【2022新人戦】新人戦準優勝・個々の切磋琢磨でチーム力の成長を見せた日本大(決勝/2022.6.12)

2022関東新人戦

新戦力も台頭し、個々がやるべきことを果たす

新人戦準優勝となった日本大。優勝した日本体育大に負けず劣らず、チーム一丸で素晴らしいパフォーマンスを見せた大会になった。1年生のスタメンが多かった日本体育大とは逆に、こちらは2年生が主体。白鷗大や大東文化大といった強力なディフェンスを持つチームを倒し、決勝まで勝ち上がった。

スタメンもベンチプレイヤーも、出場した全ての選手が己の持ち味を発揮してパフォーマンスを発揮した5試合だった。とくにベスト8以降、準々決勝の白鴎大戦では4本のスリーポイントを沈めた#10新沼(2年・PF)、白鷗大戦、そして準決勝の大東文化大戦では#51一戸(2年・PG)が司令塔として牽引しつつ、安定した二桁得点でチームのボルテージを上げた。#13泉(1年・SG・福大大濠)や#10新沼が大黒柱の#12コンゴロー(2年・C)とも声を掛け合い、ネガティブになりそうなシーンでもコミュニケーションは密。崩れることのないチーム力を見せた。また、#4井上(2年・SG)、#7新井(1年・SG・沼津中央)、#81宮城(2年・PF)、#99下地(1年・PG・北陸)等、次世代を担う選手たちの活躍も輝いた。

誰が出てきてもチーム力が変わらず、みんなが盛り上げる。そんな姿を生み出した一つの要因は、チームのエースガード#3米須(2年・PG)の存在だ。

ハドルを組むシーンも多かった日本大。

核となる選手が産んだ、チーム内の切磋琢磨

米須は2022年1月30日、特別指定選手として加入していたBリーグ川崎の試合で右肩を脱臼。全治未定と発表された。長くリハビリに取り組み、この新人戦でようやく公式戦に復帰。プレーも時間制限がある状態だった。

そんな米須に変わってスタメンのポイントガードを努めた一戸は、「玲音の分までしっかりやろう」と、彼とは違う得点力を活かした自身のスタイルを発揮。積極的なシュートはチームの大きな武器となった。新沼「玲音がいないというのは結構大きかったんですが、彼以外のメンバーも『玲音に負けない』ということを、練習中から意識しています」と、米須がいなければ「彼の分も」、いれば「負けられない」と、どちらの状況でもいい意味でメンバーの意識が高まり、相乗効果を生み出す流れができていた。

そんな気持ちで練習に取り組んできた成果は、全員バスケとなって表れた。スタメン、ベンチに関わらずコートに送り出された全員がまんべんなく活躍し、勝利に貢献して決勝まで到達。準々決勝で前回覇者の大東文化大、準決勝では全体チームでは春トーナメント準優勝の白鷗大など、近年躍進目覚ましい大学を倒して勝ち上がった。

「誰が出てもいいように練習中も取り組んでいるので、誰かが駄目でも控えがいる、という安心感もあるし、どんどん交代してもスタートメンバーと遜色ないプレーで、つなぎをやってもくれます。準々決勝や準決勝でも、ほとんどが出られる現状になっています」

一戸はそう話し、チームに起きている切磋琢磨の状況を米須も歓迎する。

「みんなプレータイムをもらいたいという思いが強くて、練習でも自分に負けたくないという圧力を感じるぐらいです。ディフェンスができないと試合に出られないと城間さんからは言われていますが、練習中から一人一人がプレータイムをもらうためにハードワークし、みんなでディフェンスを頑張るという意識でやっています」

一戸は精度の高いシュートを次々に沈め、優秀選手賞を受賞。

そして新人戦はベンチから試合を見る時間が長かった米須だが、この大会におけるチームの成長には驚きと感動、両方があったようだ。

「チームの成長に関しては想像以上でした。準決勝の大東文化大学さんとの試合は、自分は肩の調子で出ることができなかったんですが、自分の穴を埋めようとするようなみんなのプレーを見ていて、少し感動していた部分もあります。自分がやっていることをみんなが真似してくれるというか、ディフェンスのカバーの寄りなど、そういうところも見て真似してくれていました。自分も外から声を出すことによって、それを助けられていたんじゃないかと思います」

決勝は惜しくも破れたが、この大会で得られたものは多い。「いいチームです」と笑顔で答える米須からは、仲間への信頼と誇りが伝わってきた。

リハビリ中に身体づくりに取り組んだ米須は、秋の完全復活を目指す

そんな米須だが、3月末までは川崎で、4月からは大学に戻ってリハビリや通院を続けてきた。5月のトーナメント時点で練習には戻っていたが、城間ヘッドコーチは焦らない姿勢を見せ、この6月の新人戦にようやく、時間制限はあるがコートに戻ってくることができた。人生初の大怪我は「ショックだった」が、前向きに考えて身体づくりの時間に宛て、体重も6、7キロ増。そのおかげでこれまでは身体の弱さで逃げていたところを、「自分から身体を当ててプレーしやすくなった」と、積極性が増したことを良い点に挙げる。また、食生活等を意識することで身体を作っていけることもわかり、もう少し増やそうとトレーニングは継続中だ。

こうして復帰した久しぶりの公式戦、一戸の活躍も素晴らしかったが、米須がコートインするとまた違うチームの姿を引き出していた。白鷗大戦、そして決勝の日本体育大戦では試合の流れを変える鮮やかなコントロールを披露。決勝では想定プレータイムを超過したものの、延長戦での城間ヘッドコーチからの問いかけには「出る」と頷き、また試合後は一人一人の選手に声をかけ、キャプテンとしても頼もしかった。

昨年とは身体の厚みも違う米須。100%でのプレーが待たれる。

完全復活は、まだ先だ。

「怪我をしたあとの5ヶ月は長かったか短かったかわかりませんが、コートに戻ってみるとやはり楽しいです。5人でやるとパスをどんどん前に出せるし、公式戦は練習と違って相手も変わるので楽しくて。もう少し出たいというのはありますが、肩のために我慢をして、リーグ戦での完全復活に向けて調整していきたいと思っています」

7月の新人インカレも様子を見ながらの出場になりそうだが、チーム“日本大”として狙うは頂点だ。

「次の全日本に向けてはまた新しいものというか、違ったチームをこの期間で仕上げていきたいと思います」

今回得られたものをいい形で昇華させ、さらなるチームの成長を果たしたい。

【2022新人戦】延長戦を制した日本体育大が21年ぶりに栄冠をつかむ(決勝/2022.6.12)

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