【2021リーグ/インカレチャレンジマッチインタビュー】「29番という背中を後輩が受け継いでくれたら、という気持ちでやりきった」明星大#29岡田泰希(11/11)

2021関東リーグ

「4年間の想いがあふれた」という涙のラストシーン

2部3位でチャレンジマッチに挑んだ明星大。
強いディフェンスを武器にする青山学院大に対し、立ち上がりから簡単には得点できない時間帯が続き、92-78で敗退となった。
昨年に引き続いてインカレに出場するという野望は、ここで潰え、
試合を終えた主将の#29岡田(4年・SG)の目には、涙が浮かんでいた。

岡田は、当代でもっともシュートの上手い選手の一人、といっても過言ではないだろう。
明星大の選手のほとんどが、ノーマークでは高確率にスリーポイントを決めてくる。
しかし岡田の勝負強さは別格のものがある。
このリーグ戦では常にマンマークを受ける状態で、
ノーマークでシュートを打てるシーンはほとんどなかった。
しかしそれでもなんとかチャンスを作り、数多くのシュートを沈めてきた。

そして自分のやるべきこととしてシュートを打ち続けた結果、
4年間で3度、2部のスリーポイント王に輝いた。
チャレンジマッチでは、1部リーグスリーポイント王となった青山学院大の#10槇野(2年・SG)との決め合いとなるシーンも見せた。
槇野が5本を、そして岡田は9本、実に50%の確率でスリーポイントを沈め、
明星大学のキャプテンナンバー「29」の凄さを伝えてくれた。

29番の背中はこれ以上なく頼もしく、また大きく輝いていた。

― 試合を終えたあと、柴山監督が「岡田が泣いているのは初めて見た」と驚いていました。どのような気持ちだったのでしょう。

「これまで泣いたことはなかったですね。でも4年間ずっと試合に出てきたので、こみ上げるものがありました。1年生のときから重要な役割をやらせてもらって、最後はめちゃくちゃ悔しい結果になったんですが、あの瞬間には4年間の想いがありました」

― 今年は主将としてチームを背負いましたが、これまで以上に簡単に打たせてもらえない1年だったのではないでしょうか。

「ほとんどフリーでスリーを打てませんでしたね。だからいろいろ考えました。ドリブルをして、どうズレを作って自分のスリーを打てるかということを、学生コーチの(菊地)敦友と一緒に考えて取り組んだ1年でした」

― ほとんどがボックスワンでマークされる状態でしたが、それでも常に得点を取り続けていたのはさすがでした。年々シュートの凄みも増しましたが、練習を重ねたこともあったからでしょうか。

「この身長(177cm)で点を取っていくとなると、外のスリーポイントになると思ってやってきました。その結果、4年間で3回スリーポイント王になることもできました。それについては次のステージにも自信を持って挑戦できるのかなと思います」

― 本当にシュートが上手い選手だと何度も唸らされました。スリーを入れるにはコツはありますか?

「よくシュートフォームとか、どう打っているのかと聞かれますけど、自分はシュートフォームとかは気にしていなくて、感覚です。言葉で説明はあまりできないですね(笑)。シューティングも数を打つこともあれば、感覚をつかんで短時間で終わらせる時もあるし、人に伝えられるようなものではないかなと」

仲間が支えてくれたからこその活躍、自分が見せたのは背中

シュートだけではなく、1対1を磨くことで自分の武器が増える。
そう信じて、明星大を選び、挑戦を続けてきた。
アウトサイド以外に、ドライブでも得点できるスキルをこうして磨き上げてきた。
明星大学のキャプテンナンバーは代々「29」。
その番号が輝くほど、チームは強くなる。
だが、一人で輝けるわけではない。仲間がいてこそ、光は強くなる。
そんな信頼できる仲間と出会い、共に歩んだ4年間でもあった。

― そこが岡田選手のセンスという部分なのでしょうね。明星大でのバスケはいかがでしたか?

「大学を選ぶときは、1部という選択肢もあったんですが、明星のバスケを見てすごく面白いと思いました。そこで1対1のスキルなどを4年間で磨いていけば、自分にとってもプラスになるのかなと感じました。あとは入ってから頑張ってプレータイムを自分で掴み取っていこうと思っていましたが、1年のときから重要な仕事を任せてもらって感謝しています」

― この4年間を振り返ると、チームも岡田選手もさらに大きくなったなという印象を受けます。1年次はチームとしても2部に上がったばかりで(2018年より2部)、体力面でも戦うのが困難そうでした。

「体力についていえば、自分は少しディフェンス面では人に頼っていて、やるときにやるという感じでした(苦笑)。そこで助けてくれていたのが、晃平(#10福田)です。ディフェンスでは彼がめちゃくちゃ自分のカバーをして、負担を減らしてくれていました。彼がこの4年間で自分を支えてくれていたし、自分が活躍できたのは彼を含めたチームのおかげだと思っています」

チャレンジマッチ試合終盤、仲間たちと笑い合うシーンもあった。

― 同期の4年生に対してはどんな思いがありますか?

「1年生のときから試合に出ているメンバーが多くて、最後も全員出られたのは良かったです。自分はキャプテンだったんですが、キャプテンらしいことができたかというと、そこはできているとはいえなくて、4年生全員でチームを作り上げているというか、助けてもらいました。もうそこは感謝しかないです。自分の役割としてはまとめるというよりは、背中でプレーを見せようと意識していましたが、晃平がコミュニケーションを取ってくれて、チームがまとまりましたね」

― 明星大学の代々のキャプテンナンバーである「29番をつける意味はわかっている」と言っていましたが、それを体現できたと思いますか?

「勝たせてやれなかったという点については、自分の役割を果たせたとはいえません。しかしこの29番という背中を後輩が受け継いでくれたら、という気持ちでやることをやったし、やりきれたとも感じています」

― 後輩にはどんなことを伝えたいですか?

「来年はコーチ陣に今年よりもっとドライブをしようといわれると思います。明星のスタイルというものをもっともっと追求して欲しいし、そこでレベルを上げてやっていって欲しいですね」

●2018-2021リーグ戦個人結果

【2021/2部リーグ】
スリーポイント   1位       50本
ポイント              2位       263点

【2020/オータムカップ】
スリーポイント   1位       18本
ポイント              1位       87点

【2019/2部リーグ】
スリーポイント   3位       65本

【2018年/2部リーグ】
スリーポイント   1位       62本

まだ線の細さが見える1年次のリーグ。ここからチームのエースとして大きな成長を遂げた。
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