【2025関東1部リーグ/REPORT】予期せぬ混戦の1部リーグ・序盤戦9戦目までのまとめ(2025.9.14)

2025関東リーグ

週3試合のターンが終了し、首位に立ったのは早稲田大

8月27日にスタートした関東大学バスケットボールリーグ戦。開始から100年を経て新たなるスタートをきったともいえる101回目の歴史ある大会は、序盤の9試合を消化してこれまでにない予測不可能な状態となっている。

近年の1部リーグ戦は開幕から2〜3週間の序盤は水・土・日の週3試合をこなすスケジュールとなっている。負担は大きいが夏休み中で授業がないことや、昨年までは天皇杯の日程も関係し、ここで集中開催する形になっていた。今季の序盤戦は週3試合を行うのは変わらないが、9戦目と10戦目の間にバイウィークを取る形となっている。

週3試合のハードスケジュールの期間は9月14日の第9戦で終了。この時点で首位に立ったのは今季1部に復帰してきた早稲田大。そして2位の日本大から11位の神奈川大までは1試合ごとに順位が入れ替わる状態で、12位の専修大でも差はまだ大きくない。また、中央大が日本体育大に勝利したり、青山学院大が白鷗大に勝利したりと、順位と勝敗は必ずしもリンクしていない。この傾向が近年にない1部リーグの地殻変動となってこのまま続くのか、または定評のあるチームが実力を発揮して上位へと上り詰めるのか、変化の秋はここからが本番といえるだろう。まだ白星一つで順位が変わる状態ではあるが、序盤戦のポイントを整理する。

白鷗大は9/3の第3戦でようやく初勝利をあげ、笑顔が見えた。

【勝敗数】第9戦終了(2025.9.14時点)
1位 早稲田大学  8勝1敗
2位 日本大学   7勝2敗
3位 東海大学   6勝3敗
4位 日本体育大学 6勝3敗
5位 明治大学   6勝3敗
6位 白鷗大学   5勝4敗
7位 大東文化大学 4勝5敗
8位 青山学院大学 4勝5敗
9位 中央大学   3勝6敗
10位 筑波大学   3勝6敗
11位 神奈川大学  2勝7敗
12位 専修大学   0勝9敗
※同勝ち点のチームは現状ゴールアベレージの大なる方が上位

ハードスケジュールと欠場選手の影響

8月27日〜9月14日までは中2日のスケジュールに加え、日本体育大白鷗大は大会3日前まで中国で開催されていた新設の国際大会、AUBL(Asia University Basketball League)に参加していたこともあり、かなりハードな大会の入りとなった。日本体育大は連勝スタートをきったが、AUBLで3位と健闘してきた白鷗大は初戦からつまずき3連敗スタート。ともに初週の数試合は疲れもあったのか動きの重さが目立っていた。次第に復調してきてはいるが、既に4敗を喫している。またスタートは良かった日本体育大も3敗目がついてやや順位を落とした。バイウィークでの休息で盛り返せるかに注目だ。

この夏は2つの国際大会を経験してきた日本体育大。インカレ制覇に向けここからが正念場となる。

他チームも日によってコンディションにばらつきがあり、また序盤から主力にけが人が相次いでいる。特にガードに欠場が続いており、主力では中央大#3高山大東文化大・#3塚本筑波大・#16岩下#18天内神奈川大・#3山本ら主力ガードが相次いで離脱。短期間で戻る予定の選手もいるが、中には長期欠場を強いられる選手もいるため、この先のチーム内でのやりくりが鍵になりそうだ。また、リーグ初週から登録外だった白鷗大のエースガードであり主将の#88佐藤は9月17日に退学とプロ入りが発表された。白鷗大の序盤の黒星はこの影響も少なからずあった。

首位は早稲田大・上位陣は4年生がチームを支える

こうした中で首位に立った早稲田大は、他を圧倒する破壊力あるオフェンスで勝利を重ねている。ノーセンターのチームだがファイブアウトで全員がスリーポイントを打てるため、ディフェンスの的が絞りにくく、少人数だが最後まで走り抜くタフさがある。9試合を終えた時点で1試合平均90.4点と、点を取るバスケットを志向する日本体育大の平均78.2点をはるかに凌駕している。スリーポイントを1試合平均13本沈めているのも特徴だ。

早稲田大は9戦終了の時点で#7堀田がスリーポイントランキング1位の29本。

早稲田大はチームの軸として4年生が輝いている。#18岩屋、#5堀、#7堀田、#14髙田といった1年生の時から主力だったメンバーに加え、#0下山や#6三浦など3年生も経験は充分。4年生が下級生の頃は得点力こそあるものの勝ちきる力がなく、2部降格という苦い経験もした。そうした苦難を乗り越えて再びの1部で力を発揮している。そしてこうした環境の中で輝いているのがルーキーの#12松本だ。既に3×3のアンダー代表にも選ばれているがオフェンス力は高く、個人ランキングでは得点2位(平均17.5点)、スリーポイントでも3位(平均2.7本)につけ、勝利に貢献している。

近年の大学界はトップチームになればなるほどディフェンスを重視してきたが、早稲田大はその逆の道をいく。この先、早稲田大のオフェンスを封じるチームが出てくるかどうか、対戦相手の2巡目の対処が見どころになるだろう。気の早い話だが優勝すれば57年ぶりとなる早稲田大。中盤・後半戦もこの勢いが持続するかに注目だ。

2位の日本大はじわじわと調子を上げている。昨年は主力の大多数を4年生が占めていたが、そんな中でも#7新井、#13泉、#11奥浜といった今季の4年生や、今年からスタメンガードとしてプレーする3年生の#20山田はインカレ制覇にも貢献しており、経験は十分。また同じく3年の#31久井や#23ボロンボ、#21西村なども存在感を増してきている。リーグ序盤はビハインドから入った試合を逆転する試合も続き、粘り強さも見せている。

ディフェンスの粘り強さもあり、しぶとく戦う日本大。

4位の日本体育大は1年生の時から主力として戦ってきた#21月岡、#7西部、#10早田、#41石川ら、4年生がここまで積み重ねてきた実績と経験の確かさがチームを支えている。#45朝田、#6吉田、#52小田といった3年生や2年生の#11山口ら下級生が出番を増やしてきていることもチームにいい影響を与えている。ただ、インサイドでは#1コネが踏ん張るが負担が大きい。第8戦、9戦での連敗ではゴール下での苦戦が見えた。

全員バスケで上位キープの明治大と白鷗大

5位の明治大はリーグ立ち上がりから上位争いに食い込んできている。どの選手が出てきてもあまり勢いが落ちないのが特徴だが、4年生はもちろん3年生も中心となって全員バスケで戦っている。春トーナメントでは3位の結果を出しているが、今季はチームでディフェンスにフォーカスしたことで、高さのない部分をうまくカバーできている。春に続き秋も明治旋風が吹き荒れるかに注目したい。

創部100年を迎える明治大はこの春から好調を維持。

6位の白鷗大は3連敗という近年にないリーグの入りとなったが、次第に調子を取り戻しつつある。エースガードの#88佐藤が抜けた分を#4佐伯、#30佐古といった4年生がカバーして奮闘。大黒柱の#25モンガが奮闘し、新人戦で活躍した下級生たちも勢いを加えている。もともと層の厚いチームではあるため、多少の欠場者が出たくらいでは本来あまり影響は受けない。ここからリズムを掴めば上位陣には怖い存在であることは間違いない。バイウィーク開けからの試合に注目したい。

白鷗大は#25モンガ、#4佐伯、#30佐古、#39奥山ら4年生らがチームを引っ張る。

若い力が伸びゆく東海大と大東文化大

3位の東海大はリーグ初戦で明治大に敗れる黒星スタート。しかしその後は大崩れしていない。#25ムスタファが第5戦より3試合を欠場して高さではやや不安も見えたが、それ以外は安定した試合を続けている。#2轟や#4中川といった3年生が中心となり、得点面では#16赤間や#60佐藤ら下級生たちが牽引。ルーキー#10十返をはじめ、新人戦で活躍したメンバーがリーグ戦でも目立っている。

2年目になり、この春から存在感が増している東海大#16赤間。

7位の大東文化大も若い選手が多い。スリーポイントランキング5位にランクインするルーキーの#32和田をはじめ、ジョーンズカップやWUBSにも出場した#54近、WUBSでスタメンガードとしてプレーした#16中村など、ここからの成長に期待大の選手が多い。第8戦では#99バラダランタホリや#5廣岡ら上級生も奮闘。7戦目から欠場となっている主将の#3塚本は長期離脱の予定だが、チーム成長の余白も大いにあり、ここからの伸びは注目だ。

下位の混戦はコンディション次第でまだ未知数

今季1部復帰した青山学院大は8位。出だしは重かったが次第に調子を上げてきている。エース#12広瀬をはじめ#3新井、#77芦田ら主力の活躍が必須だが、4勝5敗と健闘している。9位の中央大と10位の筑波大、11位の神奈川大はけが人の影響が小さくはない状況だ。しかし勝ち星は伸ばせていないが中盤から下はチーム力には大きな差はない。バイウィーク明けの復帰が予定されている選手も多く、ここからどう立て直していくかが見どころになる。また、最下位の専修大は0勝だが上位チーム相手に惜しい試合が続いており、初勝利まであと一歩というところにいる。メンバーが少ない中でも粘り強さが目立ち、白星が待たれる。

中央大は日本体育大に勝利する金星も挙げたが、怪我人も多く波がある。後半に注目したい。

序盤戦は事前の予想とは異なる入りとなっているリーグ戦。しかし中盤戦、後半戦に向けて状況が変わっていくことも予想されるため、まだまだ目が離せない。

リーグ戦は9月27日より再開。残り2試合で1巡目を終え、2巡目に入る。

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