中央大は最終の第11戦で神奈川大戦に勝利して6勝5敗、7位でリーグ戦を終えた。
今大会、選手たちからは “手応え”を感じているというコメントが折に触れて聞かれたが、後半に向かって調子を上げ、第8戦の大東文化大、第9戦の白鴎大といったディフェンスの強いチームを破る印象的な試合を連発して調子を上げていった。
チームを牽引したエースの#21渡部(3年・F)も他メンバー同様、手応えを感じている。
「トーナメントではベスト8に入れず、悔しい思いをしました。しかしリーグ戦では格上の大東文化大や白鴎大に、自分たちのバスケットで勝ちきれました。それ以外にも早稲田大、青山学院大、拓殖大、神奈川大相手に自分たちのバスケで勝利して、中央大としては本当に久しぶりに1部リーグで勝ち越しができたので、チームとしても個人としても嬉しい結果です」
手ごたえを感じたのは、リーグの最初からだという。
「1試合目は日本大、次に東海大と対戦しました。勝つことはできませんでしたが、自分たちとしては、やりたいバスケットができているという感覚でした。ただ、最後の4クォーターとかになると、経験の差で負けるといった部分があったと思います。でも最初の2試合で自分たちがやれるんだ、ということにはみんな気づけていたんじゃないかと思います」
確かに第1戦、第2戦こそ結果につながらなかったが、第3戦の青山学院大戦で初勝利を挙げた試合は、アグレッシブな中央大の良さに溢れ、その後もその長所を随所に発揮する試合が続いた。筑波大や専修大といった全体的にサイズの大きな相手には苦戦し、第7戦の日本体育大戦は最後の最後に競り負けたが、翌日にはそれを引きずらず、大東文化大を撃破すると、その勢いを持続して終盤は4連勝でリーグ戦を締めくくるという流れも悪くなかった。
選手個々にそれぞれ良いプレーが見られた中央大だが、今リーグの渡部は昨年以上の存在感だった。特に勝負どころの1本は必ず彼が決めたといっていいくらいで、個人ランキングでは得点で2位、スリーポイントで3位に食い込み、その貢献度が数字からもわかる。またチームへ声かけをするシーンも目立ち、精神的な成長も見え、頼もしい限りだった。
「自分がエースとして、最後にシュート打て、ボールを持て、と昨年からチームにいい続けてもらっています。このリーグ戦は、そうした場面で結果を出すことができました。今年は自分がエースなんだという意識をしっかり持ってプレーしています。上級生としての責任はもちろん、自分がチームの顔だと思っています」
声かけについても、「フラストレーションが溜まった時など、まだまだだと思うところもある」としつつ、それでもチームファーストでチームメイトに声をかけることを意識し、責任を果たそうとしているのだという。渡部がエースだとチームが昨年から盛り上げ続け、本人の意識も育ってきたことが、リーグでのさまざまなビッグプレーにつながっていることがわかるコメントだ。
それと同時に、この春にBリーグの特別指定として秋田でのプレーを経験したことも渡部の意識を変えた。「秋田では自分にできることやできないことを認識し、考えて練習することができた」のが収穫だったという。
トーナメントではそれを結果につなげることができなかったが、リーグ戦では#2内尾(2年・SF)や#15町井(4年・SG)をはじめ、チームメイトたちが個々の仕事を果たし、チームとして戦う形ができた。その上で渡部のシュートが最後の武器となり、総合力として6つの白星をもぎ取ったことが、何よりも大きいかもしれない。
インカレに向けても、引き続き継続が大事だ。
「チームの目標はベスト4、そしてさらに上の優勝までいければというのはありますが、まずはベスト8で強いチームと戦うことになります。自分たちのバスケットをするということをぶらさないで、やり続けたいと思います」
リーグ戦で獲得したものをチームとしてしっかり発揮する、それが中央大にとってすべきことであり、昨年から土台作りをしてきたチームにさらに厚みを加えることになる。渡部の仕事もこれまでと変わらない。そして勝負どころがやってきた時は、彼が最上級のプライドを見せる時だ。
「最後は自分がシュートを決めきりたいと思います」
己のプレーで勝利を決める。エースとして強い意志を持って、渡部はチームと共に次の戦いに臨む。