熾烈な戦いの続くリーグ戦で存在感を見せる
昨年、白鷗大はエースの脇(現B1琉球)を筆頭に、当時3年生だった#20根本をはじめ#8陳岡(4年・SF)、#36ポーグ(4年・F)らトリオがチームを盛り上げる活躍を見せ、チーム全体の底上げ役となった。その彼らが今年は4年生としてチームを引っ張っている。中でも、根本は下級生時から出場機会の多かった選手。今季も得点源として活躍しているが、特に2巡目では勝負どころでのスリーポイントや速攻など、エース的存在として輝きを見せている。今年は4年生として責任も大きいこともあるが、ただ1人ではなく「みんなで」という意識のもと、チームを牽引している。
「去年は脇さんという偉大な先輩がいたので、3年だった自分たちは自由にやらせてもらっているところがありました。それがいい形で結果に出ていたのが2023年シーズンだったと思います。今年はそういう絶対的なリーダーはいません。だから4年生が手を取り合って、そこを補っていこうと考えていますね。たとえ個々のプレーでは引っ張れなくても、一番声を出して、精神的な部分で引っ張っていこうということは、僕だけじゃなくてポーグや流羽(陳岡)とも話をしていますし、そういったことについては少しずつできているのかなと思っています」
絶対的エースはいない分、4年生としてまとまり、チームを引き上げようとここまでやってきた意識が現4年生には強い。そしてそうしたチームでリーグや最終目標であるインカレ制覇を狙うには、チームの根幹であるディフェンスの強度を上げつつ、それを40分持続できるかが鍵だという。
「ディフェンスの部分でポイントポイントの強度を上げて練習して、自分たちの流れに持ちこむことはリーグ戦でもできています。ただ、それを一試合続けてできていないので、そこが改善点です。自分の仕事としては相手のエースを止めるというのがあるので、そこにはプライドを持って、これからもやり続けていきたいと思います」
チームとしてはリーグ戦では途中からやや順位が落ちた試合もあるが、終盤には日本体育大を破る劇的な試合も見せ、食らいついてきた2ヶ月半になった。1年間の集大成、そして4年間の総決算として、インカレに向けてどうチームを仕上げるかを、ここからの残りわずかな大学バスケで考えていくことになる。
「今のこの状態が終わりでも完成でもありません。もっともっといいチームをインカレまでに作っていきたいです。今シーズンは春に怪我人が多くて出遅れましたが、今は皆コンディションも良く、怪我をしていた選手たちもどんどん調子を上げてきてくれているので、この先チーム力というものはまだまだ大きくなっていくと思います。チームの方針として、短い時間でも全力を出して、たとえ出場時間が1分や2分でも、ベンチに帰ってきたら息が上がっているほどにコートで力を出し尽くそうと網野さんからは言われています。下級生もほんとうによく頑張ってくれています。そこに4年生も負けないよう、ここからもやっていきます」
勝負強いシュートを沈める勝利のキーマンとして
チームプレーで勝利を掴み取る姿が印象的な白鷗大だが、今リーグでの根本の劇的なシュートは印象に残るものが多い。10月6日、ホームゲーム2戦目の大東文化大戦(第13戦)は延長戦に突入する熱い戦いになったが、勝負どころのシュートを決め、合計17得点。この試合のMVPにも選ばれた。
「本当に難しい試合だったんですけど、ホームの力も貸していただいて、勝ちきることができたと思います。ホームゲームは本当に皆さんの声援のパワーを再確認というか、力強さを感じました。そしていいシュートが打てるのは、毎試合いいパスをくれる仲間がいるおかげです」
その根本の存在感は終盤戦にかけてますます高まっていく。10月14日の第16戦、2位の日本体育大相手では5/7のスリーポイントで22点。2Qには5連続得点(そのうち4本がスリーポイント)で会場をわかせ、チームとしても最終的に80-82という接戦を制した。その前々節で日本大に敗れたところからの、見事な修正だった。
「一昨日の日本大戦に敗れたあと、スペーシングの部分が課題だなと認識しあって、そこをしっかり整えてから攻めようと網野さんから話がありました。課題がみんな意識できていたのでドライブが増えて、キックアウトからのスリーポイントが増えたと思います。日大戦の翌日の筑波大戦でそこを修正できていたので、日本体育大戦ではもう迷いなく自分たちのシュートを打っていくだけでした」
下位の拓殖大に敗れる意外な試合もあったが、それでももう一つも落とせないとなった状況でこの日本体育大戦、そして専修大など強敵を破って上位に食らいついた。さらに最終週の東海大戦でも勝ちへの執念を見せて大差で勝利したことも、チームには大きな自信になっただろう。根本はこの試合15得点。3本のスリーポイントや2つのスティールなど好プレーを連発し、さらに存在を強く印象付けた。
「拓殖大に負けたときは、あの時点では拓殖大は10位の位置にいて、やはり心のどこかで勝てるだろうという油断があったと思うんです。でも網野さんもミーティングでおっしゃったんですが、“自分たちが絶対に勝てる保証がある”といえるチームは1部のチーム中、どこもないし、そのことを負けて再確認できました。おかげであそこから一段と気が引き締まったし、大きな意味のある負けでした」
敗戦からの反省も成長材料に、リーグ戦で一回りタフになってチームは前に進んでいる。そしてその勝利に欠かせないピースとして、リーグ戦では存在感をこれまで以上に高めた根本。この先に続くインカレでもその力を発揮し、チームに貢献できるか、ここからも見逃すことはできない。