準々決勝から1週間の期間をおいて行われた男子の準決勝は、第1シードの早稲田大と第3シードの白鷗大が決勝へと駒を進めた。早稲田大が勝って57年ぶりに「紺碧の空」を会場に響かせるのか、白鷗大が2年ぶりに王者に返り咲くのか、初の顔合わせに注目が集まる。
3位決定戦では日本経済大と東海大が対決する。7月の新人インカレでは東海大は日本経済大破れて決勝トーナメントに進むことができなかった。全体チームとしてどのような戦いになるか、こちらも見逃せない。
早稲田大が日本経済大に主導権を渡さず
57年ぶりに関東リーグを優勝し、第1シードで大会に臨んでいる早稲田大と、創部初のベスト4入りを果たした日本経済大の戦いは、次第に早稲田大がペースを掴む格好になった。1Qは互いに点を取り合う形になり22-23。早稲田大は#6三浦(3年・F)が連続得点、日本経済大は#35ボディアン(1年・PF・柳ヶ浦)、#8今泉(4年・SG)が巧さを見せた。2Qも互いに点を取り合う中、残り3分に早稲田大がこの試合初めて4点以上のリードに成功して前半は46-42。

3Qは早稲田大が#14高田(4年・SG)のスリーポイントで幕を開けると、日本経済大も#1プライス(4年・SF)のスリーポイントや#11大庭(2年・PG)のシュートで返し、再び1点を争う展開になるかと思われた。しかし早稲田大がその後も内外好調だったのに対し、日本経済大はミスが続きじわじわと引き離されてこのQで10点差がつくと、4Qは#12松本(1年・SF)がスリーポイントやポストアップからのシュート、#18岩屋(4年・PG)のスリーポイントで畳み掛けて差を維持する。日本経済大はインサイドの#35ボディアンを筆頭に追いかけるが92-83で試合終了。早稲田大が57年ぶりの決勝進出を果たした。
早稲田大のペースに巻き込まれ、持ち味を出しきれなかった日本経済大
両者拮抗した立ち上がりではあったが、日本経済大#8今泉は「早稲田さんのペースに乗っかっていってしまったというか、自分たちの思うような展開で試合ができなかった」、#1プライスも「うちの特徴として失点60点台というゲームをしたいところを、1Qで 20点ぐらい取られてしまって、早稲田のペースになってしまいました。やはりもっとアグレッシブなディフェンスをやるべきでした」と声を揃えた。試合中もベンチからは「ディフェンスから」とたびたび声が飛んでいたが、淡々と決まっていく早稲田大のシュートに引きずられてしまったのは確か。準々決勝から1週間空くコンディショニングの難しさや、関東上位と戦う経験値など、さまざまな「初めて」を経験する準決勝のステージとなった。残る3位決定戦には「しっかり反省して頑張りをつなげていきたい」(#1プライス)というが、今年の総決算であるのはもちろん、来年度以降の日本経済大の飛躍にも関わる一戦であることは間違いない。彼ららしいバスケットを期待したい。

一方の早稲田大は第20回大会(昭和43年)以来の決勝進出。リーグ戦と同じく、気負いを感じさせない彼ららしいバスケットを淡々と展開した。リーグ戦MVPでもある#6三浦が30点をあげたが、誰でも点が取れる強みが日本経済大ディフェンスを翻弄した。
攻守とも勢いを見せた白鷗大が終始リードで東海大を下す
関東2位の東海大と関東3位の白鷗大の対戦は、立ち上がりから白鷗大の勢いが圧倒し、最後まで東海大を追いつかせることはなかった。白鷗大は開始から調子よく得点を重ねてリズムに乗った。ディフェンスでもオフェンスでも身体がよく動き、リバウンドでも強さを発揮。速攻や#25モンガ(4年・PF)のダンクも決まり東海大を圧倒して1Qで27-12。東海大は2Qにゾーンで白鷗大の足を止めにくるが、攻撃ではシュート確率が悪く#9江川(2年・PF)が2本のスリーポイントを決めた以外は外が当たってこなかった。

白鷗大は49-31と大量リードで前半を折り返すが、後半は東海大も追い上げる。#12十返(1年・SF・八王子学園八王子)が立て続けに得点して差を縮めていくが、白鷗大は#37南澤(2年・PG)のスリーポイントが決まるなど、ベンチメンバーがいいプレーで勢いを切らすことなく63-51。4Q、追いかける東海大は#9江川の3本目のスリーポイントで残り4分に5点差まで詰め寄った。しかしその後、白鷗大は#22内藤(3年・PG)がスリーポイントを返し、また東海大にベンチテクニカルもあって追いつくまでの流れは来ず、94-75で白鷗大が決勝進出を決めた。
4年生たちが見せた気持ちがチームを引っ張った白鷗大
決勝の早稲田大戦に向けては「1対1がうまいし、淡々とシュートずっと狙ってくるチーム。そこに引っ張られず、自分たちのディフェンスとリバウンドをしっかりしてアタックする。そこはきちっと戦って1点でも上回って終わりたい」と2年ぶりの優勝に向けてチャレンジする。
「前半の貯金が大きかった」と白鷗大・網野監督。「ディフェンスの強度を上げることを自分たちのエナジーに変えて、点数がきちっと前半伸びた」ことで追い上げられた苦しい時間帯も耐えられたという。「佐古(#30)、ジョエル(#25モンガ)、あと佐伯(#4)など、4年生の気持ちがちゃんと表れました。試合後のロッカーに戻った時も、『やっぱり4年生はすごいな』と3年生以下から声出ていたので、後輩たちにとってもすごくいい見本になった試合」だというが、4年生が気迫を見せる大学バスケの良さが全開の試合展開だったといえる。

17点21リバウンドの#25モンガは「東海もタフなチームだからアグレッシブにいった」と気合を感じさせるコメント。「今日みたいなハードワーク」で決勝も勝ちに行く。

敗れた東海大は主力が力を発揮したが、白鷗大の勢いを上回るまではいかなかった。唯一得点で上回ったのは3Qのみ。ここで奮闘を見せた#12十返がロッカールームに戻る途中で泣き崩れてしゃがみ込んだが、ルーキーでありながら1年間スタメンとして背負っていたプレッシャーの重さを想像させる光景だった。3位決定戦は新人インカレで敗れた日本経済大と対戦する。どのような戦いをするか最後まで重要だ。


