勝負どころのスリーポイントを沈めた白鷗大は2年連続決勝の舞台へ
白鷗大と大東文化大、日頃から切磋琢磨してきているチームの戦いは、次第に流れが白鷗大に傾いていった。
両者、手の内は知り尽くしている。1Qからディフェンスの応酬で、点差はつかずに試合が進んだ。互いにやりあう中で最初にやや均衡が崩れたのが2Qの半ば。#2脇(3年・SF)のスリーポイントが決まると#39ミサカボ(4年・PF)のアシストからの#78佐藤(1年・PG・福岡第一)の得点、#2脇のバスケットカウントで点差を広げ、28-23として前半終了。
3Q、白鷗大は#25ジョエル(1年・PF・別府溝部学園)のブロック、ダンクが炸裂。大東文化大は#9田中(1年・PF・中部第一)の2本目のスリーポイントや#34クリバリ(3年・C)、#12中村(4年・PG)のシュートですぐ追いつくが、続くプレーで連続のファウルを吹かれ、再び白鷗大に流れを持っていかれてしまう。白鷗大はジャンパーやダンク、タップなどが次々に決まり3Qは47-39と8点のリード。
4Q、大東文化大のゾーンが効いて、#7高島(4年・SG)のブロックや#34クリバリがダンク、アシストと見せて粘るが、ここから白鷗大がスリーポイントで流れを掴む。今大会2番起用の#24森下(3年・PG)の3本と#2脇の1本が4本連続で決まると、59-46と差を開いた。残り時間で点差を詰める大東文化大は残り1分10秒で#9田中がスリーポイントを沈めて2点差。しかし白鷗大は#0関屋(4年・PG)のドライブで逃げて勝利を決定的にすると、67-61でタイムアップとなった。
勝負どころのスリーポイントが白鷗大に流れを呼んだ。西尾監督は「打ち続けたからこそ」と相手のやり続ける姿勢を称賛。一方の網野監督は、リーグ戦後チームで徹底したスリーポイント練習を展開。リーグ戦は14チーム中スリーポイントランキング最下位だったチームが、スリーポイントを武器にして、2年連続決勝に進出を決めた。
多彩な戦術を持つ東海大に対し「冷静に強く、賢くプレーしたい」網野友雄監督(白鷗大)
「東海は粘りがすごくあるチーム。大きいラインナップ、小さいラインナップ、マンツーマン、ゾーンといろんなことを仕掛けてくると思うので、その時その時にきちっと、正しい選択をしながらエナジーレベルで負けない、ということが大事だと思います。冷静に強く賢くプレーできるようにしていきたいと思います。
リーグ戦のあと、スリーポイント練習はものすごくやりました。今日入ったのはその成果というか、これだけやったんだから大丈夫だよという状態を作ってきました。データから必要なことは見えていました。スリーポイントとフリースローの確率が低く、そこがあと1本、2本入ると、どこのチームにも勝てる可能性が上がります。それで走りの中からスリーポイントを打つという練習をやってきました。目標値をクリアしなかったら何度もやるという練習をしてきて、一番長い時には1時間半それだけで終わってしまったこともありました。だからシンプルに空いたら打つ、外れたら練習する、それだけです。
連覇へのプレッシャーは全然ないですね。今年はどこのチームが勝ってもおかしくないし、リーグ戦の時からそうなので。でも女子も頑張ってくれているので(白鷗女子も決勝進出)、我々も頑張ります」
「応援席で見ていた去年の決勝は嬉しかったけど悔しかった。決勝では思い切りプレーしたい」#24森下瞬真(白鷗大・3年・PG)
#20根本が大会前に怪我をし、今大会は2番ポジションでプレーする。この日、4本のスリーポイントを沈めて16点。今年から主力の一人として試合に出ているが、大学でのキャリアハイになった。ゾーンだったが、ディフェンスで自分のスペースが空けられていたところを見返えそうと、決める気持ちが高まった。
「今日は我慢の時間が長い状態でしたが、自分の仕事は点数を取ることだったので4Qで期待に応えられたので良かったです。ベンチの出ていない4年生の方々からも思い切って打てとずっと言ってもらっていたので、それができました。
スリーポイントはそんなに得意な方じゃなかったんですが、短い期間でシューティングなどをして、自分の問題を克服できてきたので、思いっきり打つことができました。リーグの後、シューティングはいつも以上にやってきました。自分の持ち味はドライブなんですが、スリーを打てるようになったら止めづらい選手になると思ったので。
去年インカレを優勝しましたが、自分はベンチ外で応援席で見ていました。昨年のリーグ戦の時はベンチにいて、ちょこちょこ試合には出してもらったんですが、リーグの最後のほうになるにつれて自分の調子が悪くなってしまって、コンディションも悪くて…。だから優勝は嬉しかったんですが、それよりも悔しさのほうが大きくて。それがあったからこの1年間頑張れました。去年の悔しさがあったからこそ、今があると思います。休んでいたら上に離されるだけだと思ったので、家族にも手伝ってもらって帰省した時も自主練をしていました。そういった人にも恩返しができているんじゃないかなと思います。
去年はやっぱり悔しさの方が大きかったです。明日の決勝は去年の分も思い切りプレーしたいと思います」
「白鷗の時代だと証明したい」リスペクトする相手を乗り越えることこそ戦う意義/#0関屋 心(白鷗大・4年・PG)
「相手をリスペクトしているからこそ、もう東海の時代じゃないぞ、白鷗の時代だぞというところを明日は証明したいです。浮かれているわけじゃないんです。向こうは熱いチームだから、受け身になると絶対やられてしまうので、そういう意識からの気持ちです。
春は決勝で負けてしまいました。あのときは余裕を持っていて、絶対勝てると思っていた。そこがダメだったところです。今は絶対勝てる、という思いはありません。そして、『負けたくない』というのと『勝ちたい』というのは違います。負けたくない、となると受け身になると思うので、あれ以降は『絶対勝つ』と、向かっていく気持ちです。
下級生の頃から網野さんには迷惑をかけてきました。その場の感情で動いてしまって、そこが自分の悪いところなんですが、それをこの大学の4年間で修正をしてきました。まだまだなところもありますが、迷惑をかけた分、しっかり勝ってお返ししたいです」
「決めきれなかったところに大きな差がある」悔しいけれど力負けを自覚/西尾吉弘監督(大東文化大)
「悔しいですね。かなり集中してうちも入れていたんですが、白鷗さんの方が一つも二つも上でした。
10点差がついたところで、マンツーマンでこのまま停滞しても、と思いゾーンを出して賭けました。1-3-1、2-3とチェンジングして、最初はハマっていましたが、森下君(#24)が連続で強い気持ちで決めたなと。素晴らしいシュートだと思います。打ち続けることが大切で、強い気持ちで打ち続けたからこそだと思います。
スカウティングされていたし、うちの癖もつかんだディフェンスをされていました。ルーカス(#9田中)にディフェンスが寄られていましたが、その分他のところで1対1はできていて。ただそれを決めきれませんでした。変なミスはしていない試合なので、あとはそれを決めきれるかどうかだと思います。このレベルの戦いなので。うちにあと1本出ていたら、という感じではありますが、その差が大きい。白鴎はこういう試合でもディフェンスをやり続けるし、ルーズボールも追い続けるチーム。悔しいですが大きな差がそこにはあると思います。
明日まで試合ができることを大事に、最後はしっかり経験と思い出を作りたいと思います」