【2021トーナメント】「遠慮なく皆がプレーできるチームに」〜新チームの新たな挑戦〜#20 伊藤 領 (東海大・4年・主将・PG)

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今大会でも注目を集めるであろう、昨インカレチャンピオン・東海大。毎年多くの有力選手がその門を叩くチームの一つだが、その中で今年の東海大を象徴する選手たちとして見逃せないのが、4年生たちだ。伊藤(#20)、佐土原(#23)、松本(#31)、坂本(#60)、八村(#86)、そして大倉(#11)。この6名がAチームに名を連ねる。2017年のインカレ制覇への貢献、2018年の新人戦優勝、そして2020年は2年ぶりのインカレ王座奪還の課程でそれぞれが役目を果たし、過去3年間でさまざまなストーリーを綴ってきた彼らも遂に4年目を迎えた。大学バスケの核ともいえる最上級生としてどのような物語をファンに見せてくれるのか、今シーズンの大きな見どころだろう。

今季の主将・伊藤は、今大会で待たれた復帰を観客に披露した。一昨年の怪我により、昨年は試合への出場が叶わず、ベンチや応援席でチームを見守った。電気通信大との対戦になった緒戦は、公式戦で久しぶりに得点を挙げることができ「良かった」と微笑む。大学界にとっても喜ばしい復活だ。この先、試合を重ねて彼らしいプレーをもっと見せてもらいたい。そして今季は「自覚を持って」チームのトップを務める。今年のチームづくりについて尋ねると「意識しているのは、下級生とのコミュニケーション」という答えが返ってきた。

「今年は自分たちの学年の色が強い年。そこに下級生が遠慮してしまうとよくないね、と4年生たちの間で話してきました。だから下級生たちにどう伝わっているのかはわからないけれど、4年生としては接し方なども意識し、コミュニケーションを取りやすいチームにしようと考えて動いています。そこがうまく機能するといいですね」

冬の一時期、4年生6名のうち、5名がBリーグの特別指定選手として各地に散ったが、残った松本(#31)がチームをまとめた。「彼が下級生にはたらきかけ、自分たちがいない間も意識高く練習をやってくれていた。そこには本当に感謝しているし、合流してから何も心配することはなかった」というが、伊藤だけではなく、4年生たち一人一人がチームリーダーとしての自覚を持って動いていることが伺える。

「4年生たちは誰もがチームを引っ張れるメンバーです。誰か一人が絶対的なリーダーシップを取るというのではなく、試合に出ているときはもちろん、ベンチにいるときもそれぞれが意識して仕事をしています。気づいた人が率先して声を出し、発信していけたら今年の東海もいいチームになるはず。そうしたことに4年全員で取り組んでいます」

緒戦は下級生たちにも長いプレータイムが与えられる中、コート上で声をかけていた。

そこにはもちろん、怪我でリハビリ中の大倉も含まれる。

「颯太はコートの中にはいないけど、コート外でチームを支えてくれています。戦術面、メンタル面等、練習のときから全員に声をかけ、士気が下がらないようにとはたらいてくれているんです。みんなも彼がいない分、彼の分もできたらと思っているし、いなくてもちゃんとできるということを表現したい。そして、その上で彼の居場所だけはきちんと作っておきたいと考えているんです」

これまでフロントでチームを引っ張ってきた大倉は、自身のリハビリに取り組みながら後見としてチームを支え、仲間はそれに応えようとしている。当初の予定では復帰は来年と発表されており、今シーズン、東海大の11番のユニフォームをコートで見られる可能性は低い。しかし4年生全員の気持ちは、コートの上で確かに息づいている。それもまた、大学バスケの一面として見せられるものだろう。

トーナメントは続くが、「どことやるかではなく、自分たちのやるべきことをしっかりやるだけ。一戦一戦、自分たちにフォーカスしたい」という伊藤。やってきたことを出せば、おのずと結果はついてくるはず。今季初の栄冠に向け、ただ己を見つめて進んでいくだけだ。

個人としてコンディションはまずまずといい、ここからの活躍を期待したい。

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