【2022インカレ・REPORT】東海大が昨年の雪辱を果たして7度目のインカレを制覇【白鷗大VS東海大】(決勝/2022.12.11)

2022インカレ

ディフェンディングチャンピオン白鷗大と、昨年のリベンジに燃える東海大の戦いは、1Qの出来が大きく終盤まで響いた。

固さの出た白鷗大に対し、東海大はテンポよく得点を重ねる

白鷗大は1Qで2点に終わる。ゾーンを主にする東海大に対してディフェンスが割れずに24秒オーバー、また果敢にアタックしてもタフショット気味で、これまでなら入っているシュートもことごとくリングに嫌われ、リバウンドを東海大に拾われた。東海大は#15島谷(4年・PG)の飛び出しが早く、速攻、またドライブがきれいに決まって2-15。2Q、#2脇(3年・SF)のオフェンスリバウンドやドライブでなんとか流れを生み出した白鷗大は、#24森下(3年・PG)のスリー、#25ジョエル(1年・PF)のダンクも飛び出した。東海大はファウルが続くが#0黒川(3年・PG)、#16西田公陽(3年・SG)のスリーポイント、#4小玉(4年・PF)のドライブも決まって再び引き離し、17-27で前半終了。

1Q、#15島谷のアタックが光った。

3Q、東海大は立ち上がりに#13金近(2年・SF)が2本のスリーポイントを含む3連続のアウトサイドを沈める。白鷗大は前半守られてゴールをなかなか割れなかった#25ジョエルのインサイドでようやく加点できるようになっていく。そこに#0関屋(4年・PG)のスリーや#78佐藤(1年・PG)が#3ハーパー(2年・PG)との1対1をかわして決めたタフショットなどで点差を縮め、36-39で3Qを終了した。

4Q終盤の勝負どころで繰り出した初公開のXゾーン

勝負の4Q、白鷗大は開始1分半、#71嘉数(3年・SF)のスリーポイントでついに逆転に成功。東海大はファウルが続いた。しかし#15島谷のスリーポイントですぐリードを取り戻し、#16西田公陽へのパスが通り逃げる。残り約5分、白鷗大は#2脇が難しいドライブを決めて再度2点差に迫る。しかし東海大はゾーンに守りを戻してターンオーバーを誘う。終盤投入したのは昨インカレで使用できずに終わった「Xゾーン」だった。そして#24松崎(4年・F)のスリーポイントが決まると43-49の5点のリードに。白鷗大は#2脇のスリーポイントが出るが、ゾーンに引っかかって#24松崎の速攻につなげられてしまう。これで46-51とした。

エースとして奮闘した#2脇。最後は悔しさでコートに倒れ込んだ。

白鷗大はタイムアウトで修正をはかるが、次のオフェンスでも外を打たされてしまい、反対に東海大#13金近にジャンパーを決められた。しかし残り30秒を切り、白鷗大は#24森下のスリーポイント、#25ジョエルのゴール下でのシュートで51-53と2点差まで食い下がる。残り約10秒となり、守る白鷗大はファウルゲームとなって東海大#7前野(2年・PF)がフリースローを1本決めて51-54。残り8.9から最後のポゼッションは白鷗大。#24森下がボールを持つが、守られたスリーポイントはタフショット。#2脇が飛びつくがタップはならずブザーが鳴り響き、東海大の優勝が決まった。「インカレの借りはインカレで返す」を実現した瞬間だった。

4Qの終盤、陸川監督はコートに向かって大きく手をクロスしてゾーンを指示。Xゾーンはいわゆる2-1-2の形だが、3-2に近く、シューターにも対応できる。即座に陣形を敷きつつ、選手たち自身で柔軟にマンツーマンにもチェンジングしたが、「すぐ対応できるほど賢くなっていた」(陸川監督)という、この1年の成長の賜物だった。

研鑽が実った東海大と力を示した白鷗大の物語は続く。そして新たな時代の印象を強めた2022シーズンが終了

東海大は大会に入ってからよく身体が動いていた。怪我から復帰に時間がかかったセンター陣がまだ万全ではなく、スモールラインナップでこの大会に挑んだが、昨年よりも足が動き、ディフェンスでさらに一歩が詰められる今年のチームにとって、小ささはむしろ武器になっていた。勝ち上がりが神奈川大と中央大で、ともにスモールラインナップで機動力の高いチームだったことも、調子を上げていくのにいい流れを作った。また#13金近がセンターポジションを担ったが、スリーポイントがある選手のため、内外で仕掛けることで逆に相手に守りづらさを与えてもいたことも大きい。決勝はゾーンとマンツーマンのチェンジングで白鷗大のペースにさせない40分。しかも、今回始めて使ったという未公開のゾーンを終盤投入し、白鷗大を翻弄した。1年間経験を積み重ねることで成長してきた選手たちが、臨機応変に戦術を遂行できるところまで成長し、最も大事な試合に指示に即座に応えたことで頂点に立った。

一方の白鷗大は、網野監督が「連覇のプレッシャーはない」と言ったが、それでもやはり決勝の舞台だけに固さが全面に出てしまったようだった。インカレの決勝は、立ち上がりがほとんどすべてとなる。出足に失敗したチームが後半に一度でも逆転することの方が稀で、またそこから勝利を収めた試合は、ここ20年近くの過去大会を見てもほぼない。だがそんな傾向をものともせず、後半に逆転して初優勝したのが昨年の白鷗大だった。今年、追い上げる側に立ち、勝利できなかった点では過去の大多数の決勝と同じだ。しかしそういう難しいゲームで追いつき、一度は逆転したということは、やはり白鷗大が力を持ったチームであることを証明している。今季の主力は来年も残る。今度は白鷗大がリベンジを狙う側であり、次の1年はもうこの瞬間から始まっている。

今インカレは中京大や名古屋学院大がベスト8に食い込み、創部から短期間で初出場した関西連盟の神戸医療未来大や東海連盟の浜松学院大といったチームも存在感を見せた。7月の新人インカレで経験を積んだ各地区の1〜3年の活躍も目立った。シーズンを関東で見れば、トーナメントを専修大、新人戦を日本体育大(6月)、新人インカレは大東文化大、リーグ戦は白鷗大、そしてインカレは東海大と、すべて異なるチームが頂点に立った1年だった。この傾向は何年か前から見えてきていたが、どこか突出したチームが何冠も取る時代は既に関東では終わった。さらなる群雄割拠の可能性を暗示する2022シーズンとなった。

東海大学記者会見

「落ち着いてゲームを運ぶことができた」陸川 章監督(東海大)
「神奈川大戦からずっとタフなゲームをしてきました。粘って粘って勝つことがうちのパターンなんですが、今日は先行できた初めてのケース。でも慌てないというか。白鷗大さんは追ってくるので、キャプテンを筆頭に落ち着いてゲームを運んだと思います。最後まで逃げ切ることができた選手たちを讃えたいと思います

「準備してきたことを徹底できた」#24松崎裕樹(4年・F)
「リーグ戦で白鴎大に負けた時から準備してきたことを、徹底してきたゲームだと思っています。入りから最後まで自分たちが何をやるべきか、というのをコートに立っている選手も、立っていない選手も、ずっとしゃべり続けて気迫で負けなかったことが勝てた要因だと思います」

「声掛けをしながら粘り強く戦えた」#15島谷 怜(4年・PG)
「入りがすごく良くて、僕たちにとっても少し驚くくらい良かったです。追いつかれるというのはゲームをやりながら少しずつ感じていた部分があったので、そこでタイムアウトやクォーターの間でも慌てずに、大丈夫だと声をかけ、粘り強く戦えたので僕たちらしさを出せたかなと思います」

「苦しいときも我慢し続けた結果」#16西田公陽(3年・SG)
「試合前のミーティングでどこが相手だろうとやることは変わらない、とキャプテンから声があって、本当に自分たちがやることを徹底した結果だと思います。入りが良かった分、苦しい展開も続きましたが、ディフェンスで我慢して、本当に我慢し続けた結果優勝することができたんじゃないかと思います」

「逆転されてもぜんぜん戦えると思った」#13金近 廉(2年・SF)
「今日の試合も含めて、インカレの全試合はタフなゲームが続いていました。接戦でどうなるか最後まで分からない試合が続く中で、最初の3試合を勝ち切った上で、今日の試合に臨んで、うまく最初は入れました。4Qの途中に逆転されたところで、自分たちとしてはネガティブな感じではなくて、まだぜんぜん戦えるという雰囲気をチームに全員が持っていました。競った展開になれば今年のチームは強いということはわかっていたので、全員が自信を持って最後までプレーした結果、勝ちに繋がったと思います」

「やってきた練習がモチベーションになった」#3ハーパー ジャン ローレンス ジュニア(2年・PG)
「チームのみんな、タフなゲームになることはわかっていて、3Qの途中で崩れた部分があったんですが、キャプテンがしっかりチームに声をかけて、すぐ立ち直ったからこそ今日の試合は勝てたと思います。4Qの部分で自分たちの疲れが見えたんですが、自分たちは去年よりも練習量をこなしています。そこをモチベーションにして頑張ってきたからこそ、今日優勝できたかなと思います」

白鷗大学記者会見

「自分の未熟さが出た1Qの2点」網野友雄監督(白鷗大)
「試合を通して見たら素晴らしいファイトだったと思います。ここにいるスタートの5人も、それ以外のベンチに入った15名、そして後ろで応援をしてくれたほかのメンバーも含めて、自分たちらしく粘り強く最後まで戦った姿勢を誇りに思っています。それ以上に東海大学さんの気迫であったり、昨年度の悔しい思いとか、そういうものが出たゲームだったと思います。

内容的には出だしです。1Qで自分たちの得点が2点というところがすごく悔やまれます。昨日までは思い切りよく打っていたシュートを、躊躇してしまって打たせられなかった、そういう風にチームを持っていけなかったところに、自分の未熟さを感じますし、そこをきちっと勉強して、この試合を糧に自分自身も成長し、次の機会には出だしからできるようにまた頑張っていきたいと思っています」

「得点以外の泥臭いプレーは見せられた」#0関屋 心(4年・PG)
「求められている得点のところは全然だめだったんですが、泥臭いプレーとかディフェンス、スティールなど、気持ちで全力でできたので、そこは評価していいところかなと思っています。この悔しさを忘れずに次のステージに活かしたいと思っています」

「自分がガードとしてゲームを組み立てられれば」#33杉山祐介(4年・SF)
「網野さんが言った通りに、出だしの部分で自分がガードとしてもっとゲームを組み立てられれば良かったと思います。その後は白鴎大らしく追いつけて逆転したのはよかったと思います。下級生たちが来年リベンジしてくれると思うので、そこを応援したいと思います」

「あと3年ある。これからも頑張る」#25ジョエル モンガ(1年・PF)
「皆さんお疲れ様でした。負けましたがチームメイトたちみんな、最後まで頑張りました。僕はまだ1年生なので、いい経験をしたと思っているし、自分はまだあと3年間あるので、これから頑張ります」

「自分のシュートが入らず責任を感じる」#35ミサカボ ベニ(4年・PF)
「最初の1Qのシュート、自分のところが固かったです。相手は思い切りシュートを打ってきて、それが全部入っていました。最初の1Q、2点という数字で終わったことに責任を感じています。でも後半は白鷗大らしいところが出たので、あと一歩で及ばず負けましたが、自分たちはいいディフェンスをしたし、シュートはそんなに入らなかったんですが、白鷗大らしいディフェンスだったり、ハッスルだったりできたのでそこはよかったと思っています」

「4年生に感謝し、この反省を来年に活かす」#2脇 真大(3年・SF)
「今日の試合、応援ありがとうございました。結果は負けてしまいましたが、出だしの部分でみんなもわかっている通りです。うちが2点しか取れなかったということが、本当に負けの要因かなと思います。そういう試合の入りをしたら、こういう苦しい試合になるよということが本当にここで分かったので、そこを反省してまた来年頑張ること、自分とジョエルはまだ来年があって、このチームの顔になる2人だと思うので、そこはしっかり自分たちも意識していきたいです。

今日あと一歩届かなかった日本一というのを、もう一度取りにいきたいと思っていますが、今年の4年生には感謝しています。勝たせられなかったというのは自分の責任だと思っています。シュートがあと2本、3本でも入っていれば勝ったと思うので、本当に申し訳ないと思っています」

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