今季の東海大主将を務める鈴木。コートの内外で自分の立場を自覚し、責任を果たそうとしている。Aチームの4年生3名は能力の高い下級生が力を存分に発揮できる環境づくりを意識して春からチームを作ってきた。その結果、コート上では学年に関係なく試合の中で話し合う姿がよく見られている。
垣根なく高めあえる状態を作っていくことは、チームとして目指そうとしている多くの人に感動を与え、愛される存在になることにもつながる。大学界を牽引するチームが一つになり、真剣に目標を目指す姿を見せていくことで東海大学の魅力が伝わり、そして大学バスケットの魅力としてもきっと伝わっていくだろう。
誰もがプレーしやすい環境構築を目指して
─まずはホームゲームについて聞かせてください。第1戦が終了した時点ですが、いかがですか?(※14戦終了時にインタビュー)
「試合はいいスタートができて本当に良かったと思いますし、その要因として今週の練習の強度が高く、アップから全員が最高の準備ができたおかげなので、とてもよかったと思います。会場の感じもこれまでのホームゲームとは違ってアーティストの方のライブがあったり、それを僕らも一緒に楽しんだり、また新しい感じになりました」
─2巡目に入って負けなしで上位はずっとキープはしていますが、ここまでのチームの出来については?
「やはり1週目の早稲田、明治、白鷗戦のこの3つの敗戦は選手全員に刺激になったというか、もう負けられないという気持ちになる敗戦でした。でもこの負けで自分たちの強みがディフェンス・リバウンド・ルーズボールだということをもう一度全員が再認識することになって、2巡目にはいい形で挑めています。2巡目は1巡目と違った東海大学が見せられるように、全員が意識してプレーしています」
─キャプテンとしてはどのようなことを心がけているのでしょうか?
「東海大には琉維(#2轟)や翔里(#12十返)、賢人(#16赤間)という大学の中でも代表するスコアラーといえる、いわばスポットライトを浴びる目立つ選手がいますが、そういう選手たちには本当にのびのびとそれぞれの特徴を生かしてプレーして欲しいと思っています。強い気持ちを持ってやって欲しいというのはもちろんですけど、まずはそういう中心選手たちがのびのびプレーできるような環境というか、そういう状態を自分がまず提供できるように、最高の雰囲気を作り上げるようなことを意識してチームづくりやベンチワークにも取り組んでいます」

─下級生が気持ちよくできるのは大事ですが、チームとしてどのような理想の形があるのでしょうか。
「自分たちがこうあろうというだけではなくて、応援してくださる皆さんに心から応援されるチームになろうと目指して今シーズンをスタートさせました。バスケットボールのところでは意識高く取り組めていると思うんですが、大事なのはそこだけではありません。オフコートをはじめいろんな人から目を向けられる中で、プレーヤーとしてだけではなくて人としての立ち振る舞いも含めて、“日本一強くて愛されるチーム”を目指そうと4年生で話し合って取り組んできました」
─鈴木選手にとっての“愛されるチーム”とは?
「バスケットボールをしているところを見ていただいているので、この選手が好きだとか、そういうのもあると思います。もちろんそれも大事ですが、どちらかといえば心を動かされるというか、感動に近いような、そういう意味で愛されるっていうチームとか愛される個人になろうという感覚ですね」
─愛されるという意味では東海大は他に先駆けてファンクラブを作ったり、チームで新しい取り組みもされている印象です。
「ファンクラブの部分はマネージャーが頑張ってくれていて、大人の方々も動いてくださっています。やはりこの東海大学をもっとビッグクラブにしていこうという、入野さんや前監督の陸川さんの考えもあると思いますし、自分たちはそれに見合ったプレーや行動をしていくだけです」

学生一人一人が全力で戦う姿こそ大学バスケの魅力
─大学バスケットも環境の変化が起こっていて変わっていく部分もありますが、一方で大事にしたい文化もあります。鈴木選手が考える大学バスケットの魅力とはなんでしょうか?
「プロが発展する中で大学バスケの立ち位置は難しく見られている現状があると思います。でも大学バスケの魅力も確かにあります。大学は学生最後のバスケカテゴリです。いわばアマチュアの締めくくりです。だからこそすべてを出し切れる場所でもあると思います。泥臭い姿だとか、一つ一つのプレーにかける質や強度を選手一人一人が出し切れる最後の場であり、機会です。そこが何よりも魅力かなと思っています」
─学生の今だからこそ出せる気持ちや力というのは確かにありますね。鈴木選手は東海大に来て良かったと思っていることはどんなところですか?
「2つあります。まずバスケットボールのところは、学生、コーチ、マネージャーやトレーナー、大人も含めてスタッフが選手の成長やそこにまつわるさまざまなことに全力でフォーカスしてくれました。選手はそうした人たちの頑張りに感化されながらも、自分たちの目標だったり将来の夢に向かってバスケットに取り組めています。そういうバスケットボールに関する環境については東海に来て本当によかったなと思っています。もう一つが人間性の部分ですね」

─上級生は陸川前ヘッドコーチ(現・アソシエイトコーチ)からの影響が大きそうですね。
「陸川前監督はなんというか…わかりやすい言葉で表現すると、元気ですごくテンションの高い方です。そのおかげでバスケットの面でも、それ以外のいろんな面で監督の存在に助けられました。もちろんいいことだけではないし、苦しい場面もあるし、ハードなトレーニングがしんどいというのもあります。でもそういう時には先程のスタッフの話につながりますが、同期に支えられ、また下級生とも支え合いながらやってくることができました。陸川さんだけではなく、上級生にも伝えてきてもらったことで自分が頑張れています。東海大にはチームが家族、ビッグファミリーといえる関係性があって、人と人との関係づくりをしっかりすることができます。人間性を磨くというところはこの東海から学んだところですね」
─陸川さんが作り上げて、代々の選手がそれを引き継ぎながら東海大が作られてきたことがわかります。それをぜひ下にもつなげていってください。
「そうですね。力を尽くします」

※インタビューは第14戦終了時に行いました。
鈴木 暉將(すずき かがと)
191cm/87kg/F
FSG開志学園高