強固なディフェンスで日本大の持ち味を封じた東海大が逆転勝利
神奈川大、中央大という粘るチームを下した東海大は、日本体育大、専修大のいる激戦ブロックを勝ち上がった日本大と対戦。
1Qは連続でファウルを犯した東海大はやや出遅れ、日本大は#12コンゴロー(2年・C)や#22飯尾(4年・SG)のドライブ、#6野口(3年・SG)のスリーポイントで流れを握る。東海大は#0黒川(3年・PG)や#18西田陽成(2年・SF)といったベンチメンバーが速攻やシュートで貢献し、15-22。2Qになると東海大は#4小玉(4年・PF)、#18西田陽成のスリーポイントで追いつく。日本大は#12コンゴローがブロックの着地で足を痛めるが、下がることは拒否。その後もフリースロー獲得やシュートでタフにプレーしていく。日本大は#1佐藤(4年・PF)のシュートで7点のリードとなるが、東海大は終盤に#13金近(2年・SF)のスリーポイントや#3ハーパー(2年・PG)のディフェンスからの速攻で30-32と追い上げて前半終了。
3Q、立ち上がりに#0黒川のアシストから#3ハーパーが得点すると東海大が追いついた。日本大は#1佐藤のスリーポイントですぐさま逆転。#15鴇田(4年・SG)や#12コンゴローもそこに続く。しかしこの日は東海大のディフェンスの圧力が高く、シュートを打たされる形が続き、持ち味の足も出せない。一方の東海大はリバウンドを押さえて速攻を出していく。日本大はミスも響き、残り約2分で逆転されると47-45で3Q終了。
4Q、#16西田公陽(3年・SG)のスリーポイントが決まると、東海大は5点のリード。日本大はなかなか得点チャンスがない中、粘ってついていく。残り5分、日本大は#22飯尾の得点で1点差に迫り、ディフェンスから何度も攻撃に転じるものの、ファウルなど我慢が続く。残り約2分、日本大は#15鴇田のフリースローでついに同点。しかし次のオフェンスでこの試合の鍵となる#13金近がスリーポイントを決めて東海大が逃げる。得点につなげられない日本大に対し、東海大はタップや速攻を出すことに成功し、残り時間で一気に逃げ切って62-56。3年連続決勝に駒を進めた。
東海大は「誰が出てきても変わらない」チームをここまで作り上げてきたが、入れ替わり立ち替わりコートに立った選手が力を発揮した。ディフェンスの圧力と、シュートの決定力でもこの日は日本大を上回った。
日本大は前日の専修大戦とは異なるタイプの、機動力の高い東海大のスモールラインナップに苦しんだ。ディフェンスに張り付かれてインサイドへボールが入りにくく、また、激しいプレッシャーの中で打たされるシュートが落ち、リバウンドを押さえられて走られた。
今大会最大の激戦区を、ようやく“らしさ”を発揮して勝ち上がった日本大。日本体育大のムトンボや専修大のクベマなど、関東トップの留学生ライバルたちを倒してきた#12コンゴローが肩を落としたが、大東文化大の#34クリバリ、#39アブドゥレイと対決する3位決定戦も踏ん張れるか。
「我慢を続けて最後の5分、シーガルスタイムまで我慢できた」陸川 章監督(東海大)
「日大さんは本当に攻撃力、高さがあって、我々がどう戦うかというと、やはりディフェンス。大きさがなくてもみんなでカバーをし、みんなでリバウンドをキープして走ろうと。本当にみんなで我慢強く戦えて、勝利をつかめて良かったです。
1Qはリードされましたが、お互いエネルギーがある時間帯。日大さんはやはりエネルギーがすごく高かった。でも我々は40分戦って、最後の5分、そこをシーガルスタイムと呼んでいるんですが。焦っちゃダメだよ。いろんなことがあってもずっとやり続けようとして、その時間帯に我慢が実ったゲームだと思います。
シュートは、1Qは決められましたが、距離とかもそうですが、あれはタフショットなんです。ロングリバウンドをみんなで取りに行って、それが良かったと思います。終盤の金近(#13)のスリーポイントも、そこに至る一連のプレーがあったんですが、アシスタントコーチが彼は入る選手だからと推してくれて、タイムアウトの後に思い切って打たせました。それが大きかったですね。
去年インカレの決勝で負けて、キャプテンの松崎(#24)がその悔しさを晴らせるのはインカレの決勝しかないということで、このシーズンに入り、その舞台に立てました。明日最後に最高のゲームをしたいと思います」
「4年生を男にしたい」ただその気持ちでやるのみ/#0黒川虎徹(東海大・3年・PG)
今大会絶好調。ベンチスタートとなるが、初戦では陸川監督が「虎徹がMVP」というほど、得点、アシストで目立つ働きをしている。しかし頭の中にあるのは、個人ではなくチームのこと。そして4年生への思いのみだ。
「裕樹さん(#24松崎)だったり怜さん(#15島谷)だったりが、シーズンの間ずっとチームを引っ張ってくれて、4年生を男にしたいと自分が思ってやっています。自分が0点でも0アシストでも、チームが勝てばいいと思っている中で、今は自分がたまたまシュートに行く機会が多い状況が続いています。でも意識的にはただ『4年生を男にする』という気持ちで望んでいます。今シーズンいろいろ周りから言われたりしましたが、それでもやはり4年生が『自分たちはできる』とずっと言ってくれていました。だから、4年生のためにも後輩たちを引っ張っていかないといけないという気持ちがあります。
ただ、リーグ1巡目はオフェンスにフォーカスしすぎて、東海大のアイデンティティを見失っていました。天皇杯だったりそういうところでもう1回、一から締め直そうと。陸さんや4年生と話して、もう一度ディフェンスにフォーカスし、アイデンティティのディフェンスやルーズボール、リバウンドやっていこうと切り替えられたところで、チームが良くなっていきました。去年は点が取れて、個人で打開できていたので、今シーズンもそういうマインドがどこかにあったと思うんです。春も正直慢心して、勘違いしていました。でもそれで勝てないとわかったので、シフトチェンジして切り替えてやりました。
今年は怜さんや裕樹さんが特別指定に行かずに春はチームに残ってくれたおかげで、チームビルディングも徹底的にできました。全員が同じベクトルを向いてやれたということが、本当に今シーズン大きいと思います。とにかく4年生を男にしたい、それで明日も頑張ります」