【2025関東リーグ戦1部/PLAYERS INTERVIEW】「大事な場面は自分が決める」主将としての責任を果たし、勝って力を証明/#18岩屋 頼(早稲田大・4年・PG)

2025関東リーグ

今リーグではシックスマンとしてベンチスタートになったが、これほど頼れる存在はなかった。スピードでコートをかき回す下山に対し、岩屋はコントローラータイプでありつつシュートの積極性も高い。昨シーズンも欲しいところで1本を決めていく選手だったが、今年はさらに存在感が増し、流れが悪いとき、他メンバーがシュートを打つのが怖くなっているときこそ自分がやるべきときだと自覚し、高確率でシュートを決める姿が目立った。さらには人生初だというベンチスタートは「やりやすい」と、自分の感覚にも合っていたようだ。

大学に入り3×3にも取り組んできたが、それはシュートのアテンプトや自分でシュートタイミングを作っていくというスキルの向上にも大いに役立っている。この先はプロを目指すが、そのために必要な力を着実に蓄えてきた4年間といえるだろう。残すはインカレでどのような活躍を見せるのか、早稲田大学としても歴史上2度目の優勝を懸け、最後のチャレンジが始まる。


チャレンジャーとして優勝を遂げ、力を証明できた

─優勝おめでとうございます。勝てば決まるという明治大戦はダブルオーバータイムまでもつれこむ熱戦でした。

「まずは嬉しい気持ちです。昨日の東海大戦に勝って優勝がかかっているというものの、みんなほっとしていた気持ちがあって、ちょっとだけゆるみが出てしまったかなと思います。でもダブルオーバータイムなんてめったにないことなので、すごく楽しくも感じてやっていました」

─かなり盛り上がりました。春シーズンにチームには5対5の代表候補に入っている選手はいないけれど、今年は自分たちの力を見せていい意味で見返したいというようなコメントもされていました。見事結果を出しましたね。※3×3では代表入り選手もいる

「各チームに世代を代表する選手たちがいる中で、春の僕たちはそういった選抜に入っている選手がいないという状態でした。留学生もいません。だからこそやってやろうという思いがありました。こうやって優勝できたことで、いろんな意味で自分たちの力を証明できたんじゃないかと思います」

─このリーグ戦は本当に安定していて、高確率のシュートで突き放すだけではなく、競り合いの試合を制する勝負強さもありました。自信はあったのでしょうか?

「みんな自分たちは強い、みたいな変な自信は多分なくて、普通に謙虚に頑張ろうというチャレンジャー精神を持っていたと思います。勝っていることがすごいぐらいの感覚だったんじゃないかな。いい意味であまりプレッシャーがありませんでした」


3×3の経験がアテンプトを増やしタイミング作りにも活きている

─そんな中、岩屋選手は春と違ってリーグ戦はベンチスタートになりました。この差はどう対応しましたか?

「今のスタメンは結構、シュートのうまい選手を揃えて出だしに勢いよくバーンといくっていう感じの構成になっていると思うんですけど、その歯車がかみ合わないときに僕がベンチから試合に出ていく形でした。試合状況をコート外で見た感覚をみんなで共有しながら、チームの流れを変えればいいかなと思っていて、ベンチスタートとしていいところで決めることや、接戦とか大事な場面はかなり意識して決めようと思ってやっていました。みんなある程度力があるので、勢いに乗ってしまえば点は取れるんですけど、大事な場面というのはチームの流れも難しくて、シュートを打つのが怖い選手も多いと思います。そういうシーンは絶対自分でやろうというのは決めています」

─ベンチから出てくる岩屋選手の頼もしさはかなりありました。でもそこまでに試合を外から冷静に見ているので状況判断しやすくなっている状態なんですね。例えばプロになったとしてもスタメンではないパターンも考えられますし、役立ちそうな経験ですね。

「これまでベンチから出ていくことがなかったんですが、大学で初めてこういう試合の出方をしてみて、意外とベンチから出るのってやりやすいんだなとも思います。確かにプロは簡単にスタートで出られるわけじゃないと思っているので、ベンチから出てどう自分を活かすのかをこのリーグ戦のおかげで学べたと思います」

─ベンチスタート以外にも、3×3なども経験して大学時代に幅を広げられた部分もあるのでは。3×3で得られたものは5対5に還元できているんですか?

「結構それはできていると思っています。去年3×3の代表に選んでもらって、それまではシュートは自信がなかったわけではないんですが、ワイドオープンなど自分のタイミングでしかシュートを打っていませんでした。3×3は打つチャンスを逃してしまうと厳しくなるので、タイミングを自分で作って打つ習慣というのが身につきました。そこで去年あたりからアテンプトも増えて、さらに今までのシューティングをしてきた分がちゃんと試合に出て、確率よく決められていると思います」

─シュートは本当にみんな確率がいいですが、練習もそういうシューティングを生かしたものだと聞いています。

「シューティングは本当によくやっていて、最初1時間くらいはシューティングをしています。高校の時だと最後にシューティングだったんですけど、最初にシューティングをやってそこから対人練習に入っていくという形になるので、タッチもリズムよく決められていますね」


インカレでも強い早稲田を見せたい

─大学に入ってきたとき、1部のトップになって勝つとか、そこまでの明確な目標は持てていましたか?

「試合にたくさん絡んで、プロに入りたい思いはあったので少しはアピールできたらいいなと思っていたくらいで、すごく強く考えていたわけではなかったです。でもやはり過去の3年間、スタッツ自体は結構いい数字を残せていたとは思うんですけど、勝ち星だけが足りていませんでした。今年こうやって勝たせられるようになったのはすごく良かったなと思います」

─堀田選手(#7)が今年勝てたのは、早稲田のバスケットスタイルを去年までは全員が信じてやりきれていなかったところを、吹っ切ったのが大きいかもと言っていました。

「早打ちのスタイルなんかは4番、5番ポジションがリバウンドとかが大変だし、チームとしてもシュートが入らないとよくない雰囲気になってしまいますよね。それが今年に入って、倉石さんからリズムがあったら打っていくようにという指示で徹底していきました。最初はみんなどうかなと思いながらやっていた部分があると思うんですけど、だんだん結果が出てきて、身についていったのかな」

─メンバーも変わらないし大きく変わった印象はないですが、シュートにより積極性を出して決めきる強さが勝利を呼んだわけですね。

「これまでは5番ポジションの選手にそこまでシュートが得意ではない選手がいたところ、今年は全員が打てる選手が揃いました。そこで成功体験が自分たちの自信につながって、こういうプレースタイルが確立されたところがあります」

─倉石監督は以前コートに出ている5人が同じようにできるのが理想、というようなスタイルを目指しておられたと思います。今年のチームはそこに一番近いかもしれないですね。

「今も5人が同じようにできるということは重視されていますね。誰かが30点取る試合とかもあったりするんですけど、それはそれでよしとして、それでも理想はやっぱり全員が10何点を取れることで、その勝ち方がいいとずっと言ってくれていましたね」

─高さの不利も全員のシュートが入ることでカバーできていたのもすごかったです。
インカレは今度、追われる立場になりますがどう戦いますか?

「優勝したのでスカウティングもされると思うし、今までみたいに自分たちの良さが出しやすい環境ではなくなると思うんですけど、それでも時間帯によっては自分たちの流れが来る場面があると思うので、そこで力を最大限に出すために練習するというのと、今までのリーグで課題が出たいろんな部分、リバウンドとかディフェンスのも修正していきたいです。失点は多分僕らが一番多いので、その辺をもうちょっと改善していければ、さらにインカレでも強い早稲田を見せられると思います」

※インタビューは第20戦終了時に行いました。


岩屋 頼(いわや より)
183cm/71kg/PG
洛南高


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