複数のポジションがこなせる器用さと194センチの体躯を活かしたディフェンス力を持ち味とする福田。チームにとっては欠かせない選手だが膝を痛めて昨リーグ戦の途中から欠場し、長いリハビリ生活を送ってきた。今季も我慢の時間が続いていたが、半端に復帰するよりはと完全に治すことを優先し、リーグ戦の2巡目でようやくの本格復帰を遂げた。
ベンチスタートから始まり、徐々にスタメンに入る試合も増えて存在感は増している。チームとしては怪我人が続いて勝敗的にはやや苦しい状況だが、終盤戦にようやくメンバーがすべて揃う状況になってきた。残り僅かなシーズン、ここからチームとしても個人としても真骨頂を見せて欲しい。
動きには不安はなし、ここからギアを上げるのみ
─昨年は怪我でシーズン途中から欠場。この春にはコートに戻りつつもまた休んでという形になって、ようやくリーグ戦の半ばで本格復帰ということになりました。ここまでどういうことを考えながら準備してきましたか?
「怪我がなかなか治りきらない状態でバスケをして欠場するということを繰り返していて、一度ちゃんと休んでリハビリをしようとなったんです。その時にリーグ戦の2巡目からの復帰を目指そうということになりました。身体の準備はそこに向けてしていきましたが、あとモチベーションのところですね。やはり焦りも結構あったんですが、自分のやるべきことをしっかりやることに集中しました。そしてちゃんと怪我を直して戻ってくることができたというのが今の状態です」

─リーグ戦での動きを見ると以前と変わりなく見えます。
「もう痛みはないし、試合に出ていない間も全く動いていないわけではなかったので、プレーには不安はありません。ただ、やはり去年のリーグ戦からほぼ1年まともに試合に出ていません。だから点の取り方とか流れの掴み方とか、そういう部分の感覚はまだ鈍いという感じです。でも戻りきってはいないんですけど、しっかり活躍できている試合もあるので、ここから上げていきたいと思います」
─下級生が春は新人戦で頑張ってくれたところがありましたが、やはり4年生が入る方がチームも締まるなと福田選手のプレーを見ていて思いました。オフェンスだけではなくディフェンスもさすがの上手さがあります。
「そうですね。リーグ戦はスタメンで4年生が1人もいないという試合もありました。やはりセカンドから出てくる自分とか、祥貴(#41大澤)とか久輝(#5岡川)の方がディフェンスの強度もいいし、簡単なミスをしません。試合で徹底すべきところをしっかりやれるのはやはり4年だと思います」
─4年のさらなる活躍には期待したいところです。でもリーグ戦を見ると今年のチームは逆転したり、競り合いから勝ったりする試合も多いですね。
「今年は去年に比べて監督の仲澤さんが明るく活気づけてくれています。ベンチも明るくすることを意識しているので雰囲気もいいですし、その影響はあるかなと思います。そういう空気を作ってやるべきことをやり続けることで、逆転まで持っていけるような試合ができると思うし、負けた試合でも途中で逆転はしていたり、あと少しというものも多いので、そこからいかに勝ちに持っていけるかですね」
─勝ち星が伸びないときも暗くなりすぎずにやれているのはいいですね。
「仲澤さんからも負けてもしっかり次につなげようという話をされているのは大きいです」

─チームとしては少し負けが込んでいる状況ではありますが、個人の感触としてはもっとできる感覚ですか?
「もっとできると思っています。まずシュートの確率を上げていくことが大事です。特に、今年は自分がクリエイトしてするシュートが去年に比べて多くなっているので責任が大きいです。今までずっとキャッチをもらって、スリーを打つとかそういうシステムで、スリーのアテンプトを取れていたんですが、今年はキックアウトする選手がなかなかいません。そうするとフリーでボールが回ってくることが少ないので、自分で崩してからのスリーを打つとか、そういうことを意識しています。それをしっかり決めていきたいです」
大学はいろんなことにチャレンジできる期間
─岩下選手など他の4年生も怪我があって大変ですが、最上級生として残りのシーズンは何をチームに還元したいと思ってますか?
「インカレで優勝することが最終的な目標です。リーグの1巡目ではなかなか勝てていなくてチームの調子が落ちているときもあったんですけど、でそういうときこそ4年で皆をまとめて、気持ちを切り替えて調子を戻そうとしています」
─1巡目の終盤の神奈川大戦(11戦)は福田選手をはじめ、大澤選手もいいプレーを見せてチームを乗せましたね。
「この試合はディフェンスの強度が良かったし、ディフェンスからブレイクという軸を体現できていたと思います。この先、相手が変わってももっともっとそれを出して続けていく必要があると思うので、そのためにも4年の自分たちのがしっかり締めていかなきゃいけないなと思います」

─大学バスケはこれから変わっていくところもあるかと思いますが、福田選手は大学バスケの良さはどこにあると思いますか?
「大学でもシステマチックなところはありますがプロほどではないので、自分でクリエイトするとか、自分である程度自由に考えて動くバスケができるところがあります。そのおかげで個人としていろんなことをやらせてもらえています。プロに入ると今よりも役割が限られてくると思いますが、大学バスケはいろんなことにチャレンジしてスキルを身につけることができる期間だと思うので、そこは自分にとって良いところだと思います」
─福田選手も2〜3番、ときには1番のようにボール運びをするときもありますよね。こんな風にプレーを広げる考えは高校の時からありましたか?
「それは考えていました。高校の時も2番、3番をやりたいと希望して中部第一に入って、先生もそれを理解して使ってくれていました。そのおかげで2番、3番の動きはある程度できて、大学に入ってからもそれをさらに深めているという状態です。いろんな経験をしながら幅を広げることを大学でもやってくることができました。あとは結果を出すために頑張りたいと思います」

※インタビューは第11戦終了時に行いました。
福田 健人(ふくだ けんと)
194cm/92kg/F
中部第一高

