ホームゲーム開催の2日目、多くの観客が詰めかけた会場では、順位のかかる見逃せない戦いが続いた。
白鷗大会場では上位リーグの息詰まる2戦と、下位リーグでは降格のかかる戦いで13位の早稲田大が14位の江戸川大を下した。
3位の日本大に挑んだ大東文化大が連敗ストップ
1巡目後半から敗戦が続いていた大東文化大は、3位の日本大に対して1Qからスリーポイントを連発。#21富山(3年・PF)、#4菊地(4年・SG)のシュートが面白いように入って1Qで8-25。日本大は2Qに反撃開始となるが、ファウルが続いてしまいなかなか波に乗れない。10点差ほどには縮めるが、大東文化大もフリースローや速攻で稼いで前半は31-42。
後半3Q、再び大東文化大が勢いづいて#3塚本(2年・PG)、#4菊地のスリーポイントらをきっかけに日本大を引き離し、一時は20点ほどのリードに成功。しかし日本大もディフェンスから返し、#11奥浜(2年・SF)、#99下地(2年・PG)などベンチメンバーのふんばりもあって9点差にして4Qへ。さらに#13泉(2年・SG)のスリーポイント、速攻で4Q開始早々日本大が4点差まで詰め寄る。ここで大東文化大は再びスリーポイントが連続。#21富山、#3塚本が沈めていく。一方の日本大も#12コンゴロー(3年・C)のゴール下、#11奥浜のスリーポイント、#13泉の速攻と、残り2分半で1点差。しかし最後の攻防は、日本大は#12コンゴローが連続でファウルとなってしまい、大東文化大が速攻、スリーポイントで返して77-71で勝負を決め、連敗を脱した。
【INTERVIEW】「自分たちを取り戻せた試合」強敵の日本大を撃破/#21富山仁貴(大東文化大・3年・PF)
23得点、特に相手の反撃の芽を摘んだ5本のスリーポイントは大きかった。
春から怪我が続き、今シーズンはなかなかパフォーマンスが上がってこなかった。リーグ戦も前半に怪我をして、ようやく戻ってきたばかりだ。しかし、田中が欠場となっている今、勝利には富山の力も欠かせない。ここからギアを上げ、最後の浮上が叶うかに注目したい。
─日本大相手に連敗を脱出し、富山選手のシュートもよく当たりました。
「自分が怪我をしていて、その間に連敗をしてしまっていて、チームの流れが悪くなっていた仲、自分が力になれなかった分を、今日の試合でしっかり発揮できたので良かったと思います」
─復帰はしていましたが、パフォーマンスが上がってきていませんでしたね。
「水戸開催(10/7〜9)のときに復帰したんですが、その前は3週間から1ヶ月くらいチームから抜けていたので、タイミングなどが合わなくなっていました。最初に8連勝したときより天皇杯があって、ほかのチームよりも試合数が多くて、みんなも疲れていました。そのせいでほんの数センチというか、わずかな違いなんですが、そこのズレでタイミングが合わなくて孤立してしまったりということがたくさんありました」
─先週の白鷗大戦も追い上げたけれど、残念でした。
「白鷗大戦の時はいい流れだったんですが、最後にプットバックを入れられてしまって負けてしまって。でもあの負けを自分たちの中で今日は取り戻せたというか、自分たちが今シーズンやりたいバスケを作れました。昨日は日本体育大に負けてしまいましたが、昨日、今日とやるべきバスケットを続けられたので、インカレに向けてそして来週のホームゲームに向けていい試合になったと思います」
─惜しい試合が多く、フラストレーションがあったのでは。
「自分たちは頑張っているのに、もうちょっとのところで突き詰められないのがきつかったですね。最初に入りが悪くて突き放されてしまって、追いつくのに時間を使ってしまって追い抜くことができなかったりとか、そういうのがあったので。今日も追い上げられてそういう展開はありましたが、しっかり大東らしく粘ってやれたと思うので良かったと思います」
─連敗は厳しかったですが、チームはあまり暗い表情ではなかったように思います。
「今日は西尾さん(監督)が試合前にもう一度前を向いてがんばろうという話をされたので、そこでもう一度チームが同じ方向を向いてやれたのかなと思います。次のホームゲームも頑張ります」
多数の欠場者を出しつつも日本体育大がホームの白鷗大を倒す
白鷗大のホームゲームの2戦目の相手は、2位の日本体育大。1巡目の戦いで破れている相手だ。日本体育大はこの日#23ムトンボ(3年・C)、#9大森(3年・PG)、#7西部(2年・SF)の主力3名が欠場。布陣としては薄くなってしまったが、試合は日本体育大の流れで進んだ。
試合開始早々、日本体育大はスリーポイントの嵐。#4小澤(1年・PF・中部第一)、#41石川(2年・SG)、#10早田(2年・PF)、#1コネ(1年・C・帝京長岡)ら4名のスリーポイントが続き、#21月岡(2年・PG)も早い展開でゲームを作る。日本体育大のスリーポイントは10分を通して入り続け、1Qは13-33と20点のリードに。2Qも日本体育大の勢いは落ちない。ただし、#1コネが2つ目のファウルを吹かれてしまい、白鷗大ホームの盛り上がる観客に押されてか、フリースローを立て続けに落としてしまう場面も。白鷗大は2Qからやや持ち直し、#88佐藤(2年・PG)がスリーポイント、ドライブと攻め、また#2脇(4年・F)の速攻も終盤に出ると35-45と10点差にして前半終了。
3Q、立ち上がりは両者ターンオーバーが続き、主導権の握りあいに。日本体育大は#1コネが3ファウル、チームテクニカルなども続くが、大きくは崩れない。白鷗大もシュートがなかなか入って来ないが、#2脇、#22内藤(1年・PG・仙台大附明成)の連続スリーポイントで10点差に。その後も#8陳岡(3年・F)のアタックも功を奏し、一時は7点差まで詰め寄る。日本体育大は#1コネが4ファウルに。しかし#41石川のスリーポイントで再び10点差にして4Qへ。
4Q、立ち上がりは白鷗大#8陳岡が3Qからの勢いのまま仕掛けて得点が続く。#1コネが4ファウルの日本体育大は交代した#28楊(4年・C)がブロックを見せ、チームを勢いづかせる。しかし白鷗大の攻撃も続き、開始3分、#25モンガ(2年・PF)のオフェンスリバウンドで65-64の1点差に迫った。日本体育大は#41石川、#4小澤のスリーポイントでしのぐが、白鷗大は#22内藤のドライブで遂に同点に。残り5分、タイムアウトで流れを切った日本大は、#4小澤がスリーポイント、ミドルシュートで再びリード。さらに#10早田のドライブに、コートに戻った#1コネがブロックを見せる。ここから白鷗大は外を打っていくが決まらず。流れを握った日本体育大が71-78で勝利した。
ホームで1勝1敗とした白鷗大。日本体育大が1試合少ない状態のため、まだ勝ち点では上にいるが、もう負けられない状況にある。一方の日本体育大は、欠場者を多く出しながらチーム全員が仕事を果たして大きな勝利をあげた。白鷗大には2勝したため、並んだときには有利になる。優勝争いはまだ余談を許さない。
【INTERVIEW】「自分たちのバスケットをしよう」主力を欠いても日体大のバスケットを貫く/#41石川響太郎(日本体育大・2年・SG)
正確無比なスリーポイントでチームを勢いづけるが、特にゲームの立ち上がりに決める1本はチームを波に乗せるのに欠かせない。白鷗大戦では前回は3本、今回は4本のスリーポイントでチームを乗せていった。
3名もの欠場者を出した試合になったが、そんなことをほとんど感じさせないような戦いぶりで見事に勝利したが、浮かれることなく冷静だ。「自分たちのバスケをすれば勝てる」その静かな自信で優勝を狙う。
─すごい試合でした。今日は3人が欠場になり、厳しいかもという印象を覆しましたね。
「3人が出ないということは、今日の朝聞きました。でもそれでも負けるはずはないなと。今までやってきたことをやれば勝てると自分たちを信じていたし、チーム全員でしゃべって、自分たちのバスケをしようと試合に入りました。そこが追い付かれたとしても継続できたので勝てたのかなと思います」
─そういう意味では確かに1Qのスリーポイントはすごかったですが、いつも通りの日本体育大の試合の入りでした。
「そうですね。自分たちがいつも通りのバスケットをすれば、どこのチームにも負けないという自信はあります。だから自分たちのバスケットをしたからこそ、勝ちにつながったと思います」
─追い上げられて苦しかった部分も、皆がそうですが石川選手のシュートも打ちづらいところで決めて勝負強かったです。
「試合の前から自分のところはマークが厳しくなるということを、学生コーチから言われていました。厳しくなっても決めきるという練習をしてきているので入りました」
─この試合に限らず、石川選手のシュートが特に入りで試合の流れを作っているのが印象的です。意識していますか?
「そうですね。練習前の1本目のショットとか、練習のゲームの中の1本目のショットとかは今シーズン特に大事にしています。そこを継続して決めきれているのは、自分の中の自信につながっています」
─ここまで3敗はしていますが、優勝争いをしています。ここまでのリーグ戦はどう感じていますか?
「今は怪我人が多いけれど、1巡目は怪我人なくチームで戦えたということが、一番自信に繋がっています。3敗した負けも次の試合につながっていって、今の勝ちがあると思うので、これからもチームとしてしっかりバスケットをするということをやっていきたいと思います」
【INTERVIEW】「勝ちきれないのが自分たちの弱さ」残り試合とインカレに向け、課題を再整理/#2脇 真大(白鷗大・4年・F)
ホームでの敗戦は反省の多いものになった。決められるシュートを決められなかった、というのは試合を通じて見えたものであり、勝てる試合だったという感覚が強い。
しかしそれもまた2ヶ月に及ぶリーグ戦の難しさだ。総合的に見れば白鷗大はいまだ優勝に一番近いチームであり、残りの試合、そして続くインカレで取り返したい。
─ホームでの敗戦になりました。
「最初の1Qクォーターですね。ディフェンスをちゃんとやらないといけないのに、スリーポイントの面でやられたのが反省ですし、自分たちが決めきるべきシュートを決められなかったというのが今日の敗因だと思うので、そこは本当にインカレまで、もうあと少しなんですけど、改善するべきだなと思っています」
─いつもなら入っていそうなシュートが落ちましたね。
「自分もそうですけど、あれだけ点差が開いてしまうと決めないといけないということで、みんなが硬くなってしまって。それが落とした原因だと思うので、どれだけ自分たちがリラックスして、落ち着いてプレーするかというのが大事で、そこはもう反省だなと感じています。日体大に勝てなかったということが、優勝できるかできないかを左右します。勝ち切れないのが自分たちの弱さなので、インカレでは、本当にもっと強度を上げてやっていければと思っています」
─とはいえ、まだリーグ優勝に近いチームです。ここまでのリーグ戦の出来は?
「自分たちが描いていた以上のところまでは来ているんですが、みんなでインカレ優勝という同じ景色を見ようとしています。このリーグはまだ優勝は狙えるし、インカレに向けては一つの段階なので、切り替えて次の節からしっかりやっていきたいです。次の相手も強いですが、自分たちのバスケをやれば勝てると思います」
年々にぎやかになる白鷗大ホームゲーム
ホームゲーム開催を重ねてきた白鷗大は、年々観客も増え、定着してきている様子が見える。壇上は白鷗大生の応援席となっているが、今回はにぎやかに盛り上がり、声援がチームを後押ししていた。
主将の#5小林(4年・PG)は、「ホームゲームということでみなさんの声援が大きくて、ビハインドから自分たちの持ち味を出せて追いつくゲームもできました。それはすごく大きかったです」と応援に感謝する。
試合としてはホームゲームで1勝1敗、上位リーグは簡単な試合はないからこそ、負けは悔しい。
「日大も日体大もタフなゲームになるということはわかっていました。日体大には1巡目の試合で負けていたので、足りなかったことを練習してきたんですが、それでもまた敗れてしまいました。 インカレでまた当たると思うので、今回の負けをしっかり次に生かして勝てるように頑張りたいです」
今年は観客席の応援もひときわ盛り上がった。
「観客の声援だったり、特にラグビー部などが盛り上げてくれるので、プレーしている側としてはすごくやりやすいというか、モチベーションが高まる感じでした。ちょっとテンションが上がりすぎる部分はあるかもしれませんが(笑)」
負けられない試合の緊張感と、ホームの温かさ、そんな2つの空気が感じられる2日間となった。
下位リーグも終盤戦の鍔迫り合いが続く
筑波大会場では明治大、中央大、専修大が勝利した。上位リーグ、ホームの筑波大は粘るが、勝利はならず。
また下位リーグは明治大の勝利で神奈川大・山梨学院大とともに3チームが6勝で並ぶ。8位の中央大に3勝分のアドバンテージがあり頭ひとつ抜けているが、それ以下のチームはどこにも入れ替え戦、また自動降格の可能性がある状況だ。下位争いも最後まで気の抜けない戦になっている。
【第17節/勝敗】
<上位リーグ>
白鷗大学 14勝3敗
日本体育大学 13勝3敗
日本大学 11勝5敗
専修大学 11勝5敗
大東文化大学 10勝7敗
東海大学 10勝6敗
筑波大学 9勝8敗
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<下位リーグ>
中央大学 9勝7敗
明治大学 6勝11敗
神奈川大学 6勝11敗
山梨学院大学 6勝10敗
拓殖大学 4勝12敗
早稲田大学 4勝12敗
江戸川大学 3勝14敗
※試合数が異なるため勝敗のみ