有力選手を多く抱え期待された筑波大だったが、このリーグ戦はアクシデントが続く苦難の多い1ヶ月となった。
主力に怪我が相次ぎ、序盤から少しずつ欠けていった選手たちは最終的には#2木林(2年・C)、#92中田(3年・PG)、#11横地(2年・SF)、#75井上(4年・C)、#85藤村(3年・C)と5人。吉田監督も「2m級がどんどんいなくなる」と頭を抱える状態に陥る。終盤は1年生にも多くのプレータイムを与える状態となり、結果的に最後の4試合は白鴎大、東海大、日本大、そして最終戦の日本体育大には延長戦の末に敗れ、4連敗。リーグ6位で大会を終えることになった。
スターティングガードの中田が欠場した後、スタメンに入った#21笹山(3年・SG)は「チームとしての対応力が足りなかった」と状況を語る。
「リーグ戦は短期間のうちにたくさんの試合が行われるので、途中で疲れが出てきます。そこで怪我が増えてしまいました。しかしチームのアクシデントが起きたときに、それに対しての対応力というのが今のうちのチームにはない、というのが見えたリーグ戦だったと思います。また、自分たちのプレーに相手チームが対応してきた時にも、その対応力というものができていませんでした。まだまだだったなと思います」
将来有望な世代別代表選手が多く、能力も高さも十分といわれるが、それでも春はU19の代表活動で1年や2年生たちが不在となり、夏は新型コロナウイルス第5波の影響もあって、チーム作りという意味では今季はかなり時間が足りなかったともいえるだろう。短期決戦のトーナメントでは戦力が少ない状態でも3位に食い込んだが、リーグの長丁場ではやはり難しいことが露呈した。
ただそれでも、チームとしては最善を目指すことが求められる。笹山は個人としてハッスルするという部分を大事に考えているという。
「自分がスタメンとしてやらせてもらっている以上は、自分が声を出してハッスルする部分を率先してやっていこうと思っていました。プレーとしては、自分はもともとシュートを得意としているので、宗一郎さん(#75井上)がいなくなったあとは、自分も得点源として積極的に狙っていこうとしていました」
ハーフタイムや試合の合間などにはチームメイトと言葉を交わすシーンも見られたが、それもガードには欠かせないコミュニケーションだ。
「自分がガードという立場にあることだし、今のチームだと1年生や2年生が多く出ていますが、自分自身のことでいっぱいいっぱいになっている選手が多い状態です。だからこそ声かけというのは重要だと思うし、チームのことにフォーカスして、全員でコミュニケーションをとってやっていかなければならないと考えています」
とはいえ、1年生にはU19の代表が3名(#2木林、#31小川、#28浅井英矢)もおり、#19間山(1年・PF・福大大濠)も上級生の欠場が増えていく中、多くの試合経験を積んだ。この先はのびしろしかない状況ではある。
「1年生たちはみんな、充分大学で通用する選手たちです。今回は難しかったけれど、誰もがインカレでは勝負に絡むメンバーだし、ここから練習でもコミュニケーションを取ってやっていきたいですね」
インカレまで時間はないが課題はディフェンスだ。
「東海大と日本大、他にもうちが負けた白鴎大と専修大、そして今日は日本体育大にも負けましたが、これらの上位のチームはやっぱりディフェンス面がしっかりしています。特に、昨日の日本大戦ではそれがはっきり見えたゲームになったと思います。チームディフェンスという面では自分たちはまだまだで、相手の方が上回っていたと思うので、インカレまで短期間ですが、チームとしてディフェンスの質というのを、全員でコミュニケーションをとって上げられるようにやっていきたいです」
ディフェンス面の連携作りには時間がかかるものだが、チームとしてどこまで高められるかが鍵の一つだ。そして、奮闘している4年と下級生との間をつなぐ意味でも、笹山ら3年生の働きは重要になる。
「現状では4年生3人の負担がとても大きくなっていると思います。4年生はすごく働いてハッスルしてくれていると思うので、自分を含め3年生や下級生がもっとサポートして、インカレは4年生にいい思いをさせられればと思います」
元来、スロースターター気味の筑波大は、1年間でインカレに向かって仕上がっていくチームでもある。課題の多いリーグ戦にはなったが、ここからの巻き返しこそ、彼らの真骨頂。怪我人も戻って本領発揮となるか、インカレに期待がかかる。