【2025全関・最終日】次世代エースが魅せた京産大がまずは1冠目

どのチームも、完成度はまだまだなだけに、アップセットも見られる春シーズン。関西の春の王者を決める全関も、最終日までを戦うベスト8以上には下部リーグから勝ち上がったチームも登場し、恒例の東淀川会場を沸かせた。一方で、決勝に進んだのは京都産業大と天理大という、関西を代表する実力校となり、その一挙手一投足に観衆が注目する最終日となった。

近畿大が3位確保も、個性ある顔ぶれとなったベスト8勢

関西上位ではお馴染みのチームもあれば、2部から躍進した新鋭校も居並ぶ。ベスト8以上の顔ぶれは多彩となった。2部からこの一角に食い込んだのは、最終的に4位の龍谷大と8位の阪南大。いずれも昨年は2部を戦ったが、まず龍谷大は2年生ながら#15髙橋のフロアリーダーぶりが光った。連戦で、最終版はさすがに息切れの印象もあったが、果敢に攻め込む姿勢は秋に向けた光明を抱かせるには十分の戦いだったと言える。かつて大学界では大東文化大で個性派集団をまとめ上げ、主にはbjリーグで活躍ののちBリーグの大阪でコーチを務めた竹野明倫が監督を務める阪南大はこの先が楽しみな存在。最後の3日間は3連敗となったが、同じように1部昇格に向けて強化に余念がない勢力を抱える2部を勝ち抜き、将来の1部での戦いに向けた足がかりとしたいところだ。

この中で3位となったのが近畿大だ。かつては留学生を擁して関西を席巻したが、現在は留学生のいないチーム構成。昨年はリーグ戦でも下位に沈んだが、選手の能力値が落ち込んだわけではなく、現在のメンバー構成でも上位争いができることを示した。エースのジャンバルボが語るように、勢いに乗れば手のつけられないチームなだけに、リーグでもきっかけを掴めば面白い存在になりそうだ。

太田のシュート力が光った京産大が実力を示す

決勝は京都産業大と天理大による、昨年と同じ顔合わせとなった。立ち上がりは天理大が主導権を握った。#77ソロモン(1年・C・京都精華学園)、#33星野(3年・SF)などでバランスよく得点。京産大はやや出遅れ、#10オーギルが2ファウルで下げざるを得ない。#12太田(2年・SG)が技ありの得点を続けてビハインドながら大きく離されずに我慢強く追走。すると2Qから一気に形成が変わる。#29河本(4年・PG)の3Pで追いつくと、#12大田の得点も続いて逆転。天理大はこの時間帯沈黙を強いられ、2Q開始4分間無得点に。京産大はこの時間帯に#12太田が出色のパフォーマンス。3連続3Pでチームを大きく盛り上げ、ルーキー#77ソロモンもオーギル不在を埋め奮闘を見せる。一気に11点リードとして試合を折り返した。

後半、なんとか追い上げたい天理大だが立ち上がりはまたも京産大。#37松本(1年・SF・阪南大高)のシュートが決め、これに続いて好調#12太田も落とさない。#0中村(4年・PG)が執念の得点を重ねて天理大も追い縋るが、2Qに背負った二桁点差がどうにも埋まらない。このアドバンテージで、京産大は慌てずに試合を運び、そのままゲームセット。83-69として、関西最初のタイトルを手にした。

【INTERVIEW】「エースの自覚を持ってインカレでも関東を倒したい」#12太田凛(京都産業大・2年・SG)

ーおめでとうございます。一試合を通じてシュートが好調でしたね。

「前半からシュートが入っていたので『今日はシュート入る日やな』と思って、一試合続けた感じです」

ー2Qになってから目立った印象でしたが、2Qにかけてやり方を変えた部分があったのでしょうか?

「昨日の試合の途中で足を痛めていて、アップの時も痛みはあったので1Qは様子見しながらやっていた感じです。実際にやってみて、アドレナリンが出てきて問題ないなと思ったので、積極的に打つようにしていきました。ディフェンス部分は最初からコーチにも言われていて、それもあの時間帯は特にうまくいったのかなという感じです。自分の得点もあったので点差が開きました」

ーオーギル選手のファウルトラブルがありましたが、チームで動揺などはありませんでしたか?

「オーギルさんが一旦抜けましたけど、でも京産は全員で戦うチームなので、そこは何か問題になることはなかったです」

ー今大会で目標にしていたことは?

「ディフェンスを意識高くやって、強度高くやること。それで優勝することでした」

ーその部分は自己採点するとどのくらいになりますか?

「この3試合は良かったと思いますけど、最初の2試合が良くなかったですね。70点くらいかな」

ーこの大会で課題と収穫はありましたか?

「リバウンド面についてはセンターのオーギルさん任せになってしまっているので、フォワード陣でもっと取らないといけないという課題は感じました。ボールマンへのプレッシャーの部分には拘っていて、そこは効いている実感があったので、その点は収穫だと思います」

ーこのシーズンの目標はなんですか?

「今年は自分がエースだと言われていて、その自覚を持って、西日本もリーグも優勝して、インカレでも関東を倒していきたいと思っています」

ー宇都宮選手が卒業したことで、これまでと違いは感じますか?

「前までは陸さんがいることで、単に陸さんから回してもらったら打っていく感じでしたけど、ハンドラーがいなくて、自分がそれを務めることもあります。周りへのアシストというのは意識があります。1番ポジションは高校でも経験しているんですけど、ボールを運んできて一対一をするだけだったので、ちゃんとした1番ポジションは初めてです。難しい部分はあって、関東遠征を通じて慣れてきたんですけど、まだまだ成長しないといけないと思っています」

ー1番ポジションの難しさは、どのような部分で感じますか。

「オフェンスよりもディフェンスで1番ポジション相手に守るという部分が難しくて。特にフィジカル面でそういう課題を感じることは多いですね」

ー西日本インカレと、その先に向けて。

「これまでのように、ますディフェンスで強度高く守って。今日のように調子が良ければ積極的に狙っていって、勝っていきたいです」

【INTERVIEW】#10ヒシクバータル・オーギル(京都産業大・4年・C)

ー優勝、そしてMVPおめでとうございます。

「オフシーズンにたくさん自主練したことが、こういう結果につながったのかなと思います。優勝できたのも、チーム一丸でやっていった結果だと思いますね」

ー前半は苦しい内容だったと思います。

「そうですね。いきなり1Qで2個吹かれて。でもそれで、逆に自分から泥臭くやっていこうと思いました」

ー今季の目標を教えてください。

「今年はインカレはベスト4を目指していて、同時に打倒関東ですね。それを目標にやっています」

ーオーギル選手自身は、今大会で課題と収穫はどのようなことだと感じましたか。

「課題としては、セカンドチャンスに繋げられなかった場面があったので、チームとして改めて意識しなきゃいけないポイントだと思う。逆に良かった点としては、個人個人のディフェンスです。ここが良かったことが、最終的な優勝につながったんだと思っています」

ー西日本インカレに向けてはどのような準備をしていきますか。

「西日本ではタフなブロックに入ったんですけど、全部倒して優勝したいです。そこに向けて、練習でも味方同士でバチバチやり合って、少しでもレベルアップしながら準備したいです」

【INTERVIEW】「天理のコンセプトを意識し続ける」#20駒田彬人(天理大・4年・主将・PG)

ー決勝を終えて、一番の感想はなんでしょうか。

「優勝だけを目指してやってきた。それだけに悔しいの一言です」

ー敗因についてはどのように捉えていますか?

「相手が少しやり方を変えてきた部分もあった中で、自分達がそれにアジャストできずに、後半ズルズルした流れになってしまった。自分達のアジャスト力の低さが響いたと思います」

ー2Qに離されたことが響きました。あの時間帯は何がいけなかったのでしょうか。

「1Qは、自分達でも試合の入り方を大事にしようと言っていて、ディフェンスと走ることで流れを作れたと思うんですけど、相手が攻め方を変えてきた時にアジャストできずに離されてしまいました。点が止まった時に、各個人が自分がどうにかしようという意識が強くなって、自分達が大切にしているチームオフェンスをする意識を見失ってしまって、足もボールも止まってしまったことが原因かと思います」

ーオルワペルミ選手は目立ちましたが、まだ彼を100パーセント生かし切れてはいないようにも映りました。

「そうですね。まだチームに来て2ヶ月だけですし、まだフィットしきれていない部分もあるし、自分達も生かしきれていないと感じています。ここは仕方ない部分でもありますし、最終目標はリーグとインカレなので、そこに向けて合わせていきたいです」

ー大会を終えて、反省点はありますか。

「全員が目の前の相手を倒す闘争心というか、そういう気持ちの部分は見せていかないとダメだと思います。今日もパスに逃げている場面もありました。個人個人がそういう部分を剥き出しにしつつ、チームオフェンスをやっていくのが大事だと思います」

ー今季の目標は。

「最終的にはインカレで優勝ですけど、最低限関西のチームが最近越えられていないベスト8は取りたいと思います。本当は関西で全部勝つという意識もあって、そこについては引きずることなくリーグとインカレで目標達成できるように頑張りたいです」

ー天理大のキャプテンはいかがですか。

「伝統もあるので、責任感は感じます。一番怒られる立場でもあるので。正直自分のプレーにフォーカスしていく余裕もないんですけど、天理のコンセプトであるチームでやっていくことを意識し続けていきたいです。個人的には常に喋り続けてコートに立つことをテーマにしています」

【COMMENT】「自分が1年生の時に見た景色を後輩にも見せたい」#49ジャンバルボ海斗(近畿大・4年・PF)

「学院戦は全員でハードワークで勝ち切って、天理には負けてしまったが、勢いを持ったまま最後に勝てたので嬉しい。この最後の3日間はディフェンスが良かったと思う。オフェンスはダメな時間帯もあったが、ディフェンスでずっと耐えられていたので、自分達が乗ってきた時に点数に表れて勝利につながったと思っている。

自分はプロを目指していて、これまで外のシュートはあまり打ってきていたなかったが、外も意識している。昨日は入らなかったが、入るまで打つ姿勢が重要だと思うので、それが今日は結果になったように感じる。留学生とマッチアップもあるが、中も外もできるのが自分の強み。ドライブや外目のシュートも織り交ぜながら対峙している。

自分が一年生の時は関西で、それも日本人だけで優勝できたが、その後はインカレにも出られていないし、全関でもベスト8に入れていなかった。リーグ戦は優勝を目指して、自分が1年生の時に見た景色を後輩にも見せてあげたい。今までは先輩に頼ることもあったが、今は自分がファーストオプションだと思って決め切る意識でこれからも頑張っていきたい」

【COMMENT】「点差がどうなってもやり切ることは改めて追求する」#15髙橋彩仁(龍谷大・2年・PG)

「練習試合で一度関西大学さんに負けてしまっていて、順当ならベスト8決めで対戦できるということで、関西大学にリベンジするというのを目標にしていた。具体的にベスト8に入るとか、そういう数字の目標を立てていたわけではなかった。関西大学には3Q時点で離されてしまったのだが、最後まで諦めない姿勢を持っていたことが勝利につながったと思っている。

個人的には決め切るべきシュートを決められず、チームを勝たせることができなかったが、龍谷の持ち味であるディフェンスから走るという部分は体現できた試合も多かったと思っている。ただ、個人的にトータルで振り返ると、悔しい気持ちの方が強い。

チームとしてはインカレ出場が目標。上位チームはフィジカルも強いので、フィジカルをもっと強くすることとディフェンスでよりハードワークするということに力を入れている。今日に関しては最後にガス欠してしまい、気持ち的にも最後は落ち込んでのプレーとなってしまった。点差がどうなってもやり切ることは改めて追求していきたい」

【COMMENT】「もう一度強い大阪学院を取り戻す」#14植田碧羽(大阪学院大・4年・主将・PG)

「良い形で終われたのは良かったが、目標の優勝に届かなかったのは悔いが残る。準決勝の近大戦は個で負けて、ボールへの執着心も相手の方が強かった。自分達のやりたいことができず、相手に守られると外に逃げてしまって、相手の勝ちたい状態のまま勝たせてしまったのが反省点。

中と外のバランスが良いので、中で吉田と白石が攻めて、相手がケアしたところにキックアウトして外のシュートというのもあるが、一番はディフェンスからの速攻というのを今年もチームのスタイルとしてやっている。ピックアンドロールの仕掛け方で去年と変えている部分があるが特には無い。4回生はラストイヤーなので想いも強いし、その分練習でのコミュニケーションも増えたと思う。あとはここに来て2回生の成長が感じられるので、秋に向けて見どころになると思う。

優勝したい気持ちは変わらないが、燃える気持ちもあれば少し寂しい部分もある。『もう4回生か』という感じ。インカレのメインコートを目指して、もう一度強い大阪学院を取り戻す意気込みでやっている」

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