お互いにディフェンスが持ち味の東海大と大東文化大の一戦は、前半からロースコア。大東文化大は#39アブドゥレイ(3年・C)の高さや#25山内(4年・SG)の速攻、#3塚本(3年・PG)のジャンパーなど、選手がまんべんなく躍動。東海大はベンチから出場した#77直井(2年・SG)、#4中川(2年・PF)のスリーポイントが決まるなどして14-14と互角の立ち上がり。2Qの頭は東海大の#3ハーパー(4年・PG)が連続の速攻で華麗な走りを披露する。大東文化大は#77松尾(4年・SG)のスリーポイントや#9田中(3年・PF)のシュートで同点に戻すが、残り5分からはペイント内で勝負をさせてもらえず、外から打っていくが決まらない。東海大はリバウンドを奪ってから早い展開を立て続けに出して引き離し、前半は29-24。
3Q、東海大のアウトサイドが決まっていく一方、大東大は苦しい中でタフショットが続く。フリースローの確率が上がらないのがもったいない中、#77松尾がスリーポイントやバスケットカウントで粘るもののじわじわと離され、残り2分で最大13点差。しかしそこからは#47品田(4年・PG)のスリーポイントや#23ジブリン(1年・PF・帝京長岡)のオフェンスリバウンド、#21富山(4年・PF)のフリースローで49-41の8点差まで縮めて4Qに入った。
そこから大東文化大は#25山内のスリーポイントや#23ジブリンがゴール下での奮闘を見せ、残り5分、#3塚本のスリーポイントが決まると同点に追いつく。しかし東海大はここで#38御林(4年・PF)が値千金のスリーポイントを決めて再びリードとなると、#3ハーパーの速攻や#7前野(4年・PF)のフリースローなどチャンスをつないで再び差を広げる。大東文化大は残り2分半、#21富山のスリーポイントで3点差に食い下がるが、これ以降得点がストップ。東海大は#18西田(4年・SG)のシュートなど、残り時間で確実にシュートを決めて63-56。追いつかれてもその都度冷静に対処してベスト4進出。
【囲み取材】「リーグの3連敗から原点に帰ろうと言ってやってきたのを思い出してくれた」陸川章監督(東海大)
◆試合を振り返って
「大東文化さんも粘りのあるとてもいいチームですが、よく粘りました。ただ我々もこうやって戦って、こうやって勝っていたんだよということを思い出してくれました。リーグ戦の終盤の三連敗というのは本来の粘りも足りなかったです。やっと本来の力が戻ったんじゃないかという話をしました。準決勝まで1週間あるので、次の試合までもっともっと成長して挑戦したいと思います」
◆リーグ終盤の三連覇についての原因は
「リーグ戦中は怪我人が出てもインテンシティが下がらずにファイトしてくれていたのが、どこか言い訳を探しているような感じになりました。がむしゃらさとか足りなかったかなと思います。終わった後にもう一度原点に帰ろうよということで、走り込みなどをやってきて、それが出たのかなと思います。いい時はディフェンスでも走れていたんですけど、リーグの後半はセットが多くなって点も伸びませんでした。アップテンポにならなかったので、もう一度ディフェンスから走ろうということでトレーニングをしてきたのがちょっと出てきたのかなと思います」
◆ラスト5分に東海大らしい強さが出た。この先戦うにあたっては
「追い付かれたときもみんなが『ここから。ここから』と自分たちでいっていたし、私がいう必要がないほどでした。4年生がみんなを鼓舞してくれました。
やはりモチベーションは大事で、私がガンガン言うのではなくて、4年生がどういう行動を起こすかだよということをいっていて、それが出てきていると思います。そうすると下級生も4年生のためにひとつになっていくのがインカレの面白いというか、いいところだと思います。インカレの主役は4年生です。ハーパーも壊すこともありますが、インカレでは必ず何かをやってくれます。4年生のプレーにかけたいと思います」
【囲み取材】「インカレは強いチームが勝つんじゃなくて、勝ったチームが強い。油断を一切せず、謙虚に戦う」#3ハーパー ジャン ローレンスJr.
◆試合を振り返って
「自分たちからしたら悪い入りではなく、こういうゲームになるのは予想していたので、最後にどっちが粘るか我慢するかが大切で、自分たちがそこを最後までできたかなと思います」
◆リーグの最後は3連敗で終わってしまった。立て直しは
「リーグ戦最後の3試合すごく悪い内容で終わってしまったんですけど、それでもチームでバラバラにならずにみんなで一緒に戦う、ゼロからスタートしようというふうに話していたので、接戦の場面でみんながひとつになって我慢して勝てました。自分たちみんな次はインカレだとわかっていて切り替えられていました」
◆陸川監督がインカレになればハーパー選手が何かをやる、という話をしていた
「全ての試合に全力なんですけど、自分も最後だし、インカレとなったらやはり特別ですね。
やっぱり自分たちがどういうチームかとしっかりみんなが考えて、ディフェンスチームとして、ディフェンスでどれだけ相手を止めるかっていう風にこうタイムアウトの時に話しています。個人的には自分の同じ地元のジャヘル(#25山内)が絶対に最後は仕上げてくるなと思っていましたし、彼は2年間インカレに出られずに苦しい思いもしていました。やはり彼には特別な思いがあるし、そこを自分たちが注意しないといけなくて、前半は守れたんですけど、後半にジャヘルが勢いを出したのは自分がやらせてしまったのが原因です。そこは自分の責任かなというふうに思います。
でも全然自分は焦ってなかったですし、チームのみながそうでした。同点になって残り4分のシーガルスタイムに、自分たちはこれまで、どのチームよりも練習してきたと自負しているので、接戦になったら自分たちの試合だなというふうに思いました」
◆4年生たちの今の想いは
「最後の大会なので、ほかの人は違う思いもありますし、本当に東海っていうのはインカレになったら、4年生がどれだけひとつになって、どれだけフォーカスして、どれだけ準備して試合に臨むかだというふうに、みんなも陸さんもスタッフの人たちも話しています。今日は同点になってから同級生の御林(#38)が大事な場面でスリーを決めましたが、そういうところ。すごく彼には感謝しています」
◆今年の東海大の4年の強みは?
「感情がいい意味で『無』なところでしょうか。盛り上がるときは盛り上がるんですけど、御林なんかは今日、同点の場面でスリーを決めても無で、逆に自分が一番ガッツポーズをしてたくらい。そこが4年のいいところなのかなって思います。同じ4年なら一番自分が頼ってるのはキャプテンの大久保君(#22)です。流れが悪くても静かな時間帯でも、自分から率先して声を出してくれるので、すごく自分たちも助かりますし、声を出すことによって、こう自分たちの流れみたいな感じになるので、すごく頼りにします」
◆ハーパー選手自体はパフォーマンスが目立つ。盛り上げのためか、自然なのか
「盛り上がるなと思っているんですが、自分の感情が自然に、勝手に出てしまっていますね。それが悪い方向に出たら負けるゲームが多いのっていうのは陸さんにもいわれていて、自分でもわかっているので、悪い時には自分の感情を抑えて、いい時には本当に思いっきり騒ぐことを意識してます」
◆陸川さんに教えてもらったもので一番成長を感じられている部分は
「フラストレーションとかがたまることが多いんですけど、そこで自分の機嫌は自分で取るようにいってくれて、接戦の場面でも陸さんは別に何もいいません。そこが成長させてもらったところかなというふうに思います」
◆今年は各チームに差がない。残りの試合に向けてはどういうことを大事にするか
「本当にインカレっていうのは順位とかも関係なく、勢いがあるチームが強いし、強いチームが勝つんじゃなくて、勝ったチームが強いというものだと思います。油断も一切できないので、常に謙虚な気持ちを持って挑戦していきたいと思っています。
福岡第一の時のアシスタントコーチの今井先生が、昨日メッセージをくれて、『どこが勝ってもおかしくないから、常に謙虚な気持ち持たないと足元救われるぞって』と言ってくださいました。だから常に謙虚な気持ちを持ってやっていこうと思っています。
インカレの悔しさはインカレでしか返せないと陸さんが毎回おっしゃっていますが、本当にそうだと思うので、次に向けて本気でぶつかりに行きたいと思っています」