リーグ1巡目から苦しみ、初勝利は12戦目。その後も最初に入れ替え戦に行くことが決まってしまった専修大だが、それでも1試合1試合、頑張っている姿は見えていた。
昨年はスタメンが全員4年生という状況だったために本格出場は今年からという選手も多い。しかしこの2ヶ月で試合を重ねることでチームとして成長しているところも感じられる。主将の後藤が何度も口にしたのは「我慢」という言葉。粘り強く戦う中でいかに勝機を見出すか、そしてエースにエースらしい働きをしてもらうか、そのために後藤は泥臭い影の仕事に徹する覚悟だ。2巡目はホームゲームで観客の声援に応えるように勝利し、リーグ最終戦も勝ちきった。「入れ替え戦に勝ってインカレに行く」という強い心で次の戦いに臨む。
我慢して我慢して、最後に勝ちきることが理想
─勝敗的には苦しいリーグ戦ですが、上位チームとも競り合い、あと少しという展開の試合もありました。
「1巡目に全敗しましたが2巡目はホームの試合が増えて、そういう部分で力をもらいつつ、やはり自分たちらしいバスケットっていうのが少しずつ、自分たちでもちゃんと分かって遂行できるようになってきているといえます。入れ替え戦が決まって残り試合が少ない中で、このリーグ戦の結果を追いつつも入れ替えにつながるよう、目標を持って内容を大事にしっかりやっていこうとしています。2部にチームを下げるわけにはいきません。入れ替え戦に勝ってインカレに出るつもりなので、結果だけにこだわらないで自分たちのバスケットを40分間やり抜くことを追求してきた結果、ホームゲーム(第19戦・対筑波大)では大差での勝ちにつながりました。まだまだ完璧じゃないですけど、これでやめずに残りの試合も続けていきます」

─最後まで戦う姿勢が見える試合も多いです。
「我慢して我慢して、自分たちが乗ったときに一気にいくのが自分たちの勝ち方だと思っています。リーグ戦ではちょっとできなくて、自分たちが点を取れなかったら、我慢できずに一気に点差を離されて負けました。やっぱり我慢できている試合はいい試合をできているし、それこそ上位のチームにも1点差とか、1ゴール差という試合も結構あったと思うんですけど、それは自分たちがやるべきバスケットをやろうとしている証拠です」
─目指すものははっきりしているようですね。
「ただ、我慢をしつつも勝ち切れないのが今の課題になっているので、我慢はベースとして常にやるものとして、そこで勝ちきる力を残りで追求していきたいです。そして入れ替え戦はもう本当に内容とか言ってる場合じゃない。とにかく1点でも勝てばいいので、我慢して我慢して、自分たちのバスケットができるようにしっかりやりたいと思います」
─後藤選手は縁の下の力持ちというか、数字に出ないところでの奮闘が見えます。
「自分は2年生の頃からずっとこうやってプレーしてきました。本来は松野(#31)のポジションなんですが、そうじゃないポジションや仕事でも頑張れるところでキャプテンを任されているとも思っています。自分がMVPじゃなくてもしっかり点を取るエースがいるし、4年生や下級生も頼もしいので、自分がやるべきことをやって、スコアに残らなくても全然大丈夫なので、やり抜いてチームが勝ってくれればいい。みんながプレーしやすいプレーを自分ができればと思います」

─頼もしいです。後藤選手が我慢の部分を支えているともいえますね。
「我慢して我慢して、シュートが入るまでディフェンスを我慢して、一気に広げるチャンスにもできるというのがずっと言っていることです。自分たちが我慢すれば点数は広がりません。自分たちはガツガツ点を取りにいくバスケの印象があると思うんですけど、やはりそこでディフェンスを我慢してオフェンスにつなげるとことで相手の点数が止まるし、オフェンスの流れも良くなるという、そういう形がガンガン行くように見えているのかなとも思います」
最後のホームゲームは観客とも一体になった最高の時間に
─そういう意味では19戦のホームゲームでの勝利は見事でした。ホームの雰囲気も良かったですね。
「今日の試合のためにビラ配りとかいろいろみんなが頑張ってくれて、とにかく観客を集めて、ホームゲームを盛り上げようという雰囲気が試合前からありました。4年生にとっては最後のホームゲームだったので、それをしっかり選手もスタッフも観客の皆さんに伝わるようにという想いがあって、意気込みというか、試合前のモチベーションはすごく高かったと思います」
─試合内容も出足からアグレッシブで良かったです。
「最初から本当にいいプレーが連続で、試合前のテンションがそのまま出た感じがしました。実は先週、うちのエースの松野(#31)が2試合で1点しか取れなかったんです。そのあとにミーティングもして、チームとしても『エースをエースにしよう』という意識がみんなの中にも生まれました。それに松野も応えてくれてホームゲームでは1Qから好調でスリーポイントを4本決めてくれて、そのおかげで流れに乗っていけました。やはりエースがエースであってくれたことと、彼を信じて会場全体がそういう雰囲気を作ってくれていたのがとても良かったです」

─確かに松野選手の活躍があっていいプレーが連鎖していったように見えました。ディフェンスもみんな頑張っていたし、他の選手と土屋選手(#91)や高橋選手(#2)など、全員いいパフォーマンスでした。
「高橋はこのホームゲームがリーグ初得点だったんです。なかなかリーグ戦は出番がなかったんですが、最後のホームゲームということで気合いも入っていたんだと思います。最後には4年生全員を試合に出せたので、そういったところも含めてチームとして、盛り上げるべきところを立てるべきところっていうのを、すごくはっきりとさせて皆がそれに応えられた試合というか、ちゃんとチームとしてかみ合った試合だったと思います」
─応援席の声援もすごかったですね。
「友達とか他の体育会生が多くて結構テンション上がっていたんですけど、他の部活に声をかけたら、わざわざ練習時間をずらしてまでみんなで応援に来てくれました。情けない試合ができない状況を作っていたし、応援が盛り上げてくれて後半はディフェンスコールも自然に最初から沸き起こって、会場がそういう雰囲気を作ってくれたことに感動しました。自分は友達が大好きで友達がいっぱいいて、みんなとワイワイしたい派です。だからみんなが盛り上げてくれて、本当にテンション上がってすごくありがたかったです」

※インタビューは第19戦終了時に行いました。
後藤 晴(ごとう はる)
183cm/85kg/F
美濃加茂高

  
  
  
  