【2022新人戦】はつらつとしたプレーで“チーム一丸”を体現した日本体育大が関東の王者に輝く(決勝/2022.6.12)

2022関東新人戦

山場の中央大戦をチームで乗り越える

2022年度の関東大学新人戦は、日本体育大学が延長戦の末に日本大を下し、チャンピオンに輝いた。2001年以来、実に21年ぶりに手にした栄冠だ。

今回のチームは非常にフレッシュなメンバーだった。スタメンは2年生の大黒柱#35ムトンボ(2年・C)を中心に、司令塔の#21月岡(1年・PG・昌平)、#10早田(1年・F)、#41石川(1年・SG)、そして新人王に輝いた#26西部(1年・SF)という1年生4名。その若さもあってか勢いにあふれ、試合を重ねるごとに輝きを見せたのが印象的だった。

優勝への道のりは、すべて順調だったわけではない。

今大会最初の山場は、ベスト16を決める中央大との戦いだろう。西部もこの試合が一つのキーだったという。1Q、トランジションと攻撃力を持ち味にする中央大に、日本体育大は20-8と出遅れる。中央大は前半、エースの#13小川(2年・PG)を筆頭に、スリーポイントが好調だった。一方の日本体育大は2Qになって持ち直していく。次第にムトンボの高さが生きはじめて追い上げると、3Qで逆転。石川が試合の流れを変えるシュートを決めてチームを盛り上げた。中央大は#13小川が最後まで粘ってスリーポイントを打ち続け、33点と奮闘するが、後半に逆転した日本体育大が64-77で勝利を収めた。この試合ふるわなかった西部は、5本のスリーポイントを含む23得点をあげた石川に「助けられた」と感謝したが、チーム力で勝つという流れが見え始めた試合となった。

優勝し、両手を掲げる#41石川。優秀選手勝を受賞。

準決勝で果たしたチームでの“筑波大越え”

つづく準々決勝、ベスト8進出がかかる対戦相手は早稲田大だったが、対戦当日に早稲田大が大会を辞退することになってしまう。ここで日本体育大には急遽空きができるが、それはチームにとっても有効に使えた時間となったはずだ。「2日で修正して合わせることができた」という西部は、準決勝の筑波大戦ではフル出場で33得点。ダンクも決めるチームハイの活躍で勝利に貢献する。4月の日筑戦では全体チームで敗戦したが、新人戦は見事勝利で負けられない相手を上回ることができた。

「この試合はチームみんなで一丸となって勝てた試合だと思っています。今までになくチームワークが生きました。とにかくディフェンスが良くて、ジャンピさん(#35ムトンボ)が(ゴール)下を守ってくれる中、みんなで外をしっかり守ることで、相手に攻めさせないことができたので、いいオフェンスにつながったんじゃないかなと思います」(西部)

筑波大戦で大活躍だった#26西部。

決勝は4Qの猛攻で日本大を逆転

決勝の相手は日本大。こちらもまさにチーム一丸で強敵の白鷗大や前回覇者の大東文化大を下し、勝ち上がってきた。試合は僅差の争いから前半に日本体育大が10点のビハインドを背負う展開で、3Qも盛り返せず54-42と12点差がついた。しかし4Qに逆襲が始まる。開始直後から早田や石川のシュートが気持ちよく決まり、追い上げを開始。マークに苦しんでいた西部の2本目のスリーが入り、司令塔の月岡も早い展開を出して、自らも得点して勢いを増していく。コンゴローとマッチアップするムトンボも、得点に、リバウンドにと奮闘。こうして全員がアグレッシブにプレーすることで、残り約3分には西部の速攻が決まると61-61の同点に追いついた。ここからは一進一退になりつつも、最後は延長戦で流れを掴んだ日本体育大が71-77で勝利した。

日本体育大はスタメンの5人が長時間プレーするスタイルで、全員が勝利に貢献する形だったが、「個々ではみんなやれる力も持っているし、気持ちも一番あるし、1年生だからこそアグレッシブにできています。それを生かして最後まで戦っていけたら」という西部の言葉を形にしたような勝利となった。そして、“チーム”が一つになったからこそ勝てたという思いも強い。

「自分が新人王ということですが、昨日は調子が良かったけれど、今日は全然ダメでチームに迷惑をかけました。でもチーム一丸で勝ったので、チーム全員に新人王をあげたい気持ちです」

チーム一丸とは選手だけのことではない。練習の準備から試合の対策まで、学生コーチたちの働きが自分たちを支えてくれたことに、誰もが感謝した。「選手が勝ったように見えるけれど、学生コーチたちの働きが大きかった」西部。高校時代よりも格段にスタッフの働きが重要視されるのが大学バスケットボールの世界。勝利することでそれを実感する機会になった。

出場した選手それぞれが輝いた大会だったが、中でも見逃せないのは、1試合平均10アシストを記録し、アシスト王に輝いた月岡だ。新人チームキャプテンの#18土家(2年・PG)が大会前に負傷し、今大会は一人で司令塔の重責を担うことに。「責任に押しつぶされそうになったけれど、やらなければ」という強い気持ちでチームをリードした。

高校時代の大きな大会出場は関東大会のみという。しかし内外へのバランスのいいアシストや#3米須(2年・PG)の裏をかいて決めたドライブも見事で、堂々としたプレーぶりだった。

アシスト王獲得の月岡。自分で行くところ、パスをさばくところとバランスのいいプレーを見せた。

「高校時代から名前の売れている選手とやりたい、1部でプレーしたいという目標を持ってきました。ここで米須選手と対決させてもらったのは本当にうれしいです」

コート上での強気なプレーとは反対に試合後は謙虚だったが、次世代を担うガードとしてこの先が楽しみな選手の出現は、チームにも大学界にも希望となる。

関東で見事な優勝を飾ったが、7月には全国から新人チームが集う全日本大学バスケットボール新人戦に出場する。全国はもちろん、この大会に出場する関東の上位4校はいずれも力のあるチームが揃うが、ここでも再び頂点を目指し、日本体育大の戦いは続く。

【2022新人戦】延長戦を制した日本体育大が21年ぶりに栄冠をつかむ(決勝/2022.6.12)

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