準々決勝の4試合は、いずれも締まった好勝負が続いた。準決勝の組み合わせは日本大VS日本体育大、東海大VS筑波大。白鴎大・専修大・大東文化大・拓殖大は順位決定戦へと回る。
専修大との熾烈な制空権争いに日本体育大が勝利
大学界屈指の高さを誇る専修大と、3枚の留学生インサイドを擁する日本体育大の戦いは、40分を通して見逃せない場面が続いた。試合開始から主導権を巡って熾烈なリバウンド争いが続く中、#23キング(4年・PG)のドライブなども出た専修大がリードして試合が進む格好になった。日本体育大も持ち味の速攻を出して集中はしている。日本体育大は2Q、開始3分で#35ムトンボ(1年・C・東山)を投入。するとすぐさまダンクやオフェンスリバウンドで存在感を発揮。専修大も一時下げていた#13スティーブ(2年・C)を入れて対応し、#1山本(4年・SG)の連続スリーポイントなどがあって32-39として前半を終えた。
3Q、日本体育大はスリーポイント、インサイドと内外で得点し、#28井手(4年・PG)もスリーポイント、ドライブで奮闘するが、専修大も入れられれば返してリードを守る。終盤は#0ケイタ(3年・C)の速攻、#28野崎(4年・SG)がブザービーターでスリーポイントを沈め、49-58と9点リードで4Qへ。日本体育大は4Qも切れずにアタックが続き、#31青木(3年・SF)のスリーがチームを乗せる。一方の専修大はインサイドの高さを気にしてか、次第に足が止まって持ち味を出せなくなっていく。ここから光ったのが日本体育大#1古橋(3年・SF)。リバウンドを押さえてからの速攻、スティールで3連続得点につなげ、残り3分で逆転に成功する。専修大も#23キングのドライブ、#13スティーブの得点で再逆転し、一進一退に。残り1分、#28井手のフリースローで再び日本体育大の1点リードから、#1古橋の速攻が出ると67-64。残り40秒あまり、互いの得点は決まらず日本体育大が逆転で大きな勝利を収めた。
東海大#15島谷のスリーが大東文化大の追撃を断ち切る
第2試合、大東文化大と東海大の戦いは、最終盤の大東文化大の追い上げを東海大が振り切った。1Qは大東文化大が1点のリード。#12中村(3年・PG)のシュートがよく入った。一方の東海大も明星大戦で爆発した#16西田公陽(2年・SG)の2本のスリーがチームを盛り上げる。2Qも競り合うが、上からプレスを仕掛けた東海大が流れを掴み、24-34とリードして前半終了。
3Q、#23佐土原(4年・PF)のスリーポイント、バスケットカウント等が決まり一時15点リードの東海大に対し、大東文化大はフリースローを得て粘っていく。しかし点差は大きく縮まらず40-50で4Qに突入。するとここから大東文化大必死の追い上げが展開される。#7高島(3年・SG)、#3星野のスリーポイントが続き、#12中村も連続得点。#34バトゥマニ(2年・C)もファウルが続くがゴール下で粘ると、残り31.6秒で64-65の1点差。残り時間、なんとか守って攻撃につなげたい大東文化大に痛い1本をお見舞いしたのは、#15島谷(3年・PG)。残り15.9秒でスリーポイントが決まり64-68の4点差にすると、最後は#5河村(2年・PG)がダメ押しのシュートを決め、64-71で東海大が逃げ切った。
リードする筑波大に対し拓殖大は最後まで粘る
第3試合は筑波大が終始リードするも、最後は拓殖大も意地を見せた。開始早々#85藤村(3年・C)が2ファウルとなった筑波大だが、速攻が出始めるとリードを得た。拓殖大は点が伸びず1Qを9点に終わってしまう。筑波大はインサイドで主力を欠く分、#23半澤(4年・SG)・#13二上(4年・SG)がリバウンドにこの日もよく絡んだ。拓殖大は得点差が詰まらない中で終盤に#0神田(2年・PF)の速攻や3Pをはじめ、全員でアウトサイドやアタックを重ねるが、筑波大は#7浅井(3年・PF)、#11横地などの3Pが続いて、62-77で試合終了。
日本大が速いトランジションで白鴎大を置き去る
昨年とはスタメンがガラリと入れ替わった日本大は、白鴎大相手に目の覚めるような走りで大量リードを奪う展開を見せた。1Qこそ互角の15 -15としたが、白鴎大はインサイドに入れずスリーポイントを打つ形。日本大は#12コンゴロー(1年・C・報徳学園)がゴール下で存在感を発揮し、#3米須(1年・PG・東山)がパスを前に出して、#6野口(2年・SG)、#22飯尾(3年・PG)といったウイング陣が走っていくと内外からバランスよく得点した。2Qに入っても日本大は#22飯尾(3年・PG)を筆頭に走りが際立ち、点差をつけていく。白鴎大は#45ドラマネ(2年・C)のアリウープダンクや#2脇(2年・F)のドライブなども出るが、得点が伸びずに29-42で前半終了。3Qもペースは日本大。#15鴇田(3年・SG)のスティールなど、隙を突いては得点を重ね、2Qの27点につづき、3Qも26点と大量加点。苦しい白鴎大は4Qに入りプレスで粘るが届かず69-86。日本大が2010年以来のベスト4進出を果たした。
【INTERVIEW】「持ち味である走りを出すだけ」#1古橋正義(日本体育大・3年・SF)
前半から速攻も出ていたが、終盤の緊迫した競り合いの中で出た走りは大きかった。ムトンボ、クリスティンといったセンターのみならず、青木や小川、井手までもリバウンドに絡んだ結果ともいえる。全体サイズでは上回る専修大に対し、全員で挑んで持ち味を出せたからこその大きな1勝となった。
─ 見事な勝利でした。
山場と思っていたところを抜けられました。明日も勝てるように今日帰って、対策して明日に臨みたいと思います。前半は固くてブレイクでもパスミスなどが出ました。結局最後の最後でブレイクを出すことができて勝てたので、そこが良かったと思います。
─ その大事なブレイクを出したのが古橋選手ですが、常に意識していますか。
自分の一番の持ち味は走ることなので、それは毎試合毎試合意識してやっています。
─ ガードとセンターに注目が集まりがちですが、今大会は青木選手(#31)、古橋選手の両ウイングにかなり頑張りも見えます。
ガード陣がボールを早く持ってきてくれるので、フォワード陣も走らないと自分たちのやりたいバスケットになりません。だからフォワードはとにかく一生懸命走るだけです。
─ 青木選手が勝利したあと号泣していましたね。同じ3年の仲間ですが。
そうですね。いろいろ思うことはあったと思うんです。自分は泣くほどではないですが(笑)、勝ててよかったです。
─ 2ヶ月前の日筑戦ではその走りが出なかったり、ディフェンスがうまくいかなかったりということがありました。ここまでの取り組みは。
あのときは試合慣れというか、久しぶりの試合ということで固くなってしまっていました。いつも練習でやっていることが試合で出せませんでした。今大会に挑む前に自分たちが練習でやったことをしっかり出そうと、皆で話し合いました。それを発揮できています。
─ 次の試合に向けては。 どんな相手でも自分たちのバスケットをやるだけです。それで勝てればいいと思います。
【INTERVIEW】「空いたら打とうと思っていた」心構えを結果につなげて#15島谷 怜(東海大・3年・PG)
残り時間わずかとなった最終盤、島谷のスリーポイントが勝利を引き寄せた。ポイントガードとしての能力が高い選手だが、得意というドライブも前半から決め、スコアリングで貢献。得点力で見せた試合となった。
─ 試合を振り返っていかがですか。
前半いい流れできていて、後半相手にやりたいようにさせてしまって、難しい展開となりました。そこでしっかり自分たちで声をかけあって、自分たちのプレーが最後までできたことが勝利につながったと思います。
─ 最後の島谷選手のスリーポイントが大きかったと思いますが。
あれはしっかり勇樹(#5河村)がクリエイトしてくれて、自分が空いている状況だったので思い切って打ちました。
─ 緒戦では落ちているシュートもありましたが、今日は調子が良かったのでしょうか。
調子自体は緒戦から変わらないと思いますが、空いていたら打とうというのはいつも考えていることだったので、それがいい方向に出たんだと思います。
─ 前半からもドライブが出ていましたし、今日は良かったのでは。
スカウティングをして、自分のドライブは通用すると思っていたので、それも自分の持ち味なので思い切ってプレーすることを試合前から考えて、試合に入りました。
─ 本来ポイントガードですが、ツーガードの場面ではどのようなことを考えているのでしょうか。
今日は松崎(#24)も怪我で出なかったので、ツーガードで出るというのも想定しながら準備していました。ツーガードの場合、自分がクリエイトすることもあるし、勇樹がしっかりやってくれるパターンもあります。そこで柔軟性がチームに出ると思うので、ツーガードによるいいプレーってのもどんどん出ると思います。オフェンスでは自分はドライブが得意なので、そこからクリエイトして周りに打たせるのが持ち味です。それが他の東海のガードとは違う特色だと感じています。
─ ガードは多いので出番を得るのは大変だと思いますが、プレータイムを得るにはどのようなことが大事でしょうか。
試合にパッと出されたときにもそれがすぐできるようにという、練習中からどうやって自分のプレーを出すかを考えていくことですね。
─ 次戦に向けて。
次の相手がどこになるかはわかりませんが、自分たちのバスケットを見失わないように。今日みたいに、粘って粘って勝てるように次も準備していきたいと思います。