【2023早慶戦】第81回早慶戦、男子戦は接戦から早稲田大が38年ぶりの4連勝を果たす(2023.6.24)

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大学バスケットボール界最大の定期戦、“花の早慶戦”。

81回目を迎える歴史ある戦いは、会場となった国立競技場代々木第二体育館に今年もほぼ満員の3000人近い観客を集め、大歓声が会場を何度も揺らせる、熱い戦いが繰り広げられた。

試合前から会場は大盛りあがり。慶應義塾大応援指導部のフラッグに沿ってウェーブも。

【女子戦】早稲田大が実力を見せ、連勝記録を伸ばす

開会式が終了し、女子戦が始まる頃には8割方観客が入り、熱気に満たされる中、まず女子戦がスタートした。

試合は1部の実力を持つ早稲田大が立ち上がりから先行した。早稲田大はシュートタッチが良くないものの、慶應義塾大のターンオーバーから得点を重ねて1Qは24-2。2Q、慶應義塾大は果敢にアタックを重ね、少しずつシュートタップが改善。じわじわと点数が入ってくる。しかし早稲田大は#21中山(4年・GF)が好調で、44-10で前半終了。

後半3Q、早稲田大がさらに慶應義塾大を突き放していくが、慶應義塾大も果敢なオフェンスで食らいつく。3Qは8点に押さえられたが、4Qには内外からの得点で20点を記録。応援席も得点が決まるたびに大きく盛り上がった。早稲田大はまんべんなく選手が活躍し、96-38。1988年から続く連勝記録を伸ばし36とした。

女子戦も多くの観客が精一杯の声援で盛り上げた。

【男子戦】競り合いの好勝負は、3Qに早稲田大が抜け出し4連勝

メインイベントの男子戦が始まる頃には、会場は満員に。試合への熱い期待が空間を満たし、両チームともそれに応えるような好勝負を見せた。

早稲田大は序盤に#13星川(4年・PF)のスリーポイントが3連続。一気に差をつけかかるが、慶應義塾大は#9高島(3年・PF)がインサイドで存在感を見せて3連続シュートを決めると、#10林(3年・SG)のスリーポイントでさらに差を縮める。早稲田大は#0下山(1年・PG・中部第一)のスリーポイントも決まるが、アウトサイド中心のオフェンスは1Q途中からやや沈黙。慶應義塾大は好ディフェンスから速攻やドライブのバスケットカウントなどで攻めて18-17と1Qは1点差。

慶應義塾大は#9高島が得点を牽引。積極的に攻めて次々にゴールネットを揺らした。

2Q、慶應義塾大は引き続き好調で2Qも#9高島を起点に得点を重ねる。ボールも回り、バランスの良いオフェンスで開始3分、#4山本(4年・G)のドライブで逆転に成功。一方の早稲田大は3分半ほど無得点となってしまう。しかし#6三浦(1年・F・洛南)の連続スリーポイントで救われる格好になり、リードを取り戻す。慶應義塾大も切れずに#9高島の活躍でついていき、前半は37-35と早稲田大2点リードで終了。

緊張感高まる中で始まった3Q、ここで早稲田大のスリーポイントが爆発。立ち上がりすぐさま、#6三浦と#0下山が交互に合計4本を沈め、一気に引き離す。しかし慶應義塾大も#4山本がスリーポイントを返すと、そこから#4山本中心に攻撃を組み立て、コツコツと追い上げ。#13廣政(2年・SF)のスリーポイントに#4山本のバスケットカウントが決まると、残り4分で52-50と最大11点あった差を2点にまで縮めた。しかしその後はディフェンスでファウルが続いてしまい、早稲田大にフリースローを与えてしまうと、最後は速攻やスリーポイントの出た早稲田大が60-52と8点リードして3Q終了。

早稲田大は#0下山がスリーポイントや速攻でルーキーらしい思い切りの良さを発揮。

4Qの立ち上がりも早稲田大が3Q終盤の勢いのままに流れを握った。#13星川のスリーポイント、#0下山の速攻で点差を2桁にする。慶應義塾大は足がやや重くなってきて、前半のようなディフェンスが機能しない。早稲田大は持ち味の機動力を活かして20点近くまで差を広げる。残り2分を切ってからは主将の#24細溪(4年・PF)のスリーも決まり、チームも会場も大歓声。慶應義塾大も最後まであきらめない。#5清水(4年・G)、#4山本の連続スリーに#13廣政、10林らが得点を重ねて粘って点差を縮め、最後は83-68。ブザーが会場に鳴り響くと満員の観衆から大きな拍手が巻き起こり、81回目の早慶戦が幕切れを迎えた。

これで早稲田大43勝38敗。4連勝が難しいとされる早慶戦、早稲田大が3連勝していた今年は一つの山場ともいえたが、競り合いを制して勝利。歓喜に沸いた。

【INTERVIEW】「早慶戦は早稲田にとっても慶應にとってもすごく怖い舞台、だからこそ最高の体験ができる」#24細溪宙大(早稲田大・4年・主将・PF)

チームの主将として、今季はベンチからの支えを大事にする。早慶戦は昨年もワンポイントの出場で得点を決めている。付属校出身ゆえに入学前から早慶戦は遠い舞台ではなかった。しかし、そこに向かう感覚は立場によって全く異なるという。試合終盤には見事にスリーポイントを決め、「ものすごく怖い舞台」を最高の舞台に変えた、最後の早慶戦となった。

─最後の早慶戦、いかがでしたか?

「最後にプレータイムをもらって、シュートを決められて、本当に良い早慶戦でした。安心しました」

─4年のプレーヤーは2人ということになりますが、どのような意識でいるのでしょうか。

「もう1人の4年である星川(#13)が、すごいプレーでみんなを引っ張ってくれます。僕は精神面だったり、ベンチで盛り上げたり、みんなの気を引き締めたり、そんな立場で4年生としてやれているなと思っています。今年のチームはコミュニケーションがたくさん取れているなという印象があって、春のトーナメントで6位という結果もついてきていますし、それもいい材料になっています」

─外から見て雰囲気よく見えるのは、そういうところがあるのかもしれませんね。早稲田実業出身ですが、早慶戦は身近なものだと思います。どのようなイメージを持っていましたか?

「僕は1・2年が無観客の早慶戦でした。そして高3の時に早慶戦を見たんですが、その時は負けてしまったんです。大学に来るまで有観客で見たことのある早慶戦は負けた早慶戦でした。だから昨年、土家先輩がすごいプレーをして、早慶戦を有観客で勝つとこんな感じなんだ、ということを知ることができました。だから今年は怖い部分ももちろんあったし、でもここでしか味わえない、最高の体験ができたと思います」

─高校時代とは早慶戦の感じ方も違いますか?

「高校の時は伝統のある舞台だなということは感じていたんですが、観客席側で見るのと、実際にバスケ部に入って自分がベンチで見るのと、またコートで見るのと全然違う景色です。だからいい意味で印象が変わりました。早稲田と慶應のお互いにとっても、すごく怖い舞台だと思います。お互いに負けたくないし、勝ちたいと思って死に物狂いに来る試合です。そういう恐怖はもちろんあるんですが。それがあるからこそ、他では得られない最高の試合という舞台だなと感じています。今日は前半も慶應がすごく意地を見せてきたし、本当に負けられない怖さがありました」

終盤にはスリーポイントも決め、笑顔に。

─シーズンはまだ続きます。チームで大事にしていきたいことを教えてください。

「バスケット以外のところの内部的なところで言うなら、コミュニケーションなんですが、チームの目標として『応援されるチームになろう』と言っています。コミュニケーションをとって、チームの雰囲気が良くなって、みんなが泥臭いプレーをして、観客席の方々が応援したいチームだと思えるチームになるのが目標です。そうやって秋のリーグ戦に向かって戦い抜くだけだと思います」

【INTERVIEW】「シュート1本に観客が喜んでくれて、とても楽しかった」悔しさと喜び、両方を感じた最後の早慶戦/#4山本康瑛(慶應義塾大・4年・主将・G)

パスセンスと勝負どころの高いシュート力で、1年時より司令塔としてチームを引っ張ってきた。現在は3部の慶應義塾大には挑戦といえる舞台だが、堂々と渡り合い、前半は互角。後半も2桁差をつけられても2点差まで追い上げる粘り強さを見せた。
昨シーズン終了後よりディフェンスを中心に強化し、地道に積み重ねてきた一端を見せた早慶戦。この試合の良い部分を秋シーズンへとつなげていきたい。

─前半は2点差、3Qも追い上げて非常に頑張りを感じられた試合でした。

「前半は結構良い調子でいけていたので、ハーフタイム中もチーム内で『いけるぞ、いけるぞ』と盛り上がっていました。ただ後半になって自分たちの疲れであったり、相手のシュートが入りだした時に踏ん張れなかったところがありました」

─特に前半はディフェンスが良く、ポイントを絞って対策しているなと感じました。

「13番(星川)のところに一番やられたくないというのが僕らの中にあったので、そこを止めようとしていました。でもそこで空回りしてしまったところはあります。どうしてもローテーションが遅れてしまっていたりして、1年の0番(下山)とか6番(三浦)に8本ぐらいかな?スリーをやられてしまったのが痛かったです」

─ただ、昨年とは違う展開で、競り合いに持ち込めたのは、成長が見えた部分かもしれません。

「昨年の敗因は最初の3分で一気に離されてしまったところです。それが大差のついてしまった原因だと思っています。だから今年は最初の入りから意識して、チャンスがあったらどんどんリングにアタックしようとしていましたが、それが結果として功を奏していたのかなと思います」

─4年目、最後の早慶戦になりましたが、いかがでしたか?

「僕らは今3部にいますし、これだけ盛り上がる試合はあまりここまでやってこられなかったので、素直に楽しかったなと感じています。シュート1本1本に観客がとても喜んでくれるというのは、なかなかない環境なので、やっていてとても面白かったです。その中で負けてしまったというのが非常に残念ですが、でもすごく貴重な経験をさせていただきました」

─春シーズンはトーナメントでは青山学院大に競り合うなど、良い面も見えています。

「ここまで練習してきたことが結構出ていて、自分たちがやってきたことが間違いじゃないというところは再認識できたと思います。これをいかにブラッシュアップして秋につなげていくかです。つきつめていくことで、秋のリーグ戦優勝につながっていくと思います」

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華やかな早慶の入場。
試合前やハーフタイムには、両校のチアが華やかに舞った。
アベック優勝を果たし、体育館には『紺碧の空』が響き渡った。
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