待たれたビッグマンが、ようやく戻ってきた。
200cmのパワーフォワード、#2木林(3年・PF)が約10ヶ月ぶりに筑波大の公式戦に姿を現し、チームに力を与えている。
昨年、春〜夏はU19(U19ワールドカップ・2021.7/3〜11ラトビア開催)の代表として活動していたため、7月のトーナメントには不出場。その後新人戦が延期になり、なかなか筑波大でプレーする機会がなかった。
ようやく10月にスタートしたリーグ戦では、1試合約15分程度の出場で平均9.5点を記録。得点源の一人として頼もしい活躍を見せていた。しかし、6試合を消化した後、アクシデントが木林を襲う。練習中の膝の負傷により、個人としてのシーズンはそこで終了となってしまったのだ。
「怪我をしたのは練習中です。なんとも言えないですね…。大きい怪我をこれまでしたことがなく、長期間バスケができないと言われて、頭が真っ白になってしまいました。辛かったし、苦しかったですね」
予期せぬ長期間の離脱。プレイヤーとしての空白期間は、トレーニングとリハビリに当てられた。途中からは同様に大学のオフ帰還にやはり膝の怪我をしてしまった#11横地(3年・SF)も加わり、ともにトレーニングに励んできた。
「最初はずっとウエイトに取り組んでいました。 筋力が足りないのが元々課題だったので、それをつけるための時間になりましたね。トータル4キロほど増やしています。また、復帰が近くなってからは、動きの部分でリハビリを頑張ってきました。今年のゴールデンウイークぐらいから走り出して、アジリティ系(俊敏性や機動性等)のトレーニングに励んで、このリーグ戦に合わせて戻ってきた感じです」
リハビリをこなし、夏場の練習試合で身体を慣らしてリーグ戦に挑んでいるのが現在の状況だ。まだまだ全開とはいえないが、リーグ第1戦からの動きを見る限り、以前の動きと遜色はない。第4節終了時点では1試合平均約22分の出場で11.25の得点を記録。気の抜けない対戦相手が続き、想定よりもプレータイムは伸びているが、チームにとってかけがえのない貢献をしている。
今季の筑波大は、ゴール下で身体を張ってきた井上(現B1渋谷)という大黒柱が抜け、センター不在が響いていた。平均的に大きいが、純粋なセンタープレイヤー不在で留学生のいるチームに対峙するのは、世代別代表の多い筑波大といえども簡単ではない。200cmのサイズを活かし、内外のプレーができる木林の復帰はチームにとっても、待ち望まれていたに違いない。
「井上さんが抜けてしまったのは大きいです。チームとして留学生相手のリバウンドは課題なのは確か。自分がどこまで留学生を止められるかはわかりません。でも昨年は貢献できず、インカレは特に悔しかった。今年はそんな思いはしたくありません。インサイドのポジションは本当に大事だと思っています」
ただし、ゴール下だけが木林の戦場ではない。
「自分は外も中もやれるのが特徴です。日本人、留学生と、マッチアップ相手に適応して、自分の得意なプレーを 臨機応変に変えていくことができます。リーグ戦でそれをしっかり見せていきたいと思います。そして、チームでは一番大きい自分がリバウンドでも頑張るのも、仕事としてあります」
こなさなければならない役割は多いが、木林がゴール下で高さを活かし、また大事なシュートを放つシーンが、このリーグ戦では目立ち、この先の活躍にも期待がかかる。
木林同様、長期間試合を離れていた横地も、間もなく戻ってくると予想されている。チームとしては黒星が先行している序盤であり、実力が拮抗している今年の1部リーグは、簡単には勝てない状況になっている。そんな中でどのような戦いを見せるのか、この先の木林、そして筑波大に注目だ。