【関東リーグ2023/1部CLOSEUP】2度の大怪我を乗り越え、日本大の司令塔が帰還/#3米須玲音(日本大・3年・PG)

2023関東リーグ

長いリハビリを経て、待たれた復活を遂げる

「復帰の喜びよりも、不安の方が大きかったです」

13ヶ月ぶりのコートに立った司令塔は復帰戦を終え、そう言った。

2022年の新人インカレプレ大会準決勝、7月8日の大東文化大戦でアクシデントは起こった。ドライブからの着地で体勢を崩し、コート外に倒れ込んだ#3米須は、右膝を抱えた姿勢のまま起き上がることができなかった。そしてそこから1年間、彼の姿はコート上から消えることになる。

2022年の新人インカレプレ大会。準決勝で姿を消した米須のユニフォームを、最終日はスタッフが掲げ、気持ちを一つに戦っていた。

米須にとっては、立て続けに二度の大怪我をしたことになる。最初は同年の2月、Bリーグの特別指定期間での右肩関節脱臼だ。その後リハビリに努め、大学への試合は5月のトーナメントで復帰。様子を見ながらプレーしてそこから完調まであと少し、というところで、今度は右膝の靭帯という、2度目の怪我を負った。バスケット人生で2度の大怪我が続いたからこそ、「不安が大きかった」のは当然のことだった。しかも、復帰戦となったリーグ初戦は怪我をしたのと同じ、代々木第二のコートだったことも、気にせずにはおれないことだった。試合後のコメントは、まずそこに触れている。

「この代々木で膝を怪我してしまったというのがあったので、まずは怪我をしないということを意識していました。コートに立った瞬間は、本当に“やっと戻ってきたんだ”ということを実感できたものの、最初は自分のプレーができていませんでした。でもその中でどう自分を出していくか、プレーをしながら考えして、少しずつ慣れて、次第に自分のプレーを出すことができたのでそこはよかったです」

どんな選手でも、怪我のあとのプレーは怖い。不安をいかに消していくか、自分との戦いの中の復帰戦だった。だからこそ、気持ちは複雑だ。

「コートに戻れたのは嬉しかったんですが、また怪我をするかも、と頭の中でよぎってしまって。でもそれを抱え込み過ぎると、また怪我をして自分のプレーができないというのがあったので、まずは楽しんでやっていこうかなと思っていました」

戻るのに時間がかかったが、練習には今季の5月のトーナメント前から復帰していた。しかし無理をさせないことが第一だと、「米須には焦らないでちゃんと治そうと言っている」「公式戦復帰は秋」と城間HCも言い、それは本人も望んでいたことだった。

「5月で復帰も可能だったけど、リーグ戦に合わせていこうと。それは自分の意見でもあり、城間さんも自分の話を聞いてくれて、リーグに合わせてリハビリをしてきました。しっかり治して焦らないこと、それを第一に考えていました」

現在の役割であるセカンドガードとしての仕事を意識しつつ「会場を盛り上げたい」

8月26日のリーグ初戦、復帰戦の対戦相手は筑波大だった。コートインは1Q開始5分。「コートに慣れながら、自分のプレーができたらいいなと思っていました」という通り、動きはやや慎重に見えた。だが、だからといって、らしさが失われているわけではなかった。米須の持ち味は広いコートビジョンと多彩なパスにある。彼がボールを持つと周囲の4人の動きが変わる。彼らしい視野の広さと動きでパスを供給し、筑波大を翻弄する攻撃を組み立てていくと、周囲もいいプレーを連発。中には1本、彼の代名詞でもあるフロントへのロングパスもあった。リードを握る展開だったが、チームの好プレーは、米須を奮い立たせてくれたに違いない。1Qは#18宮城(3年・PF)、2Qは#10新沼(3年・PF)がブザービーターを決めて盛り上げ、試合に62-44で完勝した。

「シュートが入ればよかったけど、タッチがよくありませんでした。でもアシストは少しやれたかなと思います」

この試合では得点は0、しかしアシストは6を記録。1本目となるシュートは2試合目の白鷗大戦で決まった。アシストではその後も5試合終了時点で1試合平均4.2を記録し、その時点でのランキングは3位。トップ3の中では一番出場時間が少ない分、確実に数字を出しているといえる。

5試合を終えたところで再び感触を訪ねた。

「チームとしては1つ負けてしまいましたが(2戦目で白鷗大に敗戦)、その後立て直して3連勝できているので、このまま伸ばしていけたらなと思っています。個人としてはセカンドで出させてもらっていますが、スタメンがちゃんとやってくれているのに、セカンドのチームで少し落ちてしまうというところがあるので、その部分をちゃんとやれないといけないなと思っています」

今の役割は、セカンドガードとしてチームをもり立てること。

怪我をしたあと、昨年春もセカンドガードとして出場してきたが、これまでのバスケ経験ではなかったことだった。

「バスケ人生はずっとスタートで出て、自分が最初に勢いをつけてセカンドチームに引き渡すということをやってきました。でもセカンドチームは試合の流れを自分の中でコントロールしながら、さらにいい方に引っ張っていかないといけないし、ガードの責任があると思います」

怪我があったからこその新しい立場と挑戦に、課題を持って挑んでいる。

「1年ぶりにコートに帰ってこられて、たくさんの人が来てくださって、自分も本当にこの会場の中でプレーできるのは嬉しいです。その中で自分の魅力はアシストなので、それで会場を盛り上げるプレーをしていきたいと思います。応援をよろしくお願いします」

1年間の不在のあと、コンディションや試合勘を取り戻しつつあるのが現状だが、健康でプレーし続けてくれることこそ、多くの人の願いだろう。怪我をした本人にしかわからない身体の感覚や葛藤はあり、コンディション維持にはこれからも向き合っていかなければならない。それでも、この世代を代表するガードの帰還はチームやファンが待ち望んできた慶事でもある。期待を込めて、この先の活躍を見守りたい。

【DATA】
米須玲音
176cm/63kg/東山高

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