1対1というチームのスタイルを、プライドを持って貫き通す
今季、主将の#29岡田(4年・SG)とともに明星大のもう一つの顔となったのが、
司令塔の#3加藤(4年・PG)だ。
1対1のスキルで、何度も相手チームのディフェンスをこじ開け、勝利に貢献してきた。
そこには、任せてもらえたことに応えたい、という強い想いがある。
ストリートバスケの流れを取り込んだ明星大のバスケは、自由なイメージもあるが
同時に泥臭さや強い気持ちといった面も持っていなければならない。
そしてコツコツと努力を重ねて認めてもらえたからこそ、
選手たちは己の追求するプレーをコートで表現していけるのだ。
― 試合を終えて、どんな気持ちですか。
「この1試合だけを考えたらやりきれない部分がありますが、この4年間を通して考えたら、やりきったというか、いい経験ができたなということは感じます」
― この大学最後の1年はどんな1年だったでしょう。
「この1年間は4年間の中でも比べても特に、バスケットをしていて楽しかったですね。それは間違いなく英士(柴山監督)さんのおかげだと思います。ある程度は自由にやらせてもらえて、明星大のスタイルを求める中で、自分たちの力を信じて1on1をやらせてもらえました。そこにすごく誇りを感じています。それで結果を出せなかった自分たちを悔いてはいますが、それでもこのスタイルを貫いてやったことは良かったと思っています」
― 攻撃面では、岡田選手と加藤選手、2人のガードがチームを引っ張りましたね。
「去年から出ているメンバーとして、チームを勝たせる責任を一番感じていました。泰希(岡田)がキャプテンですが、自分もキャプテンのつもりでチームにいろいろ声をかけたりしていたので、その分思い入れも強いです。でもやはり悔しいですね」
自分自身が見せてきた4年間こそが、後輩へのメッセージ
コート上では強気なプレースタイルが光る一方、
インタビューでの受け答えは謙虚、しかしバスケットへの熱い想いがあふれる。
明星大のバスケを見て素直に面白いと感じ、飛び込んだ。
簡単には出られない中、仲間に負けたくないという思いで努力を重ね、
3年次に頭角を現すと、
最終学年となった今季は司令塔として攻撃起点となり、
チームをリードする選手にまで成長した。
そしてこの先も、己のスタイルにこだわり、さらなる上を目指していく。
― 明星大で昨年から頭角を現しましたが、この大学を選んだ理由は。
「このスタイルでバスケットをやりたいという一心でした。縁もゆかりもない大学だったんですけれども、高校3年で大学選びを考える時に、ドリブルで1対1をする大学があるよと先輩から聞いて、それで調べて面白いバスケットをするチームだなと。高校時代はほぼワンマンチームに近い状態でやっていましたが、ドライブにこだわりを持っていたので自分にぴったりだなと思ってここに来たんです」
― 大学で刺激になった選手は?岡田選手には負けたくないということを以前おっしゃっていたと思います。
「1年のときから、晃平(#10福田)とか泰希とか、刺激になるような選手がいたので、いつか追い抜いてやろうっていう気持ちで4年間やってきました。最後は主力っていうか、そういうところまで上がれたのは、自分としてはいい経験だったなと思います。(岡田と)2人いてこそと言われると嬉しいです」
― 加藤選手がドライブで、岡田選手がアウトサイドでというプレーには、多くの人がワクワクしたと思います。この先もバスケットを続けられると思いますが、どんなプレイヤーになりたいですか。
「このプレースタイルだけではBリーグの壁は大きいと思うので、バスケIQ、頭脳の部分でも成長させなきゃいけないことは感じています。でもそれでも、この4年間で培ってきた自分のプレースタイルのこだわりっていうものは曲げないというか、絶対に持ち続けていきたいです。そうじゃないと選手としての面白みっていうか、価値がなくなっていくと思うんです。B1という場所やすごい監督という前でも、他の部分は従っても、自分の信念である1対1については、常に曲げないようにこれからやっていきたいです」
― ぜひ、らしさを強みにして頑張ってください。後輩に伝えることは。
「最後はカッコいい背中で語りたかったんですが、でもこの4年間が後輩のメッセージになっていると思います。それを信じています。英士さんのスタイルを体現することは簡単ではないと思うんですが、懸命に努めていけば必ず誇れると思うので、それをやってほしいです」