【2023関東新人戦/INTERVIEW】「キャプテンは大きなチャレンジ」人生初の立場を楽しみながら自分らしく/#9田中 流嘉洲(大東文化大・2年・PF)

2023関東新人戦

「明日は楽しくやろう!」

準決勝を終えたあと、コートに大きな声が響いた。今大会、大東文化大の新人チームキャプテンを務める#9田中の、明るい性格が感じられる掛け声だった。

今新人戦、そして7月の新人インカレでは人生ではじめてキャプテンを務める。このポジションへは、自分から志願した。「いつかどこかで責任ある立場を経験したい」、そんな思いを持っていたからだ。今年はアンダー世代の代表に選ばれており、合宿や遠征で忙しかった。新人戦前には李相佰杯(5/19〜20)で韓国へ、さらに大東文化大初のホームゲーム(6/3)もあった。それでも両立してやりたいとして西尾監督にも「やる」と伝えたという。

「人生経験として、キャプテンを一度はやりたいという気持ちがあったので、みんなで話して、『自分がやってもいいか』とは聞いていました。ただ、あんなに代表活動でチームを離れるとは思っていなかったので、そこは少し誤算だったんですが。でもそれでもみんなに『いいよ』、と言ってもらったので、自分自身は嬉しいです。そしてやらせてもらって決勝までこられているので、ものすごく」

実際は代表活動で新人チームの練習にはあまり出られておらず、一緒にできた新人の練習回数は5回ほど。しかしその代わり、自分が幅広い活動で得られたことを伝えようと意識してきた。そこにあるのは自分がチャレンジし、またみんなにもチャレンジをして欲しいという想いだ。

「自分の経験とかを伝えて、自分ができるだけ引っ張って、自分もチャレンジしながら、みんなにチャレンジさせるということをやってきている感じです。そういう意識がうまくいって決勝までできていると思うので、あと1試合、最後みんなでチャレンジして勝って終わりたいです」

では、実際にキャプテンを経験してみてどう思っているのかというと、難しいこともあるが一言、「めっちゃ楽しい」に尽きるようだ。もちろん、楽しいからといって簡単ではない。

ハドルの中央で田中が「楽しもう」と声を張り上げる。

「正直、練習の時とかはめっちゃ困っていて、菊地さん(全体チームの主将)とか、いろんな人に助けてもらっています。特に毎回菊地さんと話して、『キャプテンってどんな感じですか?』って聞いて教えてもらっていました。菊地さんからは『俺はこんな感じだよ。お前からするといつも逆の立場だから、いろいろ言われたらムカつくだろ?』って言われたり(笑)。確かに、実際に自分でやってみるとみんな話は聞かないし(笑)、そう思う瞬間はたくさんあります。でもそういう中でやっていくのがキャプテンだとも思うんです。キャプテンというのは本当に大きなチャレンジです」

チャレンジは、副キャプテンである#3塚本とのやり取りの中にもあった。田中が不在のときは彼がチームをまとめていたが、クールな塚本とは性格も真逆。「彼とも喧嘩をしたり、いろいろあった」と苦笑する。

「でもここまで来られたのは、そうやってお互いコミュニケーションを取ってきた結果です。だからみんなに感謝しています」

また、キャプテンという立場を意識しすぎて、プレー面でうまくいかないこともあったというが、少しずつふっきってきた。

「最初の方はキャプテン、キャプテンということばかり考えすぎていて、自分のプレーができていなかったんです。でも時間が経っていくうちに、自分のプレーも考えながらキャプテンをできるようになりました。何より、楽しくないとバスケはやっていけません。自分がダウンをしたらチームもダウンしてしまうから、そこはできるだけ顔を上げて頑張っています。でも声かけとかはできているので、この先、もっとできる自信はあります。ただ、自分がうまくいかなかったときに逆に周りから声をかけられなかったらちょっと悲しい。そこは周りに声をかけてもらえると嬉しいな(笑)」

そんな風に、チームメイトにはささやかな期待もなくはない。

新人戦は、昨年3月に行われた際、入学前だったが会場の大田区総合体育館で観戦した。そこで西尾監督には「次は頼む」と言われたという。

「その期待を裏切らないよう、優勝したいです」

楽しんで大東文化大らしさを発揮し、再びの優勝を目指す。

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