得意のシュートで勝利に貢献できたことをこの先の自信に
#18西田(2年・SG)が4Qに流れを持ってきた。
4Q開始3分で逆転した神奈川大は速攻、スリーポイント、またリバウンドで優位に立ち、東海大は4Q開始時4点のリードだったところを、ビハインドを負う形になってしまう。そんな状況から西田が放った4本のスリーポイントが何度もチームを救い、その上で最後は同点から#3ハーパー(2年・PG)のレイアップが勝負を決めた。
西田陽成は西田3兄弟の末っ子にあたる。日本代表にも選ばれた長男・西田優大(20年度卒・現B1三河)、東海大の3年に在籍する西田公陽、この2名に劣らぬ、高い能力を持つ有望株だ。持ち味は「ドライブやシュートに行くまでのプレーに器用さがあると言われてきた」といい、この試合でもスリーポイントシュートはもちろん、ドライブでも得点を重ねてチームに貢献した。
新チームになってからの公式戦は、3月の新人戦、5月のトーナメントともに緒戦負け。しかも西田の出番も多くはなかった。今回の新人戦も初回から神奈川大が相手で簡単ではなかったが、接戦を制して手にしたものは小さくない。試合後のインタビューで何度も出てきたのは「自信」という言葉だ。
「この試合は相手の強みを押さえるように、とやっていたんですが、そこがなかなか押さえられなくて接戦になってしまいました。個人的には自分のシュートはずっと入っていなくて、でも今回の新人戦のチームでは思い切ってシュートを打つように、ということを言われていました。前半はなかなか本数も打てませんでしたが、後半のいいところで思い切って打ち、それが入って勝ちにつながった事はよかったし、これからのいい自信になりました」
ここまでの大会の負けに落ち込むことはなかったが、「どうしたら自分が試合に出られるか」を考え、練習してきた日々だった。それは、スター選手が揃っていたがゆえ、プレータイムを得るのが難しかった昨年1年間も含め、挑んできたことでもある。
「昨年は自分をなかなか表現することができませんでした。でも今年こそはプレータイムを得るぞ、と想いを溜めてきてもいました。自分がどうしたら試合に出られるのかといえば、それはシューターになることです。特にスリーポイントは意識してやってきたので、それがこの試合では結果として出たと思います。この新人戦では緒戦を勝つ事が大事で、それでチームとしても勢いに乗ろうと言われていたし、シュートで表現できて1勝できたことがうれしいです」
4Qの4本のスリーポイントシュートは「自信を持って打てた」ことに加えて、「自分を表現できはじめた」という感覚につながったことが、大きな収穫かもしれない。
「#13金近(2年・SF)やハーパーといった、点を取れる選手がたくさんいるんですが、そこに頼らず自分も表現していき、この大会でシュート力を見せたいです。もちろんディフェンスでの要にもなりたいですが」
そんな目標を持つが、“経験値”を積み上げていくことで、さらに西田の表現の幅は広がっていくだろう。
足りない経験を積み重ね、粘り強さで勝つチームに
陸川監督は春の連敗については「経験不足」が否めないという。「練習試合ではほとんど負けていないんです。でもそれは公式戦とは違う。選手たちに力の差はないし、足りないのは経験」と感じ、こうコメントする。
「キャプテン(#24松崎・4年)も『やっていることは間違っていない。もう一度信じることとやりきること、ここでフラフラしては駄目だ』とチームのみんなに語りかけ、私も同じ気持ちです。負けたけれど、もう一度力を出せばいいと前向きに話してきました。今日の試合を見ればそういうことを選手たちが信じられるようになってきたのかな、と感じるものがあります」
西田や金近、ハーパーといった選手は高校時代のキャリアもあり、大学を代表する選手となっていくメンバーたちだ。少しほかの1部チームよりスタートが遅れてしまったが、公式戦の経験をここからチームで積み、全員が一丸となって勝っていくことが今は何よりも大事になる。陸川監督は今年のチームを全員でやって粘り勝つチームという。
「他の大学も強く、今年はダントツで勝てるという状況ではありません。でもうちは粘る力はある。新人チームも大勝ちするようなチームではないけれど、粘って1点、2点を勝つバスケットを目指していきます」
2022年のシーガルスは今、大きく一歩を踏み出した。ここからの進化と成長に注目したい。