関東大学1部リーグは11月3日、第20節をもって最後を迎えた。最終戦は順位のかかった試合が多く、また最終戦ということもあって、会場の大田区総合体育館には多くの観客が詰めかけ、先に全試合を終えた大東文化大、明治大を除く12チームの最後の戦いを見守った。
白鷗大が最終戦を勝利して2年連続リーグ王者に輝く
優勝に王手がかかっていた白鷗大は最終試合で筑波大に勝利し、リーグ2連覇を達成した。MVP受賞の#2脇(4年・F)ら4年生が牽引役となり、今季はそこに3年生が頭角を表し、セカンドメンバーとしてチームを盛り上げて大崩れしない安定感があった。混戦といわれた上位リーグで最終的に2勝差をつけての堂々の優勝だ。
インカレでは第1シードとなる。ただ、このリーグで2敗、トーナメント決勝でも破れた日本体育大が第4シードで左下に入る。当たるなら準決勝だが、日本体育大越えを果たして日本一を証明できるかどうかが問われる。
【INTERVIEW】「大きな怪我人なく過ごすことができたのは大きい」網野友雄監督(白鷗大学)
春から夏にかけてはアンダー代表でチームを不在にする時期もあり、WUBS参加もあって、じっくりと練習する期間がないままのリーグ突入となった。準備は足りてない、まだまだとしつつも、華やかな8月のWUBSの余韻からか、チームの盛り上がり自体もいい雰囲気でリーグ戦に入っていった。課題は、負けた4試合(日本体育大・大東文化大・東海大戦)が内容的には良くなかったというところ。インカレに向けてはそうした部分を詰め、2年ぶりのインカレ制覇を狙う。
─このリーグ戦を振り返って。
「今年のリーグ戦は結構タフなスケジュールで、途中で天皇杯もありましたし、大変だったんですが、大きな怪我人がなく2ヶ月を過ごすことができたので、そこが一番良かったと思っています。2巡目で上位と下位に分かれましたが、1巡目で下位リーグに行ったチーム相手に取りこぼさなかったところも良かったですね。
来年のレギュレーションは不明ですが、今年はリーグが分かれたことで、2巡目の緊張感はかなりありました。ただ、求めているものでもあったので、それはよかったです。
理想としては、まだまだです。4敗しているし、日体大には2敗しています。そして負け方があまり良くありませんでした。そこをきちっと勝ちきれるチームにしていかないといけないなと思っています」
─#8陳岡、#36ポーグ、#20根本、#4佐伯選手ら、3年、2年の躍進が目立ったリーグにもなりました。
「やはり繋げていくことが大事なので、それは良かったです。練習で頑張った選手は起用しますし、そして何より、2年や3年がすごく危機感を持っていたことが大きいと思います。3年生には誰もが知るようなスターはいませんが、チームの和を大切にする意識が強い学年でもあります。そこはすごく頼もしく感じました」
─インカレに向けて。今年はあと少しというところで2位が続いています。
「インカレはそこに向けてのチャレンジだと思っています。ここからどう勝つかということを追求して、チャレンジしたいと思います」
2〜4位は13勝6敗で専修大・日本大・日本体育大の3チームが並ぶ
実力差がない現在の大学界を象徴するように、13勝6敗で2位専修大・3位日本大・4位・日本体育大(3チーム間の勝ち点で順位を決定)が並んだ。ここまでの4チームはインカレの1〜4シードとなる。この3チームは主力に欠場者が出たタイミングが勝敗や順位にも少なからず影響を与えた。
序盤戦は欠場が多く安定しなかった専修大は、1巡目中盤からメンバーが揃い、2巡目の上位リーグで実力を発揮。後半戦に粘り強さを見せて上位チームを倒していった。中でも1巡目の日本体育大戦では、固いディフェンスと勝負強いシュートで強敵を倒した見事な試合展開が光った。また上位リーグでは日本大にも逆転勝利したのが大きい。今年から試合に絡むメンバーが多いが、その状況で昨年と同じ2位は大きな成果といえる。
リーグスタート時に好調だった日本大も、中盤以降は欠場者が増えた。そこから安定しない試合が続いて3位。昨年も混戦の結果5位となったが、上位のライバル陣の中で抜きん出る難しさが垣間見えた。インカレには#6野口(4年・SF)も本格復帰するが、最上級生として最後の働きに期待したい。
春トーナメントを制した日本体育大は最終盤まで優勝争いをしたが、最後の3連敗が響いて4位。第17節から#23ムトンボ(3年・C)以下主力数名が欠場。それでも上位リーグで白鷗大に勝利と健闘した。しかしその後は順位のかかった試合を落として3連敗となってしまった。下級生主体ではあるもののチームの一体感は強く、一発の強さや勢いはほかを凌駕するものがある。インカレでの戦いぶりからも目が離せない。
東海大・大東文化大が勝敗で並び5位・6位/筑波大は7位
序盤は不安定さが見え、後半にかけて修正していった東海大と、開幕8連勝から怪我人が相次いでその後失速して連敗が続いた大東文化大は、最終的には12勝7敗の同率。東海大が5位、大東文化大が6位となった。東海大は主将の#0黒川(4年・PG)が強いリーダーシップを発揮。安定したプレーとぶれないメンタルでチームを鼓舞する姿が目立った。終盤にはホームゲームで優勝を決めたい白鷗大・日本体育大を撃破したのも見事だった。
大東文化大は開幕時こそ好調だったが、天皇杯への参加を境に怪我人が増加。そこから苦しい戦いを強いられた。#4菊地(4年・SG)のリーダーシップや、3年目の目覚ましい開花が感じられる#25山内(3年・SG)らが得点を牽引。苦しい中でも終盤は大東文化大らしいディフェンスが戻るなど、良い面も出してリーグを終えた。
粘り強く戦って上位リーグ入りした筑波大は下位リーグでは苦戦し、7位。4年生が全員復帰した一方で、その後も欠場者が続いてやりくりに苦労するリーグ戦だった。しかしその中でも上位リーグでは日本体育大を倒す会心の試合もあり、一発の強さを秘めていることを証明した。
中央大は下位リーグで揺るがぬトップ/山梨学院大は初の1部で見事9位に
1巡目にいい試合を連発しながら惜しくも上位リーグ入りを逃した中央大は、後半戦も安定した戦いぶりで崩れず8位をキープ。今年は初のホームゲームも開催し、1部復帰後、3年連続でベスト8入りとなった。途中で大黒柱の#42山崎(PF)が怪我で離脱するなど、欠場者を出しつつも、上位相手には専修大を破る金星もあった。
山梨学院大は最終戦で拓殖大を下して9位。初の1部リーグは上位チーム相手に苦戦もあったが、下位チームには確実に勝利してじわじわと順位を上げた。1年生から主力として戦ってきた4年生にとって、手応えを感じられた9位といえるかもしれない。エース#67武内(4年・SG)が最後まで得点王とスリーポイント王に絡んで、存在感を見せつけた。昨年は惜しくも逃したインカレに今年は初出場となる。4年生にとって最初で最後の大舞台で集大成を見せて欲しい。
また、一足先にリーグ戦を終えた明治大は最終的に10位となった。1年生が躍動し、後半になって調子を上げ、入れ替え戦を回避した。能力の高いスコアラーが多く、1巡目の拓殖大戦の大逆転勝利は、大学バスケ界でもかつてない逆転劇といえるだろう。
神奈川大と拓殖大が2部との入れ替え戦に進出
入れ替え戦争いも最後まで熾烈な争いが続いた。神奈川大は最終戦で江戸川大に勝利し、拓殖大は山梨学院大に破れ、神奈川大11位、拓殖大12位が確定。神奈川大はこのリーグ戦中ずっと調子が上がらないままだった。入れ替え戦では2部2位の法政大と対戦する。
拓殖大は1巡目では1勝に終わったが、下位リーグに入って5連勝。下位リーグトップの中央大を破って自動降格を回避する勝負強さを見せた。最終戦のみ落とす形になっての12位で、2部1位の国士舘大と対戦する。
早稲田大と江戸川大が2部降格
来年から1部は12チームに戻るため、今季は2チームが自動降格となる過酷なレギュレーションだった。
早稲田大は能力の高いスコアラーを多く擁するが、インサイドとディフェンスには課題が見え、苦戦が続いた。自動降格は決まった最終戦では多くのファンが温かい拍手で2ヶ月の奮闘をたたえた。
1部初年度の江戸川大は強いディフェンスとスコアラーを持っていたが、思うように白星を伸ばせず。#14郷原(3年・SG)、#1ジャキテェ(4年・F)といった主力が怪我をしたのも惜しまれる。最終戦はシーズン最後、かつ4年生の引退試合でもある。最後にその2人も含めて4年生たちをコートに立たせ、挑戦のシーズンは幕を下ろした。
【最終結果】
優勝 白鷗大学 15勝4敗
準優勝 専修大学 13勝6敗
3位 日本大学 13勝6敗
4位 日本体育大学 13勝6敗
5位 東海大学 12勝7敗
6位 大東文化大学 12勝7敗
7位 筑波大学 9勝8敗
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8位 中央大学 11勝8敗
9位 山梨学院大学 8勝11敗
10位 明治大学 7勝12敗
─────入れ替え戦──────
11位 神奈川大学 7勝12敗
(2部2位・法政大との入れ替え戦へ)
12位 拓殖大学 6勝13敗
(2部1位・国士舘大との入れ替え戦へ)
──────2部降格──────
13位 早稲田大学 5勝14敗
14位 江戸川大学 2勝17敗
<今リーグのレギュレーション>
※上位リーグ(1〜7位)と下位リーグ(8〜14位)は勝敗が上回っても順位は逆転しない