インカレ男子はベスト4をかけた戦いが行われ、ファイナルフォーを懸けた4試合はいずれもそれぞれの個性が見える対戦となった。第1〜3シードとグループステージから勝ち上がった日本経済大が創部初のベスト4進出を果たした。
得点力で勝る早稲田大が日本大を下す
第1シードの早稲田大(関東1位)と日本大(関東5位)は互いに点を取り合う展開から、次第に早稲田大が抜け出した。日本大は1Qからアウトサイドの確率がよく1Qはリードするが、2Qになると早稲田大に次第にエンジンがかかり、簡単に得点を入れられてしまうシーンが目立った。2Qで28-21と差がついた以外はほぼ互角の点数だったが、日本大はゴール下まで切れ込んだもののリングから惜しくもこぼれてしまうシュートが続き、またリバウンドでも早稲田大に遅れを取ってしまう。日本大は最後まで粘るが96-87でタイムアップとなった。
早稲田大はスリーポイント確率が17/34の50%と破壊力を見せつけたが、なにより点が欲しいポイントで決まったことが大きい。日本大もハイスコアでついていったが惜しいシュートが多かった。

早稲田大はリーグ戦で「今日こそは負けるかも」とメンバーの誰もが思いながら22勝2敗で優勝を果たした。この試合24得点の#12松本(1年・SF・洛南)は「リーグ戦で22試合やって 20勝できたというのは、僕自身すごく自信になっています。インカレは絶対にチームでも優勝を取るっていう気持ちを持っている」と、今大会は最初からトップを取ろうと前向きに臨んでいる様子が伺える。次は未経験の地方のチームとの対戦になるが、「どちらが勝っても勢いのあるチームですし、留学生もいます。やったことがない相手なので未知の部分もありますが、関東1位として出ている以上、地方のチームに負けられない」と準決勝に向けて決意を語った。

3試合連続の逆転劇で日本経済大がベスト4へ
唯一の関東以外の対戦となった日本経済大(九州2位)と天理大(関西1位)の戦いはディフェンスが見どころとなった。1Qから互いに固い守りを発揮し、前半は互角の勝負を見せるが#20駒田(4年・PG)のスリーポイントをはじめとする攻撃で32-37と前半は天理大が上回った。3Qもリードを続ける天理大だったが、突破口となったのは今大会好プレーを連発している#8今泉(4年・SG)。スリーポイントを決めるとチーム全体が波に乗り、追いついて競り合いから逆転。4Qに入ると天理大は攻撃が単調になり日本経済大が一転リードに転じた。天理大は終盤#20駒田が意地のスリーポイントを見せるが追いつけず72-66。
日本経済大の片桐監督はディフェンスの天理大と呼ばれるチームを破り、「僕らのほうのディフェンスが、今回はちょっと良かった」と自チームも負けていなかったことを誇る。これで3試合連続の後半での逆転勝利。「今日も焦らないで大丈夫だという様子で、チームでどんどんアジャストしてくれた」と大会を通じてチームが落ち着いて対処している様子が見える。準決勝まで1週間の空きができるが、14名の学生コーチとともに再びスカウティングからスタートする。

ゲームキャプテンの#8今泉は「ベンチでも集まって絶対崩れないから大丈夫」と言い合っていたというが、チームの良さは普段からよく取っているコミュニケーションだと語る。チームキャプテンの#1プライス(4年・SF)と#6君野(4年・SG)を含めロスターに4年生は3名だが、常日頃から声を掛け合いチームをまとめてきたからこそ大事なときにも崩れない、とチーム力での勝利を強調した。
また、敗戦した天理大は後半に伸び切らなかった。「日本一になれるという自信はあったので、正直ここで終わってしまって悔しい気持ちでいっぱいです。負けたのは本当にちょっとの差かなと思います」と主将の#20駒田。リードして勝ちが見えていたところからリズムが崩れていった部分を、敗戦直後は受け止められていないと涙を見せた。しかし最後まで攻める姿勢を見せて次のステージであるドラフトへと向かう意欲を見せた。

手堅いディフェンスで白鷗大が大東文化大を下す
第3シード・白鷗大(関東3位)と大東文化大(関東6位)の対戦は、互いにディフェンスを持ち味とする両者らしいロースコアな立ち上がりとなるが、次第に白鷗大が抜け出す格好となった。互いに手の内をよく知っているだけに前半は得点が伸びないが、大東文化大は#99バラダランタホリ(3年・C)のスリーポイントが好調でチームを勢いづけた。後半になると白鷗大のディフェンスの前に大東文化大の攻撃がうまく展開できなくなり、白鷗大がここで差を広げる。大東文化大は#3塚本(4年・PG)が個人技で返していくが72-63で白鷗大の勝利となった。大東文化大の#3塚本や#9田中、#99バラダランタホリが2桁得点をあげるが、それ以外の得点源を押さえた白鷗大ディフェンスのうまさが光った。

白鷗大・網野監督は「ディフェンスのところはシューターには絶対打たせたくなかったので、そこにはちゃんとアジャストをしながらできた」ことと、「リバウンドのところで絶対負けないように」という部分の徹底は「とてもよかった」というが、一方で「気持ちが入りすぎてゴール下のシュートで力みすぎて2ポイントの確率が悪かった」と反省。次の東海大への対応が見ものだ。
大東文化大・西尾監督は「オフェンスが重くなるのはわかっていたけれど改善できなかった」ことを敗因にあげた。今年はもがいた1年というが若い力は抱負で、先は期待できるチームだ。その中で4年生には「もがいた姿勢っていうのは僕も後輩たちも見ているので感謝の気持ちを伝えました」という。大学バスケットの終わりは人生やバスケット人生のゴールではない。「大学でのこの経験が良かったねとなるから、頑張りなさい」と伝えて次のステージへと送り出した。
「自分の力不足」と語った大東文化大#9田中(4年・PF)。一昨年前十字の大怪我を負い復帰まで時間がかかったが、リーグ終盤から調子も上がっていただけに悔しさを見せた。次はBリーグへの挑戦が待つ。

東海大が安定した試合運びで日本体育大を破る
第2シード・東海大(関東2位)と日本体育大(関東4位)は立ち上がりで東海大が一気にリードするが、日本体育大のシュートが当たってくると1Qは互角の点数に持ち込んだ。しかし2Qは東海大がチャージ。セカンドメンバーに代わっても#10ルーニー(3年・PG)が連続のスリーポイントを決めたほか、いずれのメンバーもいいプレーを見せて日本体育大に勢いを出させずこのQで15-28と差がついた。日本体育大は東海大のディフェンスの前に持ち前の攻撃力をなかなか発揮できず、73-89でタイムアップとなった。
日本体育大は#1コネ(3年・C)が36点16リバウンドで奮闘するが、武器の一つであるスリーポイントはチームでわずか4本で打たせてもらえなかった。悲願のインカレ優勝は果たせずベスト8での敗退となった。
東海大は全員出場。前日の京都産業大戦とは打って変わって40分間ゆるむことはなかった。次は関東3位の白鷗大との対戦となるが、そこでどのようなパフォーマンスを見せるかに注目が集まる。
16得点をあげた東海大#10ルーニーは「去年ケガで準決勝、決勝に出られなかった悔しさがあったので、ベンチスタートで瑠維(#2轟)に代わる立場ということで、自分がやってやるっていう気持ちをいつもより強く持っていた」と好プレーの裏にあった意欲を語った。スタメンをさらに勢いづけるようなセカンドメンバーのプレーは次の準決勝でも期待したい。

日本体育大#10早田は「もう気持ちだけだった」と振り返る。4年間ほぼ固定メンバーでやってきた日本体育大は相手にも慣れがある。その中で「新しいバスケットをやることが難しい1年だった」という。日本体育大はまだ1月に天皇杯が残る。#21月岡は「春のトーナメントで自分たちが勝ち取った天皇杯なので、そこに向けて切り替えをしたいです。かといって変に緊張するとかではなくて、自分たちがやってきたスタイルというのを普段経験することのない実業団やプロの方たち相手に挑みたい」と前を向いた。



