10/19で6試合を終え、この時点で日本体育大は4勝2敗。勝敗では白鴎大と同率にあり、上位を伺う位置にある。今季はトーナメントからチームの良さが出ている試合が多く、勢いあるチームの一つだ。その中で主力として長時間のプレータイムを得ている日本体育大の#31青木(3年・SF)は、黙々と自分のプレーに徹している。毎試合派手な活躍をするわけではないが、真摯な努力家である面はプレーや言動からも伝わってくる。
「自分はオフェンスで個人技が上手いとか、シュートがものすごく入るとか、飛び抜けて長けているところはありません。だからディフェンスやリバウンド、スタッツに残らないところで貢献できればいいと思っています」
今期のチームとしての好調ぶり、その中での3年目の成長について問うと、そんな謙虚な答えが返ってきた。スタッツに残らない仕事、特に悪い時間帯を乗り切るためにディフェンスでの貢献は欠かせない。青木自身、学年が上がるにつれて守る力がついてきている感覚はあるようだ。
「高校時代からディフェンスができないと試合には出してもらえなかったので、意識してやってきた部分ではあるんですが、それは大学に入ってからもずっと変わりません。ただ、1年生の頃は身体もできていなかったし、自分より大きな相手に対して上手くディフェンスできない状態でした。3年になってプレータイムが伸び、身体もできてきて一線のディフェンスとか、ファイトオーバー、身体をぶつけて守るということができるようになってきたかなと思います」
入学時から10キロ増量したという身体つきから、ここまでの努力が伺える。青木には高校時代から磨いてきたシュート力もあるが、チームには得点力の高い選手は多く、#28井手(4年・PG)や#23小川(2年・PG)、ウイングの片方には#1古橋(3年・SF)、センターには3枚の留学生もいる。そういった選手層の中で、自分に何が必要なのかを考える思考や、どんな仕事でも懸命にやろうとする真面目な性格が、今のプレーを形作っているのだろう。第4戦の大東文化大戦では終盤に競り合いとなった中、青木のスティールがチームに勝利を呼び込んだが、想いが凝縮されたような働きでもあったが、それでも答えはやはり控えめだ。
「大東文化大戦は出だしから個人的にはシュートが入らず、ディフェンスやリバウンドで貢献しないといけない内容でした。我慢の時間帯が続いていましたが、ベンチから出る人がすぐにスリーを決めてくれたりして、チームの力で勝てた試合だと思います」
このリーグ戦、勝利した試合はチームカラーが発揮され、アタックし続ける姿勢と走る形が徹底されていた。また、1敗目の専修大戦は競り合った末の敗戦となり「最後に走られてしまった」と反省する内容だった。2敗目の白鴎大戦は後半にチームとしてやりたいようなプレーをさせてもらえず、終盤は僅差の勝負に持ち込むが、悔しい敗戦に。青木も厳しい表情でコートを去った。ただ、2試合とも接戦だったということは、チーム力自体に大きな差がないということで、こうしたわずかな部分をどう乗り越えていくかがこの先は問われる。
「日体大は全体的にサイズがないので、相手より走力で上回らないと勝てません。自分は福岡第一出身のガードたちに合わせることを意識しています。個人的にはバスケの個人技でチームを引っ張る力はまだないと思います。でもコートに出ているときの声や、ハードなディフェンスを見せて、周りをついてこさせられるようになるといいなと思って、これからもやっていきます」
口ぶりは謙虚だが、内に秘めるものは熱い。献身的にチームのためにプレーするその姿はこの先も必見だ。