エリート8からファイナル4へ。インカレは最も見応えある、面白い段階に入った。この日行われた準々決勝の4試合はいずれも熱戦となり、会場を大いにわかせた。第2シードの日本大は関東6位の筑波大と大接戦となり、ダブルオーバータイムの末に筑波大が勝利した。
中央大が劣勢からスリーポイントで逆転する奮闘、東海大は2戦連続の辛勝
2回戦で大東文化大に逆転されながらも競り合いを制した東海大は、この準々決勝でも同様にリードしながら逆転されるという、苦しい試合になった。前半は東海大のペースとなり、中央大は1Qわずか4点に終わってしまう。しかし東海大も自らの得点が伸ばせず、前半は29-23とわずか6点差。
後半3Q、中央大の反撃がはじまる。インサイドやリバウンドで粘り、また持ち味のスリーポイントが当たりはじめた。東海大は単発なオフェンスが増えて流れのある攻撃にはならない。中央大は#2内尾(2年・SF)、#60蒔苗(2年・PF)、#15町井(4年・SG)ら、力のある選手がスリーポイントを決めて47-41。6点差は変わらず4Qに入る。
東海大は立ち上がりに#23佐土原(4年・PF)のスリーポイントが決まるが、中央大は#28濱野(3年・SF)のドライブで流れを切らさない。さらに#21渡部(3年・F)、#60蒔苗がそれぞれ2本ずつスリーポイントを沈めると残り3分を切って2点差に。続いて#21渡部の速攻が出ると、残り2分半で59-59の同点に追いついた。さらに中央大の勢いは止まらない。#21渡部の得点で59-61と逆転に成功する。中央大は必死のディフェンスでリードを守り切りたいが、アンスポーツマンライクファウルを吹かれリードは1点差に。東海大はここでまた、勝負の流れを持ってくるプレーを#11大倉(4年・G)が見せ、残り1分13秒、きれいにドライブが決まると逆転。さらにディフェンスでは中央大#35清水(4年・PG)のドライブの前に#11大倉が立ちはだかって止めると、そこから#5河村(2年・PG)の速攻、その後は続けてフリースローを獲得し、それを沈めていく。時間がない中、中央大は必死のディフェンス。残り10.8秒で#35清水がスリーポイントを決めて3点差とするが、それ以上の反撃チャンスはなく69-65でタイムアップ。第1試合に続く激闘は、東海大に軍配が上がった。
東海大にとっては2試合連続で反省の多いゲームになった。リーグ戦でも中央大にはスリーポイントを決められ、いい時間帯を作られているが、リーグ戦以上に精度の高かったスリーポイントで窮地に追い込まれた。東海大が6本のスリーポイントだったのに対し、中央大はなんと14本。東海を倒すために高めてきたものをぶつけ、勝利まで後一歩の試合だった。「ゲームプランとして、自分たちが準備してきたことは40分間やりきれた。最後にうちは若さが出てしまいました。全体としては準備してきたことはよくできた」と荻野ヘッドコーチ。また、大東文化大が東海大に対して粘っていたので、自分たちにもチャンスがあると感じたという#35清水。時間のない状態の勝負どころで#11大倉相手にアタックを仕掛けたが、ターンオーバーにつながり「あそこが大きかった。本当に悔しい」と振り返った。しかし同期とのマッチアップを楽しみ、チームとしてもやりきれたといえる集大成の4年目、チームに多くのものを残して引退する。
ディフェンス力を武器に戦う白鴎大が日本体育大を退ける
ディフェンスが武器の白鴎大とオフェンスが武器の日本体育大の、盾と矛の戦いは盾の厚みが矛を押し留めた。
互いの持ち味で勝負する立ち上がりは、次第にディフェンス力で白鴎大がリズムを作る。オフェンスでは#0関屋(3年・G)が好調。白鴎大がリードして入った2Qは、日本体育大もインサイドで得点。しかしディフェンスの強みを発揮する白鴎大がリードを守って前半を終了。後半も大きく点差が変わらない状態で、追い上げては押し戻すという攻防が繰り返され、日本体育大が必死に攻めるも白鴎大もその都度戻していくことで、点差が縮まらない。4Qは#0関屋のバスケットカウントや#52ブラ(4年・C)のシュートで盛り上げる。日本体育大は#28井手(4年・PG)や#23小川(2年・PG)のタフショットが続いて決めることができないまま77-67。自分たちの強みを立ち上がりからしっかり発揮し続けた白鴎大が、昨年に引き続きベスト4に進出した。
白鴎大は劇的な試合で日本大を倒した、筑波大が準決勝の相手。リーグ戦では粘り強く戦った末に勝利した相手でもある。勢いに乗る筑波大を、持ち前のディフェンスからいかに封じることができるか、見逃せない一戦だ。
粘る京都産業大を専修大が集中を切らさず振り切る
第4シードの専修大と京都産業大の試合も、好勝負となった。立ち上がりに#23サンブ(4年・C)の2ファウルがあり、苦しくなった京都産業大だが#24アジャイ(1年・C)がつなぎ、#10上田(4年・SF)や#2北條(4年・PG)のシュートで粘り、ディフェンスもゾーンを使いつつ互角の勝負に持ち込む。専修大は#28野崎(4年・SG)を投入。スリーポイントを続けて沈めるなど、お互いに譲らない展開で互角の立ち上がり。京都産業大は2Qも#23サンブを下げたままスタート。#34藤原(2年・PG)のスリーポイントや#7(3年・PF)のシュート、#10上田の速攻でリードし、沸き返る。しかし専修大も速攻を出すなど流れは良く、34-37とややリードして前半終了。
3Qの立ち上がり、専修大が一気に差をつけようとするが、次第にディフェンスから盛り返した京都産業大は#23サンブが続けて得点。専修大は#28野崎のドライブや#46寺澤(4年・SF)の飛び込みリバウンドなど、逆転はさせずにリードを保ったまま4Qへ。その4Q立ち上がりに京都産業大は#23サンブのファウルトラブルをカバーしていた#24アジャイが遂に退場。それでも#10上田が切れ込んで得点を狙い、#23サンブがダンク、#2北條がバスケットカウントで気迫を見せる。しかし専修大も#13スティーブ(2年・C)が好調で流れは渡さない。京都産業大は最後までディフェンスで執念深く粘っていくが、64-74で専修大が勝利を収めた。
関西1位の京都産業大はそのプライドを存分に見せた。村上監督は長いミーティングのあとにまだ気持ちの整理ができないといった様子で、「周囲の人にいいチームと言ってもらえたことが一番だった」と、チームの健闘ぶりをたたえた。特に、ディフェンス面では関東のチームを十分抑える力を発揮した今インカレは、2010年以来のベスト8。誇りを持てる結果といえる。
専修大は昨年越えられなかったベスト4の壁を突破。準決勝の相手は東海大となる。東海大とは2018年のインカレ決勝で戦い、破れた。当時1年生だった今の4年生たちにとっては決して負けられない試合。これもまた、今インカレ必見の試合になるだろう。
日本大VS筑波大は以下へ。