3勝8敗、9位でリーグ戦を終えた早稲田大。リーグ序盤に1勝したあとは低空飛行が続いたが、終盤に向けてやや調子が上向いた様子が見られた。第10戦では大東文化大を撃破。#12土家(3年・G)は「チームとして徹底すべきところを徹底するということと、ディフェンスの強度を40分通して保ち続けたところがよかった」と評価した。
それまでのチームはどこか受け身で、相手に合わせているような部分も見えていた。
「オフェンスでリードしている時は、受け身になってしまったり、試合の入りが悪いことが今までの課題でした。大東文化大との試合では1Qに7-21とリードして最初からいい流れで試合を展開できたことと、リードしている間もディフェンスの強度を上げ、オフェンスでしっかり走ることができたところが、これまでとは違う内容だったと思います」
最終戦でそれがたまたまできたわけではない、ということも最終戦の青山学院大戦できちんと証明した。1Qでつけた8点の差を、途中で追い上げられつつも、ほぼ守る形で勝利したからだ。自分たちのするべきバスケを遂行して大会を終えられたということは、続くチャレンジマッチでも自信になるに違いない。
このリーグ戦では怪我人が相次いだチームがあるが、早稲田大もその一つで、それが苦戦の大きな理由でもある。主将の#8津田(4年・PF)は緒戦で離脱して今期は絶望、その後も#13星川(2年・SF)が頭部を強打、#7宮本(4年・CF)も数試合をベンチで過ごした。#12土家はその中でスタメンとして黙々と出場し続け、得点面でチームを引っ張っていた。元々チームの得点源ではあるが、結果的に得点ランキングは4位、スリーポイントでは6位と、チームの数字を牽引する形となった。
「リーグ戦が始まる前と、始まった後のメンバーでは、怪我人のせいでかなり構成が変わってしまいました。そのせいで噛み合わず、チームとしてディフェンスの強度を上げきれない部分がありました。ただ、試合を重ねるごとにみんなが慣れてきて、第8戦となる東海大の前半戦のあたり(1Qは15-21とリード)は、チームとしても良い部分を出せたと思います。その後も終盤の試合では結果を出せたので、苦しかったけれども非常にチームとして成長を感じています」
ただし、土家自身も心身ともに苦しかったことを打ち明ける。
「5試合目の白鴎大戦の前あたりは、僕以外の主力メンバーが全員怪我をしてしまい、自分が引っ張るしかない状況になりました。自分自身もいつもどこかしら痛い状況ではあるんですが、そこはもう上級生として腹をくくってやろうという気持ちでした。ただ、チームとしては、リーグ戦の前は調子がよかったんです。東海大との練習試合でも接戦で、残り数分まで競り合ってかなり手応えを感じていました。だから本番のリーグ戦になって怪我人がここまで出たのは、予想外だし悔しかったですが、そのぶんチームで頑張ろうと結束を意識してやってきました」
2戦目以降欠場となった主将の津田には、こんなことをいわれているという。
「津田さんには『自分が抜けるから、自分のために頑張ろうするのは違う』といわれました。怪我をした主将のためではなく、チームが掲げたスローガンを達成するために、頑張ってくれといわれています。津田さんは、『自分は怪我をして、もう学生としてバスケットはできないけれど、キャプテンとして4年生として、チームに貢献をするし、サポートするから、お前たちはスローガンを達成するためにやってほしい』と望んでいます。僕らはそのためにプレーするだけです」
そのスローガンとは「チームで戦って、チームで負ける」というものだ。
勝つ時も、負ける時も、チームが一体となることが、今年の早稲田大の目標だ。ベンチでチームに声をかけ続けている津田を見ると、コートに立つことはできなくても、彼自身がチームの一部として戦っていることがわかる。土家たちプレイヤーはその意志を汲んで、みんなで一つの想いを胸に、戦いに向かっていかなくてはならない。
「チームで戦うということを、ここまでやってきたつもりです。そして最終的な目標はインカレ優勝、日本一になること。まだチャレンジマッチという壁はありますが、それをしっかり越えて、インカレの切符を掴み取り、スローガンを達成したいと思います」
あくまで体現するのは、“チーム早稲田”だ。
それを全員で実現するために、まだ戦いは続く。