【2022リーグ関東1部】連敗もある中で“試合の楽しさ”を忘れず8位に食い込んだ日本体育大

2022関東リーグ

一度は下位に沈むも粘って最後は上昇傾向で8位終了

14勝12敗で8位となった日本体育大。リーグ戦は幸先よく滑り出したが、8月27日の第4戦の白鷗大との試合で#35ムトンボ(2年・C)が負傷して長期欠場に入り、そこからは苦戦が続いて入れ替え戦にかかる順位まで下降。しかし、9月28日の第13戦に彼が復帰を果たすと持ち直し、最後は8位にまで順位を戻して大会を終えた。2巡目では専修大・東海大・日本大・大東文化大を倒すなど、今回実力差がほぼないとされるトップ5に遜色ないことを証明。惜しくもインカレでは関東7位までに与えられるシードからは漏れたが、上位進出の可能性を秘めてリーグ戦を終えた。

苦しい中でもリーダーシップを発揮していたのが、#1古橋(4年・主将・SF)と#31青木(4年・SG)、2人の最上級生だ。青木は言う。

「負けが結構続いていて、大会結果としては良い結果は出せなかったし、チームの状況としてもいい雰囲気だとはいえなかったけれど、その中で正義(#1古橋)と、ベンチには入っていませんが、同じ4年生でAチームの#7原(4年・SF)と、なんとかしないと、と考えていました。みんなが沈んでいる状態で、自分たち4年も沈んでいては駄目だと思っていたので。結果にはうまく繋げられませんでしたが、我慢して我慢して、という方向に持っていくようにしていました」(青木)

青木はベンチからのスタートだったが、コートに出れば声を張り上げる場面が何度となく見られた。「後から出て行ったときに、声を出して引っ張っていってあげなくては」との気持ちでチームを鼓舞した。そこには、4年生の責任もあるし、負けてはいられないという想いもある。

コートでは#31青木の大きな声がよく響いた。

「今年は1・2年生がすごくいい結果を関東(関東新人戦優勝)でも、全国(新人インカレ準優勝)でも残してくれました。自分は教育実習に行っている時でしたが、そういう下級生の姿を見て、おめでとうという気持ちとは裏腹に、4年生として少し焦る気持ちも出てきていました。去年はスタートで出させてもらっていたんですが、今年は1、2年生が結果を出したので、秀馬(#26西部)や熙(#21月岡)といった1年生がスタートで出て、引っ張ってくれています。そこに自分が続いていくだけじゃダメで、むしろ引っ張る存在になっていないといけないと思うことが、今の行動につながっています」(青木)

そうした働きが実ったときの日本体育大は強かった。個の奮闘ではなく、それぞれが噛み合ったときには勢いも何倍にもなり、2巡目は2位の専修大・3位の東海大・4位の大東文化大、5位の日本大を破った。

得点は#35ムトンボとともに#23小川が牽引。怪我での欠場もありながら、長いリーグ戦をプレー面で引っ張った。接戦も多く経験し、「厳しいマークもあるし、接戦で勝ちきれないこともあるけど、インカレにつながる経験ができているのはプラス。これを活かしてインカレでチームを勝たせたい」と意気込む。

藤田監督に言われた「楽しもう」の一言で、チームが持ち直す

スタメンとして出場する主将の#1古橋は、エースガードの#23小川(3年・PG)とともに、長期間のプレータイムでチームを支えた。ただ、春から夏にかけては十分準備ができている状態ではなかった。

「春は新型コロナウイルスのせいで何度も練習が止まるなど、チームを固める大事な時期に練習をしきれないということが続きました。体調を崩した選手が復調するまで、安定しなかった面もあります。リーグ戦の前にもやはり同じような状況が頻発して、練習をやりだしたら止まる、ということが続いてしまって、気持ちが落ちることもあったんです」(古橋)

#1古橋は、終盤戦こそ欠場が続いたが、スタメンとしてチームを安定させる重要な存在だった。「自分は上手くない。コミュニケーションを取って背中を見せて引っ張っていきたい」と語っていた。

ただ、それも藤田監督の一言でチームのモチベーションも保たれたという。

「楽しんで試合をやろうと言われました。26試合もできるのは嬉しいことだし楽しいことだから、もっとみんなで楽しんでいこうと。そのおかげで切り替えられました。それに、昨年はメンバーが少数に限られ、固定されていましたが、今年は多くの選手を使う方針です。試合に出られる可能性が高くなったことで、みんなの気持ちも上がっています。実際、試合に出ることで試合慣れしてきていて、頼もしくなってきました。スタメンの体力も保たれますし、自分の調子が悪いときに控えの選手たちが決めてくれたりして、このリーグ戦を通してチーム力を上げていきたいと思っています」(古橋)

この楽しむ、ということは、連敗中は「正直難しかった」青木はいう。しかしベンチの賑やかさという点でいえば、日本体育大ほどベンチにいる面々が楽しそうなチームもなかったかもしれない。控えのインサイドである#11浅原(2年・PF)は、試合中常にコートに向かって声を出していたし、相手のフリースローになれば、ベンチのメンバーたちがオーバーに身体を動かし、全力で相手シューターにアピール。見ている方がつい笑顔になってしまう、微笑まさしさを見せてチームは盛り上がった。

盛り上がるベンチも日本体育大の見どころ。

そんなチームの雰囲気について、青木「正統派とは違うかもだけど」といいながら、それがらしさだと説明してくれた。

「日本体育大はきちんとやることをやって、きれいにバスケをするというチームではないと思います。それよりはイケイケの雰囲気、ノリノリのプレーじゃないといいところが出ないというか、きれいにやろうとしすぎると、結果につながっていかないようなところがあります。イケイケで良い時間帯を作り、悪いときもそういう、うちらしいプレーで流れを断ち切ることを続けていくことが大切だと思います」(青木)

「リーグ戦で発揮した自分たちのこうしたプレーを継続し、勝ち負け以上にスタイルを貫いて、うまくインカレにつなげたい」という青木

#35ムトンボと#23小川、また勢いのある1年生たちのいるチームは乗ったら確かに強い。山あり谷ありの中、乗り越えて育ててきたチーム力を、4年生がサポートし、最後にどんな戦いを見せてくれるのかが楽しみだ。

下級生の台頭もあった今年、まだ伸びしろが見えるチームだ。
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