【2025関東リーグ戦1部/PLAYERS INTERVIEW】「追われる中でも自分たちのバスケットを」首位独走も一戦一戦に危機感/#5堀 陽稀(早稲田大・4年・F)

2025関東リーグ

リーグ序盤から快進撃を続ける早稲田大は主力全員がシュートを武器として持ち、高確率なアウトサイドシュートはもちろん豊富な運動力でコートを駆け、対戦相手を翻弄する。強豪チームのディフェンスの壁を100点ゲームで次々に撃破する展開は、バスケットボールが点を取るスポーツだということを再認識させてくれる。

今年の4年生は1年次より主力としてプレーしてきた面々で個々の能力は高く、関東トーナメントや新人戦ではベスト8に入ってきた。一方、リーグ戦は不得意で2部落ちも経験するなど、ここまで山あり谷ありの大学バスケ生活を送ってきている。しかし年々タフさを増してきていたのも事実で、これまでの積み重ねが4年目にして花開いた。成長していく姿そのものが魅力である学生バスケットの面白さを、チームとして体現しているといえるだろう。

リーグ戦では主力全員がエース格といっていい数字を出しているが、中でも堀は13戦終了時点で得点2位にランクインし、1試合平均17.5点をマークしている。タフで40分走り回る走力や力強いドライブ、インサイドではリバウンドでも奮闘。またスリーポイントの積極性も見せてチームの推進力になっている。


全員が思い切ってシュートを打ち切れているのが勝利の要因

─単独首位を走る早稲田大学ですが、1部に復帰しての初年度、どのような意識や目標でリーグ戦に入ったのでしょう。

「やっぱりチームの目標として絶対にインカレで頑張りたいから、各チームに1勝ずつはしようということを目指していました。そして4年生の中では絶対に入れ替え戦には行かないように、というのが共通認識でした。そんな感じでリーグ戦に入ったら結構調子が良くて…というのが今の状態です」

─13試合でまだ1敗ですから、1巡目でほぼ目標達成ができていますね。何が好調の要因になっているのでしょうか。

「シュートが入っているのが何より大きいです。シューティングは個人ではなくてチームの練習でたくさんやるので、そこでみんなシュートをバンバンと気持ちよく打っています。それが試合でも入っているので、ここまで相手もあまり対応しきれてないと感じます」

─今年、例年以上に多くシュート練習をしているということですか?

「確かに増えました。本数というか、メンタル面を大事にしたシューティングをする練習で、みんなちゃんと打ち切れるようにやっています。2点をやられるならば、3点をどんどん打って攻撃回数を増やしていくようにしていますが、その練習のおかげで僕自身も入るようになってきました。攻撃の選択肢としてドライブだけじゃなく、スリーポイントを打とうという意識が芽生えて、去年は打たなかったシーンでも今年は打ち切るようになっています。早稲田はみんなが外のシュートを打つので相手もやりづらいんだと思います」

以前から打ってはいたが、今年はより打つ意識が高まっているというスリーポイント。
2巡目の中央大戦ではバスケットカウントを獲得するスリーでチームを沸かせた。

─確かに誰が打っても入る怖さがあります。シュート練習が増えているということですが、どれくらいやっているんですか?

「2時間半くらいの練習のうち、走ることとシュートで1時間半くらいは費やしていますね。ディフェンスやリバウンドの部分はそんなに多くありません。その成果が試合でもそのまま出ている感じです」


リーグ戦では1巡目に高いシュート力で度肝を抜いたあと、2巡目では簡単に打たせてもらえない場面も増えてきた。それでも白鷗大戦、中央大戦では競り合いやビハインドからの逆転ゲームをしており、機動力の高さを活かした要所のディフェンスも効いている。リーグ戦を戦う中で対策されてもそれを乗り越える力があるのは確かだ。

チームの目標であるインカレ優勝、そして4年生たちは次の目標に向け、このリーグ戦での躍進は大きな財産になる。1968年以来のリーグ優勝達成を目指すのはもちろんだが、チームとして個人として、残りのシーズンで何を見せてくれるのだろうかと期待が募る。

ここまでのさまざまな経験で成長し、力になっている

─2巡目の初戦、本来の勢いを取り戻してきつつある白鷗大に逆転で勝ったということは大きな意味があると思います。

「この試合は35分間ぐらい、自分たちのリズムじゃなかったですね。そんな状態の中、ディフェンスから走ってツーポイントを早めに打つという、自分たちらしいリズムが最後の5分ぐらいのところから出せました。そこでなんとか7、8点差くらいまで開いたのが良かったです」

─相手も粘って最後は1点差まで詰め寄られましたが、そこをしのぎきったのも見事でした。自分たちのリズムではない試合でも追いかけて追い越せるのは、力がある証拠だと思います。昨年は2部リーグで戦っていたし、未知数なところがありましたが1部で力を示していますね。

「2部リーグでは勝っていたんですけど、大学に来て1部でこんなに勝つ経験は僕たちも初めてです。だからこそ調子に乗らないでいられるのがいいのかもしれません。やっぱりまだ、毎試合、どの相手でも負けそうな感覚があるんです。『今日は負けるな』『もう負ける』なんて、みんな言い合っているくらいですから。そんな中で一戦一戦に集中して戦って勝ってこられているのは、ここまでの経験があるからこそできていることだと思います」

─リーグ勝てない時期や2部リーグの経験などもあることが危機感となって、油断がないんですね。1、2年のときから今の主力が試合に出ていますが、3年以上が経ち、何が良くなったとか、成長の感覚はありますか?

「バスケットとしてやっていることは結構一緒なんですが、4年間を通じてやりたいこともお互い分かってきていますし、練度といいますか、いろんなもののレベルが高まってつながってきて、今の結果になっていると思います」

─1、2年の頃、1部リーグ戦ではなかなか勝てませんでした(2022年は6勝20敗、2023年は5勝14 敗)。そこで折れそうになったことはありませんでしたか?

「いやもう、負けすぎてしまってあまり気にしないというか、何も感じていないような状態でした。今は逆に勝ちすぎていて、絶対にどこかで負けそうな気がしてちょっと怖いくらいの気持ちです」

2年のリーグ戦の頃。2023年は2チームが自動降格するレギュレーションで下位リーグに沈み、拓殖大と1勝差で2部自動降格となった。

─それでも勝っているのがすごいですね。2巡目は特に対策されているはずですし。

「白鷗大戦はシュート確率が37%くらいでしたし、僕らとしては守られて打つ回数、アテンプトも少なかった。この先は他の大学もこういう試合を仕掛けてくると思うので、そういったときにもっと自分たちのバスケットができるかが、これから大事なことです」

─4年間で初めて1部で追われる立場はどうですか?さすがにこういう形で首位を走るとは予想がつきませんでしたが。

「それはやはり気持ちがいいです(笑)。とはいえ余裕を持っているわけではぜんぜんなくて、さっきも言ったように今日(対白鷗大戦)も『全然負けそう』とみんなで言いながら来たくらいです(笑)。だから僕たちもいい意味で予想しないリーグ戦となっています」

─見ている人にも予測不能で面白いといえますね。堀選手が残りのリーグ戦からインカレにかけて、大学バスケットで個人的に成し遂げたいと思っていることは?

「Bリーグに行きたいと思っているので、まずは試合を見てもらえるようなプレーをすることです。試合で点数を取ることは今までもやってきたつもりです。なので、例えば勝ちに直結するプレーとか、ディフェンスとか、プロになったときに求められるようなパフォーマンスでさらにいいところを見せて、アピール材料にしていきたいです」

白鷗大戦、倒れた#6三浦を#18岩屋とともに助け起こす。

※インタビューは第12戦終了時に行いました。


堀 陽稀(ほり はるき)
188cm/80kg/F
東山高

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