新人戦準決勝は得点面で大きくチームに貢献
準決勝の日本体育大戦、20点のチームハイをあげた。積極的にゴールにアタックする姿勢は、最後まで貫かれていた。
今大会は怪我の#13岩下(2年・PG)に代わり、スタメン出場。コートに立つ選手が限られる筑波大は今大会いずれも接戦。劇的な勝利を重ねてきた。1年目はBチーム、2年目のセレクションでAのチームに上がってきた黄(こう)にとっては、「今自分がこんなにやっていることが信じられない」というくらいには、考えもしていなかった状況であり立場だ。
もちろん、緊張感はずっとある。2戦目、ダブルオーバータイムになった江戸川大戦ではファウルアウト、人数の少ないチームだけに責任感を感じたのは言うまでもない。しかしその後は中央大戦、そして日本体育大戦も接戦や逆転を繰り返しての勝利だったが、長く出場する意識で役割を果たした。準決勝の日筑戦では最後はゾーンに苦戦し、「オフェンスを作れずに反省」とは言うものの、20点。得点面で貢献できて安堵する。
「取れる時には得点を取りに行こうと思っていました。今日の日体大戦はあまりスリーポイントが入らなかったのでドライブに切り替えようと思って、ペイント内に入っていきました。コネ(#1)はそこまでブロックに飛んでこないのは分かっていたので、レイアップではしっかりアタックしてというのは続けようと思って。でも最後は康成(#14坂本)がスリーポイントを決めてくれて本当に助かりました」
バスケと医学、文武両道を求めた“解”が筑波大
神奈川県の聖光学院出身。一般入試で筑波大の門をくぐった、いわゆる筑波でいう「一般生の星」だ。元々医学の道を志していたが、バスケも好きだった。
「医学とバスケを両方高いレベルでできるところはどこか?」
そう考えたとき、関東では筑波大学がほぼ唯一の選択肢になる。大学界には医学部のバスケット組織は別にあるが、やはり考えるのは一般の体育会でのプレー。筑波大のバスケット部は過去にもA・Bチームで医学部生の在籍もある。
「高校1年生くらいの時から、医学の道はもちろん、バスケもやりたいと考え、筑波に進学したいと思っていました。部活はやっていたので高3まではそこまで勉強していませんが、高3のインターハイ予選で負けたあと、必死に勉強をして。でも推薦入試と一般入試があるんですが、両方受けて推薦入試の方は落ちてしまったんです。そのときは本当に焦って、そこから本当に一生懸命勉強しました。平日は6時間、休みの日は10時間くらい。両親にも協力してもらったし、自習スペースもある学校の環境にも助けられました」
そうした猛勉強の末に、一般入試で見事合格し、今に至る。入学前には筑波大バスケ部に在籍していた医学部のOBにも話を聞き、サポートしてもらったことも大きな縁だった。
「いろんな人にお世話になり、今、毎日すごい選手たちとバスケができて本当に幸せです。自分がまだそこの一員になれているかどうか、自覚はないんですが、本当に感謝しています」
筑波大入学、バスケ部入部の目標は達成したが、1年目はもちろんそう簡単ではなかった。
高校時代は1人でオールラウンドに何でもこなすような、ワンエースタイプの存在だったという。しかし筑波大には代表クラスの選手たちがひしめく。壁はたくさんあったが、特に1年目にぶち当たったのはディフェンス面だった。
「高校時代は本当にディフェンスをしていなかったので、筑波に来て『こんなにディフェンスってしんどいのか』と感じたし、そこに悩まされました。でもそれを乗り越えて2月のセレクションでAチームに上がることができたので、ちゃんとステップアップしてこられているのかなとは思います」
そして岩下の欠場で、さらに大きなステップアップの機会が訪れている。推薦組の4人と黄が、新人チームの主力。責任は大きいが、心強い味方がいるからこそ、のびのびプレーできており、またこのチャンスを存分に活かしたいとも考えている。新人インカレという大会が創設され、新人チームの活動期間がこれまでよりも長くなったことも、ありがたい。そしてその分だけ、経験を重ねて成長もできる。
「スタメンというチャンスを与えてもらって、それをしっかりものにするという意味で、チームに貢献できている新人戦は、自分にとっての本当に大きなステップアップになると思います。今回の優勝を目指すのもそうだし、続く大会も含めて経験をしっかりつなげていければと思っています」
黄の果たすべき責任は大きく、そして得られる経験もこれ以上無い貴重なものだ。貪欲にあらゆることを追求し、個人として、そしてチームとしても大きな飛躍になることを願う。