関東大学リーグ戦、2部リーグの戦いは優勝、そして入れ替え戦に進出する3枠をかけ、後半に入り激化している。14〜16戦の3連戦で青山学院大が東洋大、江戸川大という難敵を続けて撃破し、翌日の順天堂大戦も制してこの時点でトップに立った。2位は早稲田大、3位に江戸川大と並び、3位と同率だが法政大が4位へ。法政大はこの3連戦で1勝2敗。上武大とは延長戦で、東洋大とは最後まで競り合ったが惜しくも敗れた。3位圏内への巻き返しは可能だが、もう負けられない状態になった。
また、下の争いは国士舘大がここにきて白星を増やし、3部との入れ替え戦圏内を抜け出している。
【PICK UP第15戦】青山学院大が江戸川大に逆転勝利で首位に立つ
上位チームが同率で並ぶ中、調子を上げてきた青山学院大と江戸川大の対戦は最終盤までどちらに転ぶかわからない激戦となった。
青山学院大は14戦で同じ勝敗数だった東洋大を接戦で破り、この江戸川大戦に臨んだ。試合を通じてシュート確率が高かったのは江戸川大。立ち上がりからインサイドでは#1アデツツ(2年・SF)が、他のメンバーもアウトサイドシュートが好調で先行する。青山学院大はゴール下で#7進(4年・SF)が奮闘するが、全体的にはシュートの思い切りが悪く1Qは15-23と江戸川大が8点のリードとなった。
2Q、青山学院大は一時10点ほどのビハインドになるが、#3新井(3年・PG)の個人技が冴え、#7進がリバウンドで粘ってじわじわ追い上げると35-39と4点差にして前半を終えた。江戸川大は引き続きバランスよくシュートが決まるが、#1アデツツが3ファウルとなる。
3Q、青山学院大#12広瀬のスリーポイントが連続で決まり同点にすると、#7進がオフェンスリバウンドで頑張り、青山学院大のリードに切り替わる。しかし江戸川大はタフショットがよく決まり、#13大出(SG)、#7小島(1年・SG・鳥取城北)のスリーポイントが入ると再びリードを奪い返した。6点ほどの差をつけて試合を進めるが、青山学院大が激しいディフェンスからスティール、速攻を狙っていき、残り0.3秒で江戸川大のベンチテクニカルとフリースロー、合わせて3本のフリースローを#12広瀬(2年・SF)が決め、60-61と1点差に追い上げて3Qを終えた。
勝負の4Q、江戸川大が#11髙木(3年・PG)、#1アデツツでリードする中、#7進への合わせ、#3新井のスリーポイントが出て開始2分で青山学院大が逆転。ここからは互いにリードを奪い合うシーソーゲームとなる。残り約3分、江戸川大が2点リードのところで青山学院大のディフェンスから#2漆山(4年・PG)がスティールを決め、続けて#2漆山、#12広瀬の速攻が決まり逆転で4点のリードに。さらに#12広瀬のブロックで流れを掌握したかのような展開になる。残り1分、江戸川大はディフェンスを激しく当たり、オフェンスでは#1アデツツ、#13大出のスリーポイントで粘る。しかし残り時間は青山学院大が相手のファウルゲームをうまく処理し、81-77。負けられない相手に逆転からの接戦を制し、大きな1勝を挙げた。
スリーポイントは江戸川大の確率が高く、タフショットもよく決まったが、終盤の勝負どころで青山学院大のディフェンスが激しさを増してくると、シュート精度が落ちてきた。リバウンドでは青山学院大が上回り#3新井、#7進、#12広瀬が20点オーバーのプレーで得点を牽引。15試合終了時点でついにトップに立った。
青山学院大・竹田HCはチームの成長を語り、「駒澤大戦に負けて危機感が高まり(第6戦/81-72)、休止期間があったことで切り替えができた。自主性が高まり、特に4年生を中心に自分たちで考えてやろうとしてきている。学生チームはやはり4年生の存在が大きい。そしてこの1ヶ月でチームが大きく成長している」と、のびしろが多い学生らしい変化を喜んだ。
【INTERVIEW】「何かを変えないといけないと思っていた」序盤の負けをきっかけにチームが成長/#2漆山 蓮(青山学院大・4年・主将・PG)
下級生のときから司令塔としてチームをコントロールしてきた。現在は#3新井と役目を分け合い、また今季は主将としてチームを鼓舞する。
勝利した早稲田大戦、法政大戦ではともに14得点、江戸川大戦、東洋大戦ではスティールでも存在感を発揮。常に声を出してチームを引っ張る姿も印象的で、4年として、主将としての気迫が見える。
─江戸川大戦、見事な勝利でした。ここ数試合の大事な試合を勝ちきってきていて、中盤戦に入ってからの良さの原因はどこにあるのでしょう?
「一番は入りのところで、まずはディフェンスの強度を上げることと、やはり走ってから得点をするのが自分たちの良さです。そのベースアップのところを、最初の6試合を終わって1週間空いたときに、みんなで話して課題を出しあいました。7戦目からそこを意識してやるようになり、徐々に自分たちのバスケットボールをできるようになってきました」
─竹田HCが駒澤大に負けたところで変化が起こったかもしれないとおっしゃっていました。やはり危機感を感じたのでしょうか。
「そうですね。みんな気づいていた部分だし、何かを変えないといけないことは、一人一人わかっていたことです。そこで変わりきれたと思います。去年も大事なところでリードできなかったりとか、離せないで逆転されたりとか課題はあって、そこは今年のリーグ戦の最初の方に自分たちも感じてきました。その中で4年生中心に「我慢しよう」とチームの中での声がけをし、他の選手たちも絶対我慢しなきゃいけないっていう声掛けが徐々に増えてきました。一人一人の絶対勝ちたいという気持ちがだんだん強くなっていったのが、今日のようなプレーとか気持ちの部分に出はじめて、勝利に繋がってるのかなと思います。自分も声を出しますが、キャプテンとしてのやれる最低限のことをやろうという意識です」
─広瀬選手(#12)など、下級生も頑張ってくれていますね。
「本当に頼りになります。広瀬、芦田(#77)もそうだし、新井(#3)もそう。4年生は4人しかいなくて、中でも、特にガード陣は自分ひとりだけが4年生です。下級生の力は本当に大きくて、いつも助けられています」
─8月のWUBSの時に広瀬選手(日本学生選抜としてメンバー入り)がここで経験したことをチームに持ち帰りたいと言っていました。それを感じる部分はありますか?
「前よりも自信を持ってアタックすることや、オフェンスに対しての積極性というのは多分、そこで得た経験値を元に、自分の中でいろいろ試行錯誤してチームに還元してくれています。こちらも彼がボールを持ったら安心感があるし、絶対得点してくれるという信頼もあるし、そこは成長して帰ってきてくれた部分です」
─ただ、今日の江戸川大戦は全員が頑張りましたね。漆山選手も最後のスティールは大きかったし、強気でいく様子が見えました。
「その前から自分のマークマンがディフェンスを嫌がっていたので、チャンスだと思って。そこは思い切っていきました」
─でも試合後のサークルで、今日勝っても明日負けたら意味がない、と漆山選手が言っていたのは大事なことだと思いました。2部リーグは2年目ですが、難しさはどこにあると思いますか?
「リーグ戦が22試合あって、どのチームもどこで負けるかわからないところです。今も上位チームが中盤だったり、下位のチームに負けてしまっている結果を自分たちも見ているし、どの試合も気を抜けないというか、一回一回全力で戦いにいかないといけないことを、チーム全員として認識しておかないと、どこかでやられてしまいます。それは非常にもったいない。自分たちは1位を目指しているし、そんな戦い方をしたら届かないと思っているので、そこは毎回声をかけるようにしています」
─今年はHCにOBであり、プロでも活躍された竹田さんが来られましたが、新しく意識させられていることはありますか?
「自主性でしょうか。竹田さんからはやることについて全部は言われません。そこで例えば、僕らは一つ言われたことに対して、自分たちで話し合って、その中からじゃあこうしよう、ああしようといろんなアイディア出したりする点が昨年からは変わりました。自分たちがやりたいようにやらせてもらって、自主性が伸びてきていると思います」
─新しい成長があるんですね。リーグ戦はまだ続きます。この先大事にしたいことを教えてください。
「自分たち入りの部分からディフェンスの強度を上げ、早いトランジションのオフェンスをしていけば、絶対自分たちのリズムが出てくると思います。全てのチームが弱いわけではないので、そこでいかに我慢勝負でうちが最後まで粘り強く戦って、40分間で走りきって勝つかだと思います。そこを意識して頑張っていきます」
【勝敗/16戦終了時点】
1位 青山学院大学 12勝4敗
2位 早稲田大学 12勝4敗
3位 江戸川大学 11勝5敗
──1部入れ替え戦進出ライン──
4位 法政大学 11勝5敗
5位 東洋大学 10勝6敗
6位 上武大学 9勝7敗
7位 駒澤大学 8勝8敗
8位 順天堂大学 8勝8敗
9位 国士舘大学 5勝11敗
──3部入れ替え戦進出ライン──
10位 明星大学 5勝11敗
11位 立教大学 4勝12敗
12位 埼玉工業大学 1勝15敗