【2022インカレ・REPORT】激闘が続いた準々決勝、ベスト4が決定!右ブロックは激闘の末に東海大、日本大が準決勝へ(準々決勝②/2022.12.9)

2022インカレ
劇的な勝利に笑顔の日本大。

ベスト4進出をかける戦いの右ブロックは第3シードの東海大、第5シードの日本大が接戦を制して劇的勝利。第2シードの専修大、第6シードの中央大は惜しくも敗れた。

【東海大VS中央大】4Qの勝負際、一瞬の隙から東海大が勝機を掴む

東海大中央大の戦いは、前半拮抗した展開となる。1Qは中央大がリード得るが、終盤にミスが続き、東海大が点差を縮めると、東海大は#0黒川(3年・PG)が高い精度でレイアップを決めていき、#1元田(3年・SG)がフリースローやスリーポイントで連続得点した。一方の中央大は#0樋口(3年・PG)が好調で、2Qは得意のフローターをはじめ得点を支えた。東海大は終盤に#1元田へのパス、#13金近(2年・SF)のスリーポイントが決まると、34-38と4点差に縮めて前半終了。

東海大は#1元田や#25江原など、セカンドメンバーがきっちり仕事を果たしている

3Qの立ち上がり、東海大は#24松崎(4年・F)がオフェンスリバウンドからバスケットカウントを獲得。#3ハーパー(2年・PG)のスティールや#24松崎のスリーポイントが決まり一気に逆転。中央大は足が止まってきて得点が停滞する。東海大は#24松崎がこのQ13得点で流れを作り、56-50とリードして4Qへ。

4Qもディフェンスに阻まれ中央大のオフェンスは重い。シュートを簡単に打てない時間が続くが、インサイドの#47吉田(4年・C)がゴール下で粘って得点、速攻にも走って差を縮め、残り51秒には#0樋口の絶妙なレイアップで最大11点あった差を2点まで縮めた。残り時間、両者得点が決まらず激しいボールの奪い合いになるが、オフェンスの最後のポゼッションを獲得したのは中央大。しかし#21渡部(4年・SF)がフロントに運ぼうとするボールを東海大の#3ハーパーがカット。難しい体勢から放ったシュートがネットに吸い込まれ点差を4にする。中央大は残り時間で逆転の術がなく、70-65。東海大が中央大の猛追をしのいで準決勝進出を決めた。

中央大は終盤、#47吉田が身体を張って得点し、追い上げた。

「昨年の悔しさを晴らすため、今年の自分たちはチャレンジャー精神で向かっていくだけ」#24松崎裕樹(東海大・4年・主将・F)

「前半の出だし、相手のやりたいことをやらせてしまって、チームとしてとにかく流れが来るまで我慢しようということをタイムアウトの時に話しました。そこでセカンドチームの選手たちが繋いでくれて、後半に走り勝つことができました。自分たちが体現したいバスケットを40分できたかなと思います。今年は誰が出てもあまり変わらないというか、そこがチームの良さであると思うんですが、虎徹(#0黒川)や太陽(#1元田)はセカンドで出るときの自分たちの責任というのを持っています。その努力というのが前半良かったところに出ました。

出だしのところで少し中央大に負けた春を思い出してしまったところもありますが、今年の自分たちはチャレンジャー精神で向かっていくという立場。今はチームが我慢できるようになったと感じています。リーグ1巡目で筑波大に負け、チームをオフェンスからディフェンスへとフォーカスを切り替えました。そこから我慢強くできるようになってきています。

この大会に入って神奈川大や中央大という、とても素晴らしい相手と試合をして勝ってきているので、自信しかありません。これまで対戦したチームのためにもというのもあるし、去年の悔しさを晴らすためにも絶対に勝ちたいと思います」

#24松崎は19点でチームを牽引。

「最後の最後までやりきった。チームメイトには感謝しかない」#21渡部 琉(中央大・4年・SF)

「去年のリベンジとなる、ベスト4を賭けた戦いとなる、最高の舞台でした。本当にチームのみんなはよくやってくれたと思うし、チームとしてやろうとしていることもかなり遂行できて、でも最後に自分がミスをして最後のシュートが打てませんでした。そこは自分としてはまだまだまだでした。悔しいというより、他の人の分までチャンスを奪って今までエースとしてやらせてもらっていたので。ただ、チームメイトには感謝しかないなと今思います。

コンディションは大会前に軽い捻挫がありました。また、濵野(#28)が出場できず、あいつの分まで頑張って、チームで戦う姿を濵野に見せてやろうと思いました。それはできたと思います。

1年生の時はここまで来られるなんて全然考えられていませんでした。自分だけではなくて、先輩たちが築き上げてくれたものがかなり多くを占めると思っています。その中で自分たちがちゃんと受け継ぎができたのかどうか、来シーズンになってみないとわからないんですが、自分としては本当に最後の最後、やりきったかなと思っています」

コートで支え合った#47吉田を最後に抱きしめた。同じく4年の#28濵野は体調を崩し、一緒のコートに立つことはできなかった。

【日本大VS専修大】残り0.2秒の攻防をしのぎ、日本大が劇的勝利

連日息詰まる試合の続く最激戦ブロックが、準々決勝も最後まで息をつかせぬ展開で会場を沸かせた。

関東2位の専修大は、日本体育大を倒した関東5位の日本大と対戦。1Qは専修大#10喜志永(4年・PG)、#16淺野(2年・PF)のスリーポイントが決まって好調。12-20とリードする。2Q、日本大はベンチメンバーが試合を支えた。#8陳岡(3年・SG)がスリーポイントを決めると、#63クリバリ(3年・C)がゴール下で奮闘。追い上げていくと、残り5分、#8陳岡のスリーポイントで日本大が逆転。日本大はアシストからの得点が次々に決まり、このQで22得点をあげた。一方の専修大は9点に終わり、34-29と日本大が逆転して前半を終えた。

日本大は筑波大戦に続き、怪我明けの#63クリバリがよくつないだ。

後半は片方が逃げれば片方が追いつくという、常にどちらに転ぶかわからない展開が最後まで続いた。3Qは#44米山(3年・PF)、#13クベマ(3年・C)の連続スリーポイントで専修大が逆転。しかし日本大も#51一戸(2年・PG)の速攻が出ると#1佐藤(4年・PF)のベースラインのドライブでこちらも逆転。#12コンゴローの速攻からのダンクも決まって5点のリードとなる。しかし専修大は#0ケイタ(4年・C)、#44米山が決め返し同点。こんな状態で試合が続いていくが#15鴇田(4年・SG)の連続得点や#22飯尾(4年・SG)のドライブが決まった日本大が48-43と5点リードで4Qへ。

最後のタップを狙う#13クベマ。

最終Q、またも専修大が盛り返す。立ち上がりの2分間は両者ノーゴールのところから、シーソーゲームが延々と続く。しかし日本大に速攻の失敗やパスミスが続き、その間に専修大は#13クベマの2本目のスリーポイントや#44米山のバスケットカウントで逆転。しかし日本大も粘り、僅差でついていく。日本大は残り3分、インサイドの#12コンゴロー以外を#22飯尾、#20矢澤(4年・PG)、#15鴇田、#1佐藤の4年生に。ここから#22飯尾の速攻、そして#20矢澤のスリーポイントが決まると、残り2分で4点のリード。専修大はタイムアウトで流れを切り、#13クベマのゴール下、#16淺野のジャンパーですぐさま58-58に追いつく。しかし日本大はここでも切れない。タイムアウトを請求後、残り1分にまたしても#20矢澤がブザーと共にシュートを沈め60-58。しかし残り時間、必死のディフェンスを仕掛ける専修大に対してボールを保持しきれず、ファウルを宣告され、0.2秒で専修大の#16淺野がフリースローを獲得した。しかし#16淺野はこの1本目を失敗。そして2本目、リングにはねさせたボールに一番先、より高く手を伸ばしたのは#13クベマだったが、チップインのゴールはならず。ブザーが鳴り響いて日本大の選手たちが歓喜に包まれ、専修大の選手たちがコートに崩れた。

「キャプテンとして悩んだけれど、いろんな人に助けられて吹っ切れた」#22飯尾文哉(日本大・4年・主将・SG)

「城間さん(監督)に絶対我慢の時間帯があるから、それを粘って我慢して勝とうと、試合が始まる前から言われていました。しっかり我慢できた試合だと思います。城間さんには4年生が中心になっていかないと勝てないと言われています。去年のインカレでも筑波大の4年生の井上さん(現B1渋谷)や二上さん(現B1千葉)にやられました。あれから4年の力で勝っていかないといけないと色々話し合ってきましたが、今日は4年生が最後に全員で出てそれを達成できました。

個人としては、リーグ戦中は本当に悩んでしまっていました。キャプテンとしても全然引っ張れないし、結果もついてこないという状況で、本当にどうすればいいかわからなくて、バスケをやってきた中でも一番悩まされました。中でも、親に『こういう大学1部の舞台でやれるということに感謝して、できる可能性があるなら、その可能性を信じてやり続けなさい』と言われたことで、本当にやり続けようと思って切り替えて頑張れました。いろんな人にリーグ戦の後に助けてもらって、言葉をもらってきましたが、インカレで少し恩返しできているのかな。決勝まで行って、支えてくれた人たちに恩返しができればなと思います。

やはり自分がキャプテンで、自分が引っ張っていくということをリーグ戦では発揮できませんでした。それで悔しい思いをした分を、インカレでぶつけられていて、本当に今は勝つ自信しかありません。でも、全員が楽しもうとやれていて、本当に後悔のないような試合をしようとしています。それがすごくいいプレーにつながっているんだと思います」

今大会、本来の飯尾らしいアグレッシブな動きでチームを引っ張っている。

「常に前を向いて自分たちがやるんだ、とやってくれた4年生とチームを誇りに思う」佐々木優一監督(専修大)

「本当に最後まで今年のチームらしく、引き離されても我慢してまた追いついて、よくやってくれたと思います。結果はこうなってしまいましたが下を向かずに胸を張って、会場を後にして欲しいです。今年は昨年の主力が抜けてきついシーズンになるだろうなと思っていた中で、4年生がリーダーシップを発揮して、苦しい場面でも繋いでくれて、本当に最後までやってくれました。結果が出なかったんですが、選手を誇りに思います。

今年のメンバーは僕の監督人生で春に初優勝を経験させてくれて、リーグ戦も苦しい状態の中で勝ち続けて、準優勝となりました。僕の監督人生はまだ短いんですが、本当に今までの中でも一番いいチームだったと思います。

自分たちがどういう状況であっても言い訳を外に向けずに、『自分たちがやればいいんだ』『自分たちがやらなくちゃいけないんだ』という、すごく精神的に大人の部分がある4年生でした。僕がきついことを言ったとき、結果が出ない時、上手く練習がいかない時も、自分たちに原因があるんだと、自分たちでどうやって改善していくかを考えていました。ふてくされた顔もまったくしないですし、僕を信じてチームメイトたちとコミュニケーションを取り、うまくないかない時も常に前を向いてやってくれた4年生でした。

最後の0.2秒はキャッチしたらアウトなので、タップしかなかった状況でした。ケニー(#16淺野)は2年生でここまでやってくれました。勝たせてあげられなかった監督の責任です。誰も悪くないし、本当に選手たちは胸を張り、この結果をしっかり受け止めてもらいたいなと思います。選手たちは負けないために頑張ってくれました。この4年生の背中を見て、また勝てるチーム、さらにいいチームを来年作っていきたいと思います」

#16淺野や選手たちに最後に声をかけて回った佐々木監督。

「ガードの自分の責任。でも最高の環境の中で試合をできたことに感謝」#10喜志永 修斗(専修大・4年・主将・PG)

「ガードの責任で、自分の責任です。監督は自分の責任だと絶対に言うと思うけど、コートに出ているのは自分だし、後半は絶対自分に託してくれるのは分かっていました。そこで勝ち切れなかったということはガードのせいです。ケニーは責任を感じるだろうし、スティーブも悔しいと思う。でも全部自分の責任。みんな頑張ってくれたので、本当にみんなには感謝しています。みんながあんなに応援してくれて、会場もあんなに歓声が出て、審判もちゃんとコミュニケーションを大事にやってくれて、どちらも応援をすごくして、すごくいい環境でした。

でも楽しかったです。残り5分のところで、文哉(日本大・#22飯尾)にも、大介(日本大#1佐藤)にも『楽しいね』って。苦しい顔はせず、笑っていたと思うんですけど、本当にこの環境に立てて楽しかったです。怪我で2年連続この舞台でできませんでした。だから今日はアップ中に泣きそうになったし、久しぶりにインカレで代々木のコートに入って、すごく感情がこもったから、いい感じの出だしになりました。

いろんなことがあった1年でした。今年はトップの5チーム、どこが勝ってもおかしくない中で、こんな環境を作ってもらって切磋琢磨して来られました。インカレでもこの環境で強い相手と試合をできたので、負けたけどもうしょうがないかなって。悔しいけれどあとは文哉たちに頑張ってもらうしかありません。悔しいけど自分の殻に閉じこもらず、最後は日大のみんなに声を掛け、観客の人ともコミュニケーションを取りました。学生バスケにはプロとは違う醍醐味があります。そういう環境の中でプレーできたことに感謝して、最後はずっと周りの人に礼をしながらロッカールームに戻りました。まだ終わりたくなかったし、終わったとまだ思えないけど、本当に感謝しています」

試合終了の瞬間、長いことしゃがんでいた#10喜志永。喜びでもない悲しみでもない、不思議な表情が浮かんでいた。
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