【関東リーグ2023/1部/立川会場】中央大のホームゲーム2戦目は拓殖大が奮闘の末に勝利し自動降格を回避、早稲田大の2部降格が決定(第19節/2023.10.29)

2023関東リーグ

関東大学リーグ、1部は残すところあと2試合となった。この日も3会場に分かれ、熱戦が繰り広げられた。

中央大のホームゲームは死力を尽くした拓殖大が歓喜の勝利

アリーナ立川立飛では、ホームの中央大拓殖大を2戦目の相手として迎え撃った。

この日、東海大会場で拓殖大と勝敗で並ぶ早稲田大山梨学院大に敗北。これにより、拓殖大は勝てば自動降格枠からの回避が決定するという状況の中で試合が始まった。

試合は立ち上がりから拓殖大のペースで、中央大を一気に引き離す。#24ユセフ(4年・C)が2ファウルになってしまうものの、チームでスリーポイントも気持ちよく決まり、13-24と11点のリードを奪って2Qへ。しかし拓殖大はオフェンスの勢いが落ちてきて、中央大が追い上げる。#0樋口(4年・PG)のシュートや#22島﨑(2年・PF)のスリーポイントで差を縮めていく。ただしフリースローの確率が上がらない。拓殖大はこのQはターンオーバーが続き、11点に終わるが、31-35とリードを保って前半終了。

中央大#22島﨑は12点、スリーポイントは4本。苦しいところで決めて会場を盛り上げた。

3Q、中央大は序盤に#22島﨑のスリーポイントで同点に追いつく。しかし拓殖大は#24ユセフがゴール下で粘り、#0神田(4年・PF)のバスケットカウントで再び拓殖大がリード。中央大はゾーンで相手のミスを誘い、#2内尾(4年・SF)のスリーポイントで逆転。しかし拓殖大もゾーンで対抗し、#24ユセフがアシストやフリースロー、#21須藤(4年・SG)のスリーポイントで再び逆転しかえすやり合いに。中央大はこのあと1点差に何度も詰め寄るが逆転まではいけず、55-58と拓殖大3点リードで3Q終了。

4Q、立ち上がりは互いにターンオーバーが続く。中央大は#13小川(3年・SG)のスリーポイントで同点に。拓殖大はスリーポイントが決まらずに苦しいが、それでも#21須藤が速攻やゴール下へ切れ込んで粘って立て続けに得点。6点のリードを奪う。そして中央大も外が決まらず、リバウンドを#24ユセフに奪われる場面が目立つ。それでも#2内尾や#13小川が攻めて残り2分で2点差にすると、プレスで拓殖大のミスを誘っていった。しかしこの苦しいところで拓殖大はこの日得点を引っ張る#18石橋(3年・SG)のシュートとフリースローで逃げる。中央大は残り52.2秒、#2内尾のスリーポイントで2点差に迫るが、チームファウルが5を越えており、ディフェンスでファウルを取られ、拓殖大にフリースローが続いてしまう。拓殖大は#88大石(3年・PG)がこれをきっちり決めて69-73。拓殖大が我慢強く戦い抜いて下位リーグ最高位の中央大を撃破。そして自動降格の回避を決め、チームが歓喜に包まれた。

拓殖大#24ユセフは17点12リバウンド。ファウルも後半は我慢して抑えた。

拓殖大は相手ホームという不利な状況ではあったが、40分テンションを保って戦い抜き、応援団も応援で盛り上げた。前半はスリーポイントが良く、後半は落ちてきたが、リバウンドやディフェンスで粘り、フリースローでも着実に得点を決めた。

中央大はスリーポイント本数では拓殖大を上回ったが、立ち上がりからリズムはあまり良くなく、わずかな点数ではあるが終始追いかける形となった。終盤はスリーポイントが落ち、相手にリバウンドを拾われたのが痛かった。

拓殖大が劇的な勝利をおさめる形にはなったが。接戦だったこともあって会場は最後まで大きな声援が飛び交い、大盛り上がりのホームゲームとなった。

負けられない一戦の勝利に、拓殖大#24ユセフと#0神田が抱き合う。
24得点でチームハイの#18石橋も笑顔でくしゃくしゃに。リーグ戦を通じ、賢明さが光る選手。

「ホームゲームの一歩目としては非常に良かったと思う」中央大#2内尾聡理

初のホームゲームに#2内尾は「普段と違う環境の中で、声援を受けながらの試合は、自分も普段以上の力を発揮できたかもしれないですし、やはりホームゲームという位置づけは楽しく、自分としてもとても良かったかなと感じています」という。

立川ダイスとの共同開催でホームゲームを開催。

ホームゲームに至るまでの過程が特別だったといい、準備はマネージャーや試合に出ないメンバーたちが頑張ってくれた。「みんな夜遅くまで残って、グッズを作ったりしてくれたし、チラシ配りをしたり、いろんな人の思いがあった分、自分たちもそれに応えるプレーをしなくてはいけないという責任感も生まれました。普段の試合とはやはり違う感じは選手たちもいい経験になったし、またやりたいなと感じたと思うので、来年再来年と続いていけば、東海大学さんに負けないぐらいに盛り上がるものになるのかなと思います」と、ホームゲームでは先駆者である東海大のような盛り上がりを作れるよう、継続に期待を込める。

そしてリーグ最終節は2部降格が決定した早稲田大が相手。リーグ戦を通じて詰めの甘さがあったことを反省しつつ、最後の試合にも気を引き締める。「インカレに向けてあと1試合を消化するのではなく、成長できるようにやっていきたいです」

18点、12リバウンドの内尾。1勝1敗とはなったが、ホームゲームに関わってくれた人たちに感謝を寄せた。

中央大はMCとは別に、部員が応援席の中央でマイクを持ち、ディフェンスやオフェンスのコールを担当。
タイミングや盛り上げでも上手く観客を引っ張った。
ハーフタイムにはMCや応援担当の学生たちが中央でさらに観客席にアピール。また、タイムアウト中には会場を駆け巡って観客を煽っていった。
ハーフタイムやピリオドの終わりには、中央大学ソングリーディング部が華やかに盛り上げた。
観客では応援ボードが高く上がった。
2巡目全勝同士で負けられない拓殖大も応援席のテンションは最高潮。“推し”うちわも見える。

【INTERVIEW】「自分たちがとにかく勝つだけ」切り替えた2巡目は5連勝/#21須藤 陸(拓殖大・4年・SG)

2巡目に入り5連勝。降格回避をかけて試合数が減っていく中、勝負強さを見せてこの日は同じく2巡目全勝の中央大を倒した。そしてこの結果で2部への自動降格はなくなった。
下位2チームが自動的に2部降格するルールは過酷だが、2018年にも自動降格を経験している拓殖大にとって、それは絶対に避けたい道だったはずだ。こうしたときにやはり強さを見せるのは4年生だ。3年生の奮闘も光ったが、苦しいところで須藤とユセフ(#24)、神田(#0)ら最上級生がチームを勢いづかせた。須藤は12得点。後半に入って得意のスリーポイント確率が落ちる中、ゴール下に切れ込んでタフショットのレイアップで粘った。
入れ替え戦枠を脱せるかどうかは最終戦にかかる。他チームの勝敗にもよるが、最後まで意地を見せて欲しい。

─すごい試合でした。中央大相手に大きな勝利です。

「1巡目は結構勝てない試合、接戦だけど勝ちきれないという試合が続いて。1勝で終わってしまいました。だから2巡目は崖っぷちから始まって、チームとしては全員で力を合わせてやるしかない、という形でした。でも1巡目よりも団結して2巡目には入れたので、それがこの2巡目始まってからの連勝につながっていると思います。チームでやってきたことが2巡目で発揮でききたというか、ちょっと遅かったですけど、ここにきてやって出せてきてるいのかなと思います」

─1巡目は確かにあまり良くなく、明治大戦では大逆転されてしまった試合もありました。よく2巡で立て直してこられたと思います。

「あの明治大との試合も含めて、1巡目は自分たちでも何が起こっているのかよくわからない状態だったので、もう切り替えるしかありませんでした。ただ、2巡目はまだ残留やインカレの希望もあったし、そこに向けてやろうとチームとして割り切ってやっていました」

スリーポイントは2/8と苦しんだが、それ以外の部分での奮闘で粘り強さを見せた。

─今日はホームの中央大が相手で、しかも早稲田大が負けたので、勝てば自動降格を回避できるという状態で試合でした。緊張はなかったですか?

「ほかのチーム状況や勝ち負けもあったんですが、それよりも自分たちが勝つことでいろんな可能性が広がるということをみんなで共有できていました。だから周りの結果よりも、自分たちがまず勝つということにフォーカスしてできていたのであまり、いろんなことを考えすぎずに。自分たちのやるべきことをやるというのをできたことで、いい結果につながったと思います」

─みんな頑張りましたが、4年生として須藤選手も頑張りましたね。スリーが入らない中でのレイアップは見事でした。

「今日はちょっとスリーも入らなくて、リズムは良くなかったんですが、ディフェンスから流れを持っていきたいなと思っていました。足が動かないなりにハードにやろうと思っていたし、自分以外のメンバーもみんなすごく足動かしてやってくれていました。本当に嬉しいです」

─これで自動降格は免れました。まだ入れ替え戦枠ではありますが。

「最終日に勝てば、ほかのチームの勝敗にもよりますが、入れ替え戦回避もあるかもしれません。まず、自分たちがとにかく勝つだけです。もし入れ替え戦になっても、最終戦に勝つことで、入れ替え戦に向けていい流れでいれると思うので、まず勝ちたいと思います」

【第19節/勝敗】
<上位リーグ>
   白鷗大学    14勝4敗
   日本体育大学  13勝5敗
   大東文化大学  12勝7敗
   専修大学    12勝6敗
   日本大学    12勝6敗
   東海大学    12勝6敗
7位 筑波大学    9勝9敗
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<下位リーグ>
8位 中央大学    10勝8敗
   明治大学    7勝12敗
   山梨学院大学  7勝11敗
─────入れ替え戦──────
   神奈川大学   6勝12敗
   拓殖大学    6勝12敗
────2部降格〈確定〉────
13位 早稲田大学   5勝13敗
14位 江戸川大学   2勝16敗

※試合数が異なるため、確定のみ順位を記載

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