギャップをどんどん大きくしていくというのが、今年のうちのスタイルかなと思います。僕ら2人のターンオーバーが増えなければすごくいい展開になってくると思います。そこで奥浜(#11)がスリーポイントを決めたり、新井(#7)がドライブしてレイアップにいったり、ジャンプシュートを決めたりとかしてくれるといいのかな。自分は目立たなくていいので、チームとして勝てる方法を探っています」
─聞いていると課題感を持って取り組んでいるのがわかりますが、インカレに合わせてどこまで押し上げられるかですね。
「スタメンのうち山田、新井、奥浜と自分は去年から出ていますが、ブラはまだまだなところもあります。ベンチメンバーも経験が足りているとはいえないです。でもベンチを含めて全体の力をどこまで上げられるかがチームとしての底力ですよね。それがあとわずかの時間でどこまでできるかだと思います」

学生でしか味わえない一体感や達成感がある
─学生チームはそういう代替わりしながら強さを維持していく難しさがあります。
泉選手は学生バスケットにおいて大事なところ、いいと思える部分は何だと思ってますか?
「学生は同期や先輩、後輩、そういういろんなメンバーがいて、同じところでご飯を食べて同じところで寝て、一緒に練習に行ってという、そういう学生にしかできない一致団結感があるのが特徴だと思います。プロは職業としてバスケットをやっていく世界ですが、学生はそれぞれの学校のプライドだったり、周囲のみんなのために頑張って、4年間でどうステップアップしていくかを問われます。とはいえ自分もそういったことを常にそこまで意識しているわけではないので、その価値をどう捉えるかうまくいえないんですが、みんなで盛り上がったりする学生らしい良さは確かにありますよね」
─自分自身、大学バスケをやってどんな成長ができたと感じていますか?
「ここまで4年間やってきて思うのは、やはりできないことができるようになる喜びや達成感を感じられた時間だったということです。大学でのプレーはそれまでやっていなかったことをやらないといけない状況がどうしても生まれます。自分は高校のときはドリブルをしない選手だったけど、今はハンドラーがちょっとできるようになってきました。この先、例えばプロになったりすると役割が限定されていくし、カテゴリが違えば必要なものはまた変わっていくと思いますが、学んで成長を実感できる大学バスケの時間を過ごしてきて良かったなと思っています」

※インタビューは第13戦終了時に行いました。
泉 登翔(いずみ とわ)
190cm/81kg/SG
福岡大附属大濠高





