リーグ後半戦に入り、目立って調子が上がってきたのが中央大だ。第7戦は日本体育大と競り合ったのちに1点差で試合を落とすが、第8戦で大東文化大に完全勝利を収め、続けて第9戦では3位につける勝負強い白鴎大を、逆転で下す金星を挙げた。
エースの#21渡部(3年・F)が安定して活躍しているのと同時に、欠かせない働きをしているのが#2内尾(2年・SF)だ。一試合平均約25分の出場となっているが、大東文化大戦では13点、白鴎大戦では16得点。特に勝負の4Qは20点のうち、エースの渡部と内尾がほとんどを稼ぎ、勝負どころの大事なスリーポイントを内尾が決めた。
「自分自身、前半はあまりチームに貢献できませんでしたが、その分セカンドメンバー、みんなが繋いでくれました。チーム全員で掴んだ勝利だと思います。後半、4年生だったり上級生だったりが『まだこれからだぞ』『自分たちのやることをやろう』と声かけをしてくれました。下級生がそこにしっかり乗っかるということができたので、チームとして良い雰囲気でできたのではないかと思います」
リーグ序盤から、惜しい試合がいくつかあった中央大。しかし、それで終わってはいけないことをチーム全体で意識統一し、後半戦にかけて結果を出せる試合が増えてきた。とくに、東海大を倒した大東文化大、そして筑波大を倒した白鴎大を倒したこの2連勝は大きい。
「今まで上位チームと戦って『いい試合だったね』で終わることが3回、4回ありました。チームでそれじゃあだめだよね、ということをミーティングでも話してきましたが、この2戦で勝ち切ることをしっかり体現できました。良い流れでインカレにもつなげることができます」
このリーグでの内尾の存在感は、現時点ではエースの渡部に次ぐほどに大きい印象がある。
中央大は渡部と両エースと称される#28濱野(3年・SF)がトーナメントに続いてリーグ前半も欠場(※第8戦で復帰)、期待のルーキー#13小川(1年・SG・北陸)も同様に怪我をしたこともあり、必然的に内尾の出番が増えることになった。しかしそれに見事に応え、ほとんどの試合で安定して2桁得点を叩き出す働きぶりを見せている。動きがしなやかで、一歩が大きいため、ビッグマンがひしめくペイント内にするりと入り込んで決めるレイアップは必見だ。中央大の早いトランジションも、高校時代の経験が活きているだろう。
「もう一人のエースの濱野さんが怪我をしてしまって、誰かがステップアップする必要があり、去年から出ている自分が役目を果たさないといけないということは分かっていました。シーズンの初めはミスも凄く多くて、チームに迷惑をかけたんです。でも4年生が『やれ、やれ』と声をかけてくれて、まだ2年生だから責任を負わなくてもいいよと言ってくれるので、非常にやりやすい環境でやらせてもらっています」
チームの先輩や環境が、内尾をのびのびとプレーさせていることで、発揮されているものが多いようだ。福岡第一時代は、どちらかといえばディフェンダーという印象だった。河村(東海大#5)や小川(日本体育大#23)のツーガードや、スティーブ(専修大#13)など、目を引くメンバーの中で、ディフェンスで見せる仕事人といった風情だ。しかし、得点力の片鱗はあった。中央大の1年目はスポットでの登場だったが、ディフェンスだけではなく、オフェンスでも内尾が目立つ瞬間はたびたび見られた。それが今は長時間のプレータイプを得て、「自分自身も責任感が芽生えた」という状況になり、伸びやかなオフェンスにつながっているのだろう。
しかし自分自身ではまだまだ、という。
「まだ自分にはそこまで力がないと思います。これから上手い選手からたくさん学べる機会があるので、しっかりプレーしながらどんどん上手くなって、自分が4年になった時にはチームの引っ張れるような選手になっていたらいいなと思っています」
リーグ戦は残り2試合、この調子でチームとして結果を出していきたい。
「チームでまずスカウティングをするので、それを徹底してプレーするのと、ボールを長時間持つということは、チームにとって大事な部分を任されているということなので、そこでいらないミスをしないで、チームを良い流れに持っていけるようにしたいです。でも良い選手がいっぱいいるので、自分だけがということはないです。みんなで高め合いながら後2つ絶対勝って、インカレにいい調子で行けるように頑張りたいです」
この先どんな試合を展開するか、中央大と内尾のプレーに最後まで注目だ。