【2023関東リーグ/1部入れ替え戦】拓殖大が逆転で1部を死守、国士舘大は無念の2部残留(2023.11.10)

2023関東リーグ
拓殖大が2勝1敗で1部残留。

1部入れ替え戦、1部12位の拓殖大と2部1位の国士舘大の対戦は第3戦、最終決着を迎えた。

【11/10結果・2部入れ替え戦】
拓殖大学72(13-18,23-15,20-10,16-14)57国士舘大学

・拓殖大学(1部残留)
・国士舘大学(2部残留)

【2部入れ替え戦GAME3】2Qに追いついた拓殖大が後半国士舘大を振り切る

第2戦で息詰まる接戦を繰り広げた両者は、3戦目も目の離せない戦いとなった。

国士舘大は立ち上がりからディフェンスが固く、拓殖大はターンオーバーを繰り返す。国士舘大が走って得点する一方、拓殖大はオフェンスが手詰まりの中、#88大石(3年・PG)のスリーポイントと#74小森(3年・PG)のスティールが状況を打開。13-18として1Qを終えた。

2Q、拓殖大が追い上げる。国士舘大が次第に攻めあぐねてシュートが重くなる一方で、ボールが回るようになっていく。#18石橋(3年・SG)のスリーポイントが決まると、#35加藤(3年・SF)のドライブ、#83吉本(3年・SF)の速攻が決まり同点。さらに#24ユセフ(4年・C)、#18石橋2本目のスリーポイントで逆転に成功する。国士舘大は終盤ようやく#9大滝(3年・SG)にこの日最初のスリーポイントが来るが、最後は#18石橋が決め返して拓殖大リードの36-33。

拓殖大#18石橋は15点。勝負どころのスリーポイントで見せた。

3Q、国士舘大は反撃を試みるがファウルで乗り切れず。拓殖大は#21須藤(4年・SG)、#18石橋のスリーポイントが続き、#35加藤が守っては豪快なブロックで国士舘大シュートを叩き落し、ダンクも見せた。拓殖大はゴール下へのアシストも気持ちよく決まっていき、56-43とさらにリードを広げて最終Qへ。

国士舘大はゾーンでディフェンスを締めるが、拓殖大は#88大石のスリーポイントが続き、流れは切れず。国士舘大は#34木島(3年・SG)がゴール下へ切り込み、得点を重ねていく。しかし大きく点差を縮めるには至らず72-57。拓殖大が3戦目を制して1部残留を決めた。

国士舘大は#34木島が最後まで攻めた。

3戦方式の入れ替え戦は、第1戦を落とした方が不利とされるが、拓殖大はこのハンデを覆した。#24ユセフの2戦目以降の出場は大きいが、3試合を通してスリーポイントの確率は国士舘大を上回っており、追いかける展開でも大きな武器になった。

国士舘大は3戦目に#25鍋田(4年・PG)が欠場。本来は2番の#34木島がガードを担ったが、前半は消極的になってしまい、彼自身の持ち味が生きなかった。3戦目はチームでスリーポイントが2本しか決まらず、リバウンドを拓殖大に押さえられた。

#0神田も主将としてチームを奮起させるようなプレーぶりを見せた。

絶対に負けられない、気持ちとプライドのぶつかり合い

ここにかける選手たちの気持ちが、試合を熱くした。両チームの4年生にはそれぞれの意地がある。

拓殖大は#24ユセフがリーグ終盤の中央大戦で負傷し、第1戦は欠場となった。落とせない2戦目以降は痛み止めを飲んで出てきたが、痛めた足をかばい、リバウンドでは片方の足で着地したりしながら最後まで奮闘。主将の#0神田(4年・PF)もサポートするように泥臭くリバウンドに絡んで、チームを支えた。

代々木には両校の応援が多くかけつけた。

一方、国士舘大は主将の#25鍋田(4年・PG)がリーグ2巡目後半に膝を負傷。治療を重ねて入れ替え戦にはギリギリで戻れたという状態だった。今リーグは数々のクラッチシュートで頼もしさを見せてきており、1戦目、2戦目も勝負どころのシュートでチームを鼓舞。しかし2戦目、さらに足首を負傷して3戦目は出場ができず、ベンチで敗戦を迎えた。試合終了後コートに崩折れた姿からは、さまざまな悔しさが読み取れた。

3戦目、出場の叶わなかった#25鍋田を#3佐藤が抱きとめる。悔しさははかりしれない。

もちろん3年生以下も、ここ一番の勝負に全力を尽くした。

拓殖大はこの3試合、#88大石のプレーが光った。アシストを量産し、スリーポイントでも周囲を唸らせた。その他、#18石橋、#74小森、#35加藤、#83吉本ら、3年生が要所でそれぞれの仕事を果たした。

国士舘大は4年を軸に、シューターの#9大滝や#34木島はもちろん、今季より出番を得ている#0入住(1年・PF・つくば秀英)や#6平良(2年・SG)が存在感を放った。

拓殖大は他部活からの応援も力になった。2、3日目はゴール裏で相撲部の面々が応援で後押し。
国士舘大はどの試合でもどの会場でも、大応援団が声援を送る。入れ替え戦は下級生が3日間異なる仮装で応援をリードし、観客も楽しませた。

【INTERVIEW】「チームのために頑張った。みんなが頑張った」#24ジョフ ユセフ(拓殖大・4年・C)

第1戦は出場せず。試合後は最後までアリーナ立川立飛のコートに残り、悔しそうな様子を見せていた。しかし2戦目には復帰。2名の留学生を抱える国士舘大相手には、やはり存在は不可欠。痛みを抱えた足で2戦を戦い抜くと、満面の笑みがこぼれた。

─1戦目は出場しませんでした。

「リーグ戦の終盤の、中央大戦で怪我をしました。痛くて1戦目は出ませんでした」

─2戦目からは出る予定だったのでしょうか?

「1戦目、チームは頑張って勝とうとしていたんですが、負けてしまいました。だから自分が出るしかない、となりました。トレーナーさんにお願いして準備して。痛いけど、我慢して出るしかないと思って頑張りました。チームのために頑張りました。でも自分だけじゃなくて、みんなが頑張りました。それでチームの為に頑張って勝ちました。本当に嬉しいです」

─リーグ戦の後半からチームが良くなりましたね。

「ほんとうにそうです。練習もみんな調子が良くなって。勝たないといけないところはみんな分かっているから。それでみんなが練習して、みんなが頑張って勝ちました。インカレもありますが、でも、1部に残ることが何よりも大事なことだから本当に嬉しいです」

入れ替え戦はスリーポイントも効果的に決まった。

【INTERVIEW】1部残留・インカレ出場、そして「4年を引退させたくない」という気持ちが産んだ集中力/#88大石 隼(拓殖大・3年・PG)

3試合を通して、安定という言葉以上の活躍だった。初戦は落とし、またオフェンスがうまく回らなかったが、8本のスリーポイントを決め、2戦目、3戦目はスリーポイント、アシストともにバランスの良いプレーで、国士舘大を翻弄した。石橋(#18)をはじめ、3年生全体の活躍も見逃せない3試合だったが、その筆頭ともいえるプレーぶりだった。

─リーグ戦の終盤からチームが上向きになっていきましたが、入れ替え戦まではどうだったのでしょうか?

「リーグの終盤で流れができて勝っていって、チームの状態も非常に良かったです。入れ替え戦に進んではしまいましたが、チームは上を向いて、入れ替え戦にかける思いで練習に取り組んでいました」

─ユセフ選手が1戦目出場しませんでした。

「怪我をしたことはしょうがないので、あとは自分たちがやるしかない、と考えていました。サイズは下がりますが、機動力を生かしたプレーで戦おうと思っていたんです。ただ、やってみるとやはり高さの部分。リバウンドを取られてしまったりして、1戦目の敗戦につながりました。次の日はみんなでミーティングをして、練習をして修正した結果、2戦目以降、いい結果になりました。そこが良かったです」

─3試合とも集中力が素晴らしかったと思いました。

「4年生を中心に頑張りました。神田さん(#0)や須藤さん(#21)たちもいい感じにシュートが入って。そこは4年生の気持ちがあったので、自分たち3年生はそこについていくだけだったと思います。4年生の気持ちに引っ張られました」

─みんな良かったですが、その中でも大石選手のシュートは素晴らしかったです。1戦目は負けましたがスリーポイントが8本、その後も要所で決まっています。

「4年生を引退させたくないというのと、インカレに出たいし、1部に残りたいという気持ちがあったので、後はそれを出して頑張るだけでした」

スリーポイントは3試合で合計16本。

─この入れ替え戦、合わせのプレーも多く見られて、一発のシュートに頼るのではなく、チームプレーの新しいスタイルが見えたように思います。

「動きの中でのキャッチ&ショットがいいシュートだという風に、自分たちの中の考えではなっていて、それを増やそうとしています。だからドリブル、ドリブルでいくよりは、スクリーンをする人は自分を犠牲にして、周りに打たせてあげるというスタイルを貫いています」

─ゴール下への合わせのパスも、何本も決まって絶妙でした。

「今年はずっとドライブからの合わせを意識してやってきました。去年は少し止まってしまう部分があったんですが、練習中に何度も確認して意識しながら、合わせの部分を高めてきて、うまくなってきたなという実感があります」

─そういうプレーが、この3試合で一段階レベルアップできたような感覚があるのでは?

「苦しい試合でしたが、負けたら終わりという緊張感の中で試合ができる貴重な経験でした。その中で勝ったということが自分たちの経験値になったと思うし、インカレにもつながるんじゃないかなと感じました」

チーム全体で合わせのパスが勝負どころでたびたび決まった。

─司令塔として大事にしていることは?

「今日は自分がやろうというふうに思ってしまって、なかなかうまくいかない状態でプレーしてしまいました。周りを生かすことがガードのプレーだと思うので、そこをもう一度改めて、自分を犠牲にして仲間を生かすというプレースタイルを貫きたいと思っています。スリーはチャンスがあればもちろん打っていきたいです」

─入れ替え戦も含め、リーグ戦は大変でしたが、振り返っていかがでしたか?

「2ヶ月間、序盤は苦しい状態でした。でも後がない状況になった。2巡目目から自分たちが上がっていけたので、自分たちには底力があるなと感じられたし、インカレになったらまだまだやれるという実感も今日できました。自分たちの持ち味は勢いなので、この勢いのままインカレにも臨みたいと思っています。また来月挑戦して頑張ります」


【INTERVIEW】「自分たちが信じてやってきたことは間違っていない」すべてを出し切って得られた感触/#3佐藤 巧(国士舘大・4年・PF)

主将の鍋田(#25)とともに、今年のチームの要ともいえる存在が佐藤ではないだろうか。国士舘大はシュートがうまい選手が揃うが、それだけでは試合には勝てない。佐藤はリバウンドやこぼれ球への執着心が強く、ゴール下での奮闘はチームをたびたび救った。
大学生のこのポジションは、プロを目指すなら外のプレーも習得が必須だ。アウトサイドやランプレーなど、佐藤も幅広いプレーを見せるが、試合では何より、チームのために泥臭くゴール下を守る奮闘ぶりが印象深かった。勝利には届かなかったが、4年間信じて練習してきたことは、確実に己を大きく成長させている。次に目指すプロという道でも、信じて継続していって欲しい。

─今の率直な気持ちを教えてください。

「自分たちが目標にしていたインカレ出場や1部昇格は叶わなかったんですが、自分たちがやってきたことを信じてやれば勝てるということは、間違ってなかったなという感覚はあります。負けてはしまいましたが、間違えてなかったっていうのは心から思っています」

─昨日の試合後のサークルでも「やってきたことをやろう」とみんなに声をかけていました。ご自身は出しきれたと思いますか?

「今まで自分がこの4年間築き上げてきたものを、コートに全部置いてこようという気持ちでした。最後まで全力でやりきれたと思っています」

2戦目の終了後、3戦目に向けてチームに力強く語りかけた。

─リーグ戦はどんな風に捉えていますか?

「鍋田(#25)を中心に4年生が軸になってチームを引っ張っていく形で、リーグ優勝を達成することができました。最後の2試合は負けてしまったんですが、そこまで勢いに乗っていけたかなと思っています」

─メンバーが大きく変わらない分、成長がしたのも伝わってきました。

「練習の段階からチームが一つになってやってこられたのが大きいです。練習の質も、昨年と同じメニューだったとしても、去年より質の高い練習ができたり、細かいところまで指摘し合ってやってきたから、全体のスキルアップにも繋がったと思っています。去年に比べてコミュニケーションやチーム力が高まった分、チームで頑張ろうという雰囲気になっていきました。チームで戦うという意識があったからこそ、最後まで頑張れました。チーム一丸というのを掲げてきた甲斐があったのかなと思います」

─佐藤選手は、今年は特にインサイドの働きでなくてはならない存在感でした。泥臭く、頑張るプレーを連発していました。

「プロを目指しているので、本当はアウトサイドをやりたいという気持ちもあったんです。でも途中で、チームが勝つためには自分がインサイドで体を張って泥臭いところをやらないと、勝ちには繋がらない、と思うようになりました。もちろんリバウンドは得意なんですが、それを効果的な武器にしていこうと。チームが勝つために何をするべきかと考えた時に、泥臭いところではほかのチームに負けられないという気持ちでやっていました」

─個人的に4年間で成長したと感じる部分はどのようなところですか?

「周りに気を配るメンタル部分は大きいです。4年生になってから、チームのためにという気持ちで精神的な成長があったと思います。技術面ではアシスタントコーチの松島さんと一緒の自主練習や、鍋田と一緒にシューティングをしてスキルを磨いてきました。あとはコミュニケーションを取って、自分個人の能力じゃなくて、周りと上手く合わせたりする技術が身についたかなと思います」

─チームがあと一歩、突き抜けるには何を大事にして欲しいですか。

「2部リーグでは、こうした接戦をものにできてきたんですが、拓殖大は立て続けにスリーを決めてきたり、リバウンドからブレイクを出してきたりということも簡単にしますし、1部相手だと流れが悪いとうまくいきません。やっぱり気持ちを切らさず。守りきるという技術というか、気持ちというのを身につけていって欲しいと思います」

タイトルとURLをコピーしました