リーグ12試合目にして、遂に初勝利を挙げた専修大。
現在、専修大学は関東大学リーグで最長の1部在籍チームであり、近年は常に上位争いに絡んできた。しかしチームの主力の離脱が相次ぎ、今季は特に苦しい戦いを強いられている。
難しいシーズンを送っているが、チームとしての奮闘が見えるリーグ戦でもあるのは確かだ。接戦の末、ようやく掴んだ1勝目では松野が決勝点を決めた。ここまでの道のり、そして自分の、チームの果たすべき責任は何なのか、まだ道半ばではあるが視線はぶれていない。後半戦にどれだけ目指すものを見せて体現できるか。覚悟を持って挑む。
チームにとって大きな試合の一つになった初勝利
─初勝利おめでとうございます。ここまで長く、簡単な心持ちではなかったと思います。
「専修大は今まで勝ちが当たり前というか、負けることが珍しいという、本当にトップを狙ってきたチームです。でもだからこそ、先輩たちとかのありがたみとか、すごく頼ってきたんだな、という部分も感じていました。やはり負けが続くことによって“負け慣れ”してしまう部分もありました。チームに昨年あまり試合経験してないメンバーが多い中で、負けが続いてしまうと勝ち方が分からなくなってしまって、こうやって負け癖になってしまうんだなと感じていました」
─心理的に難しい状況での戦いですね。
「どう声がけしたとしても勝ちを経験しないとやはり駄目だなと思っていたので、今日の試合で自分がエースとしてちゃんと活躍して、チームを勝たせられたのが本当に自分の中でもうれしいですし、一番はチームにとってすごく大きなひとつの試合になったかなと思います」
─ここまでいくつか接戦もありました。負けが続く中でもあきらめていない様子は伝わりました。
「筑波戦とか明治戦とかは負けてしまったんですけど、1巡目の11試合の中でも一番戦えていた試合でした。経験がない分、やはりそういうところで頑張って続けて、また新しい課題を見つけて、そこをクリアしていくだけなんですよね。課題が出た後にこうやってちゃんと接戦のゲームで勝ちきったというのは成長できている部分かなと思います」

見失った自分を取り戻した周囲の助言
─そんな積み重ねをしてきて、今日の神奈川大戦は松野選手のシュートが最初から入っていましたし、好調でしたね。
「ホームゲームっていうのもありますし、楽しむことも意識していました。なんというか、プロの練習とかも経験させてもらったこともあって、1巡目はそこで学んだようにきれいにやろうとする意識がちょっと残ってしまってて、それで自分のプレーがうまくいかなくなっていました。そのせいで自分がエースなのに気持ちが落ちて自信をなくしてしまっていたんです。チームメートからも監督からも『自分を過小評価しすぎじゃないか』『自分に自信がないように見える』と言われたりしていました」
─1巡目、あまりらしいプレーが見られなかったのはそういうことがあったんですね。
「あと、OBの中川さん(中川直之氏※)が練習に来てくれることがあるんですが、『エースだし、まずはゴールを狙わなきゃいけない』というようなアドバイスをたくさんしてくれました。優一さん(佐々木監督)にもそうと言われていましたし、まずは自分がチームを勝たせるために、やはり得点を取ることが一番だと再確認しました。バイウイーク明けの2試合は負けてしまったんですけど、その中でも攻める姿勢を常に持ってどんどんアタックしていこうとしています。そこからまた出てくる課題もありますが、それをクリアしていけば、エースとしての役目を果たせます。そうすることで結果的に1人の一選手としての価値も上がると思いますし、そこからプロにつながると思うので、今はまず目の前のことに挑んで壁をひとつずつ乗り越えていくだけです」

4年生たちが果たすそれぞれの役割
─松野選手以外の4年生も奮闘が見えます。
「でも最初はうまくいきませんでした。自分たちは仲がよくてバスケットの中でもちゃんと言いあえる関係だと思っていたんですけど、意外とそうじゃなくて。言わなくていいって思っちゃっているのか、ぶつかりを避けていたところがあるんです。仲良く見えていただけだったんですね。今年、そこは4年生らしくいて欲しいというのを何回も何回も指摘されてきました。今はキャプテンの後藤(#5)もそうですし、副キャプテンの高橋(#2)、3年生で副キャプテンをやってくれている野﨑(#28)たちが、本当にどんどん引っ張ってくれるようになってきています。自分はプレー中のゲームキャプテン的な役割で、ゲームでは一番目立たなきゃいけません。だからプレーでどれだけ後輩にいい影響を与えるかを考えています。そうやってみんなでどんどん声をかけて、少しずつよくなってきているかなと思います」
─チームとしても成長している様子が伺えます。後半戦、ここから上げていきたいですね。
「やっぱり同じ大学生なので、引くことはありません。チームとしてやってやることは変わらずに立ち向かっていって、勝ちに貪欲にやり続けたいと思います」

松野遥弥(まつの はるや)
190cm/80kg/SG
桜丘高
※中川直之…「考えるバスケットの会」主催。2024年専修大卒。2002年インカレ優勝。