大会3日目を迎えたWUBSは準決勝。それぞれのチームから初日の固さが消え、パフォーマンスの上がった2戦目は、見ごたえのある試合が続いた。
決勝に進んだのは、ラドフォード大学(アメリカ)との競り合いを制した国立政治大学(チャイニーズタイペイ)と、武器であるディフェンス力を発揮して、アテネオ・デ・マニラ大学(フィリピン)を4Qで振り切った白鷗大(日本)。ともに勢いある試合を見せ、決勝での好勝負が期待される。
また東海大学(日本)は高麗大学校(韓国)に対し、やはり持ち味のディフェンスから流れを作り勝利。シドニー大学(オーストラリア)を下したペルバナス・インスティテュート(インドネシア)との5位決定戦に進む。
国立政治大学、ペルバナス・インスティテュートは大盛りあがりの接戦から勝利
初戦で東海大に勝利した国立政治大学(National Chengchi University=NCCU・チャイニーズタイペイ)は、ラドフォード大学(アメリカ)と対戦。前半から大きく差がない展開となるが、4Qに鋭いドライブや力強いインサイド等、NCCUの勢いが勝って抜け出す。ラドフォード大は1分を切ってから勝負強いスリーポイントを連続で沈めるが、75-79でNCCUが逃げ切り、白鷗大との決勝へと進んだ。
順位決定戦のシドニー大学(オーストラリア)とペルバナス・インスティテュート(インドネシア)は、1Qからペルバナス・インスティテュートがリード。シドニー大は3Qに追いつくと4Qは1点を争う展開となる。ペルバナス・インスティテュートは最後にフリースローを得て56-60と僅差の勝負を制し、5位決定戦へ。最終日は東海大と対戦する。
また、7位決定戦は高麗大学校(韓国)とシドニー大学との対戦になった。
東海大はディフェンスを軸に高麗大学校を下す
順位決定戦に回った東海大学(日本)は高麗大学校(韓国・以下高麗大)と対戦。#16西田(4年)のスリーで幕を開けると、ディフェンスも初戦とは打って変わって足がよく動き、高さで勝る高麗大に対してリバウンドでも粘る。高麗大はディフェンスに阻まれてシュートに行けない場面も目立つ立ちが、最後は#6パク・ジョンハン(2年)のスリーが決まり13-10で高麗大リード。2Qも競り合い、#3ハーパー(3年)のブロックや#16西田の連続スリーな流れを作り抜け出す。前半は28-29と東海大リード。
3Q中盤以降、46-50の膠着状態から東海大は、#3ハーパーの連続スリーで東海が残り約3分に48-56とすると、4Qも追いつかせずに50-59で試合終了。
「WUBSの経験はその後にも必ずつながるもの」#16西田公陽(東海大・4年)
「初戦ではゾーンに対応できず、ブレイクなどやりたいことが出せませんでした。負けから学んだことが沢山あり、今日の高麗大学校戦はディフェンスや試合の入りのターンオーバーの部分を修正でき、勝利に繋がったと思います。ディフェンスから流れができたので自分のシュートも最初に気持ちよく入ったんだと思います。
国際試合は未経験の選手が多いので、やはりうまくいかないことが多いなというのが今年のチームの印象です。ただここから経験を積めば、リーグ戦やインカレの優勝にもつながると思っています。昨年のインカレ優勝もこの大会のおかげだったといっても過言ではありません。昨年出場した際に、パスやシュートの精度というのは海外の選手の方が高いなと痛感しました。そこからたくさん練習をするようになり、インカレ優勝という結果が出たと感じています。だから今年もこの大会を自分たちの成長につなげたいと思っています。
国際試合は戦う意志や「絶対に負けないぞ」、という気持ちの部分でまず負けてはいけないと思います。また東海大と白鷗大は日本を代表して2チームが出場させていただいています。その責任感を持つことも国際試合に勝つ事には大切だと思います。下級生たちもそういったことを徐々に感じてきているように思いますし、それがアグレッシブなディフェンスやリバウンドといったところに繋がっていたと思います。最終戦もそれを見せて戦いたいです」
後半4Q、白鷗大が一気に抜け出し決勝へ勝ち上がる
白鷗大はフィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学との準決勝。1Qは互角の立ち上がりからアテネオ大に速攻を続けて出されて10-5と相手の流れになるが、ディフェンスから立て直し、#4佐伯(2年)の連続スリーポイントも決まり、18-16。2Qの頭に#4佐伯がフリースローを獲得して18-18に戻した。ここからは一進一退。アテネオ・デ・マニラ大は白鷗大のディフェンスに苦戦し、一方の白鷗大は速攻がオフェンスファウルになるなど、行き詰まる攻防が続く。白鷗大は#88佐藤(2年)のスリーポイント、#2脇が走ってフリースローを獲得するとややリード。しかしアテネオ・デ・マニラ大もスリーポイントが連続し同点に戻して譲らない。最後は#2脇のジャンパーが決まった白鷗大が33-35とリードして前半終了。
3Q、白鷗大は序盤に#88佐藤のスリーポイントでリズムをつかむが、その後はターンオーバーの時間帯が続き、追い上げられる。しかしアテネオ・デ・マニラ大もここぞの1本が決まらず40-43と白鷗大リードで4Qへ。
最終Q、アテネオ・デ・マニラ大は#77エスピノーサのスリーで早々に追いつく。しかし白鷗大は#25モンガ(2年)のレイアップやフリースロー、#45ドラマネ(4年)のブロック、#36ポーグ(3年)のスリーポイントなどで再び引き離しに成功。開始3分半で9点のリードとなる。仕切り直したいアテネオ・デ・マニラ大だが、その後も白鷗大は#16八重樫など、ベンチメンバーの得点が続き、さらに引き離すと、そのまま逃げ切り、58-73。白鷗大が決勝進出を決めた。
「選手がモチベーション高く大会に臨めている」網野友雄監督(白鷗大)
「アテネオ大との試合は分からない部分はありましたが、うちがベースにしているディフェンスをやりきれれば守れるよということは伝えてやっていました。それをちゃんとやってくれて、また留学生だけにリバウンドを任せないで、1番2番3番の選手がどれだけリバウンドに絡めるかということも大切にして、守りきれたと思います。
今大会は学生たちがものすごくモチベーションが高く、楽しみにしていました。やはり国際経験をしたいということが大きいと思います。留学生も含め、自分たちが日本以外の海外のチームにどれくらい通用するか試したいという思いがみんなにあるのだと思います。
また今期は春は早々に負けてしまうことが続いて、選手に悔しさもあったと思います。さらに、ユニバに選ばれたメンバーたちは、多くの経験をしたし、悔しさも感じています。そうした各選手のさまざまな経験や想いが、今現在のチームを作っていることがいい結果につながっています。
いい雰囲気でできていますが、自分が一番モチベーションが高くないと選手もついてこないと思うので、自分も常に高いモチベーションでやっていきます」
「決めるべきシュートを決めていかなければならない」#2脇真大(白鷗大・4年)
「2試合を戦ってみて、いい部分もあるけれど悪い部分もありました。やはり決めきれるシュートが何本もあったのに、それが決められなくてそこが自分の大きな課題だと思います。これを決めないとこの上のカテゴリーではプレーできないし、そこは本当に大切です。ただいいところは、自分のところにマークが集まるので、そこからパスを出してアシストが増えていることです。そうしたプレーは継続していきたいと思います。ユニバの疲れはありますが、タフな中でも戦っていくのがバスケットボールですし、プロにいったりしてもそれは同じだと思います。だからこれはもう勉強だと思って自分のできる限りの全力を尽くしてやりきりたいと思っています。
決勝のチャイニーズ・タイペイには、ユニバで対戦したガードもいます(#7游)。ユニバでは接戦で負けてしまって悔しい思いがあります。それは代表での結果ですが、今度は白鷗大としてやり返すチャンスが巡って来たと思っているので、絶対に負けたくない。勝って優勝したいと思います」
「滅多にできない経験。ステップアップにつなげたい」#4佐伯崚介(白鷗大・2年)
「日本学生選抜でジョーンズカップに出場している根本さん(#20)の代わりに、今大会ではスタメンに入らせてもらっています。春の公式戦ではベンチ入りし、ほとんど出ていない状況ですが、初めてのWUBS、初めてのスタメンということで、先輩たちからも『緊張せずに頑張れ』と言われています。1回戦はあまりシュートが当たらなかったんですが、網野さんや周囲の選手に『打ち続けろ』と言われて、その結果、今日は前半に3本のスリーポイントを入れることができました。またディフェンスこそ白鴎大学の色だと思っているので、そこから流れを持ってこようとそこも一生懸命頑張りました。
WUBSの出場にあたっては、昨年出場権を獲得したときはあまりどんなものか分かっておらず、また1年生だった自分は試合に出られるかどうかも分からないという状態でした。でも頑張ったことで出場することができていて、今とても嬉しいです。チーム内でも先輩たちから『こんな経験は滅多にできない。だから無駄にしてはいけない』というふうに言われていて、もちろん自分も感じています。個人としても自分のステップアップにもつながると意識し、決勝戦も頑張りたいと思います」