今シーズンの関東1部は例年以上に力の差がなく、多くのチームが1試合ごとに一喜一憂する状態が続く。大東文化大もその一つで、日本体育大や東海大を倒すいい試合をしたかと思えば、思わぬ敗戦もあって波のある状態が続いている。
チームは有望な下級生が多く、ベンチの層は厚い。4年生で主将を務める小田に、もがきつつ進むチームの現状と自身の目標について話を聞いた。
リーグ開始前では怪我人だらけでも前向きに準備―連敗からの立て直し
リーグ戦までの準備について、「怪我人もたくさんいて、ギリギリまで全員が集まる練習ができていませんでした」と明かす。それでも「自分たちの強みは誰が出ても全員、バスケットの質が落ちないというところです。怪我をしている選手がいても、戻ってきたらチームにプラスアルファされると考えてやっていこうという話をしていました。だからリーグ戦についての準備はちゃんとやってきていたといえます」と、マイナス面があっても前向きに夏を過ごしてきたという。
開幕は2連敗で入ったが、「2つとも勝てる試合だったと思う」と悔しさをにじませつつも、「リーグ戦は負ける試合もあるもの。しっかり次に切り替えて、一つひとつレベルアップしていこうという意識は共有されていたので、全員で声をかけ合って、みんなが下を向かなかった」と振り返る。2連敗のあとは立て直して少しずつ調子を上げている様子が伺えたが、それは「試合を重ねて全員のレベルが一つずつ上がっていったんだと思う」と分析する。
チームとしても成長の手応えがあったのは、8戦(9/12)の日本体育大戦と9戦(9/13)の東海大戦だろう。ここで上位の2チームの撃破に成功したが、生き生きとチーム全員が躍動した。特に東海大戦については、立ち上がりこそ東海大の調子の良さが見えたが、その後は大東文化大ペースとなった。「全員の役割がはっきりしていて、ダメな時間帯も誰もヘッドダウンしてなくて、全員が声をかけ合っていたところが勝利につながった」と語る。

大東文化大は今年、試合で使われる人数もかなり多いが、大事にしているのは“チームで勝つ”ことだ。タイムシェアは体力的負担こそ減るが、プレータイムを分け合うことになり、「もっと出たい」というフラストレーションが溜まることも珍しくない。その点については「出たいという気持ちは多分全員強い」とした上で、「リーグ始まる前にそういう考え方はやめようと。出た時にしっかり仕事して、出られなくてもチームとして応援して一つにまとまってやろうとみんなで確認した」と明かす。「その上でみんながチームを鼓舞することができているので、そこはいい状態」だという。
上位チームを倒して好調を維持したかったところだが、その後はそううまくはいかず、再び勝ちと負けを繰り返している。今季はチーム同士の実力差が少ないため、ちょっとした差も大きくなって跳ね返ってくる。勝率は5割を行ったり来たりしているが、順位は真ん中より下という状態が続く。さまざまな課題をチームとしてどう乗り越えて成長するのか、試合を重ねながら探し、一つでも上を狙いたい。

絶対いつか出番が来る―先輩から受け取った言葉を次へつなぐ
小田は今年主将を務めるが、ベンチを離れて苦しんだ時期がある。「3年生の時のリーグ戦はスタートメンバーとして使ってもらっていたんですが、2巡目からはなかなか出られる機会がなくて」と当時を振り返る。そんな時、当時の4年生の先輩からかけられた言葉が心に残っている。
「出られないのは自分だけの理由じゃないし、絶対いつか出番が来るから。それまでしっかり自主練も頑張って準備をしよう。悪くて出られないということじゃなくて、みんながいいから誰を使おうか、迷っていることもあると思うから」そんな声かけだった。
ポジティブな捉え方の言葉に「本当にそうだな、今はまさにそうだなと思って練習を頑張ってきましたし、出たがっているけど出番がないという選手には先輩がしてくれた話を自分からもしていました」という。受け取った言葉を次の世代に伝えていく姿勢が、今のチームの一体感を生んでいる。
特に今季は主将としてチームの手本にならないといけない立場だ。「目に見えるところで、この人についていきたいと思われるようなプレーをすることを心がけています。ディフェンスとか声を出すとかが自分の持ち味だし、やるべきことですが、常に声をかけることはかなり意識しています」と語る。主将になってからの変化があるかどうかについては「すごく変わりましたね。当たり前のことなんですけど、人間的な部分、感謝とか挨拶とかコミュニケーションなんかをものすごく取るようになりました」。主将の存在はチームの核だ。組織の上に立つことで視野が広がり、チームをうまく回していくためにプレー以外にもたくさん必要なことがあると4年目にして気づくことになった。
いち早くBリーグドラフト2027に志望届けを出し、プロ選手を目指している小田。「なりたいのはディフェンスができる選手です。Bリーグで一番ディフェンスができる選手たちに匹敵するような、エースを止められるディフェンダーになりたい」という。大東文化大はディフェンス力を身につけられるチームという定評があり、多くのOBがディフェンス力を武器に活躍しているが、そこに自分も続いていくのが目標だ。
チームとして、そして個人としても、上を目指してさらなる戦いが続く。

小田晟/おだ せい
180cm/77kg
中部第一高
(2026.9.13インタビュー)


