攻守で数字を叩き出す#13本多ほか、コートでは下級生が躍動
9/25の時点で開幕から順調に4試合をこなした国士舘大は、駒澤大、江戸川大、そして3戦目では昨年オータムカップ2部優勝の法政大を下すと、4戦目では順天堂大に勝利。ここまで連勝街道を歩んでいる。
今季のチームの特徴は、4年生がチームと軸となりつつも、コートでは主に下級生が主体。誰が主役というよりは数多くの選手が出場し、それぞれのプレーを披露している。春のトーナメントでもいいプレーを見せていた#90渡久地(1年・PG・豊見城)をはじめ、#88大迫(1年・SG・豊浦)、#92大滝(1年・SF・正智深谷)、#91田口(1年・F・松本第一)といったルーキー、#7樋口(2年・PG)、#10ダンテ(2年・C)、#18上條(2年・F)など、1、2年を中心にはつらつとしたプレーを見せている。
そして、192cmのサイズを活かしつつ、得点でもリバウンドでも貢献しているのが#13本多(3年・PF)だ。法政大戦では3Qに失速して追いつかれそうになるが、4Qでは本多が積極的に攻めて、再び引き離すのに一役かった。この試合では23点9リバウンド。それ以外の試合でも3試合で得点とリバウンドのダブル・ダブルの活躍を見せている。
下級生が主体だからこそ、本多の頑張りが必要なのが今年のチームでもある。
「自分は1年のときに少しだけリーグ戦を経験しましたが、1、2年はリーグ戦というもの自体が初めて。だから自分が積極的に声を出すことが大事です。それが引っ張ることにつながります。得点も大事だけど、リバウンドも頑張ろうとしています」
ディフェンスやリバウンドを頑張ることをチームとして掲げて、それを遂行しようとしているが、得点力で見せる場面は多い。ドライブはもちろん、ペリメーターのシュートは柔らかく、上手い。しかも外のシュートは大学に入って身につけたという。大学で新たな武器を手に入れたというのは頼もしい。
「高校時代はゴール下のプレーばかりで、シュートが上手い選手ではなかったです。大学に入ってスリーポイントやペリメーターでのシュートを打ち始めました。今はいい感じで入ります」
内外できるオールラウンドなプレーで、チームを大いに盛り上げて欲しい。
昨年、国士舘大はオータムカップでチャレンジマッチの挑戦権を手にしながら、試合前日に急遽辞退となってしまった。今年誰もが胸に期するのは、昨年の4年生の分も、ということだ。
「昨年は突然のことで、自分が試合をできないというより、キャプテンだった仁村さんをはじめ、4年生のことを思うとつらい気持ちでいっぱいでした。チームのみんなもそうだと思います。だから今年は仁村さんたちの分まで頑張ろう、そういう気持ちが強いんです」
インカレ出場のチャンスを絶たれてしまった無念を晴らす。コートでもベンチでも、その思いが今季のチーム最大の原動力になっている。
自覚して一人ひとりが細部まで詰めきれるチームに ─松島アシスタントコーチの想い
また、昨年からベンチに入る松島アシスタントコーチも、勝利の重要なファクターだ。Bリーグの北海道では多くの人に愛されたが、今は影に日向にチームを支える。試合中はコートに向けて常にプレーの指示を飛ばし、またいいプレーが出れば、大きなリアクションでチームを盛り上げる。練習は小倉監督が指揮し、松島コーチは選手個々への技術的なアドバイス、またメンタル的なサポートを行っている。春の時点で話を聞いた際は、学生にもっと自覚を持って欲しいと感じている様子だった。
「自分が学生で主将だったときは、自分がかなりピリピリしていたこともあって、緊張感がありました。昨年国士舘に戻ってきて感じたのは、その頃に比べると学生たちが自分たち自身で厳しく追求しきれていないなという部分でしたね。でも最近は4年がしっかりしてきて、そこに下級生がついていくようになってきました。でももっともっと、という思いは強いです」
彼はかつて、主将として国士舘大を1部に導いた立役者だ。2部リーグ、そして入れ替え戦では熾烈な戦いを勝ちきり、現在B1の千葉で活躍する原らとチームを引っ張った。そこには勝つため、1部に上がるために何が必要か考え続けた姿勢があった。試合にはチームの誰よりも早く会場に来て、最後まで他チームの試合を見て帰っていたが、何かを学び取ろうと必死となっていたからだ。そしてそれは今も変わらない。本多によると「今も一番早く体育館に来ているのは松島さん」であり、だからこそ士気が上がるという。身近だからこそ、プレーのアドバイスも得やすい。
しかし、松島コーチが目指すのはあくまで学生の自発的な成長だ。
「学生スポーツは学生自身が考えてやらないといけません。僕が言ってチームが変わるぐらいなら意味がない。コートでの結果につながらないと思っています。だから選手には僕に言われている間はダメだと気づいて欲しいですね。目指すインカレ出場、1部昇格には一人ひとりが詰めの甘さを自覚し、誰かじゃなくて、それぞれの選手が自分で決めきる気持ちを持つことが必要です。そうじゃなければ1部のチームには勝てない。一つひとつの積み重ねを40分通して行っていくことを、国士舘のバスケットに求めたいと思っています。そのためには全員が同じ方向を向き、そして4年生の気持ちにしっかりとついていって欲しいですね」
松島コーチの思いを、チームは本当の意味でつかめるのか。それはこの先の戦いが結果で示してくれるだろう。